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第十六章 超優秀で超美貌
女学館生徒の憧れの人 其の一
しおりを挟むこの頃私たちは、中庭でお昼を一緒に食べることが日課のようになっています。
五年生の私、アリスさん、アテネさん、三年生の綾乃さん、二年生の智子さん、一年生のカミーラさんとココさんと、各自の多くのクラスメートが寄ってきます。
特に私のクラスの級長、富田沙織さんがよくやってきます。
そこで私は、このごろの頭の痛い問題に対して聞いてみました。
「富田さん、私の下駄箱に、匿名の手紙が大量に入っているのですが、どうすればいいのでしょう」
「どのような手紙でしょう?」
「それが……ミコお姉さま、お慕いしています……大体はこのような文面ですが……中には赤面するような……」
そう、文章で赤裸々に、その……書かれると、変態な私でも赤くなってしまいます。
「良くあることです、でも匿名なのですか?」
「中には名前のあるものも……」
智子さんがうつむいてしまいました。
綾乃さんが「私のは読んでいただけました?」
「読みました」、そう超赤裸々なお手紙を……
「私のは?」カミーラさんです。
「読ませていただきましたが、もう少し日本語の勉強をしてください」
カミーラさんが「ココは書かなかったの?」
「アリスお姉さまが怒るの」
「当然です、私をさておいて、ミコ様につけ文など百年早いです」
「お姉さま、書き損じてばかりなのですよ」
「ココ!」
「……お気になさらない方がよろしいかと……書いた方の気持ちは良くわかりますから、取りあえずはお持ち帰りになり、ご自宅で処分なされることをお勧めします」
「そうなのですか?」
「私にもよく来るが、靴が入らないわけではない」とアテネさんがいいます。
「私にも時々来るけど、靴は入るわ」とアリスさん。
富田さんが、「羨ましいですわ、私なんか書くばかりでしたから」
皆で笑ってしまいました。
「楽しそうね、私も入れてもらおうかしら」
景山先生が来ました。
「Sの話しです」と、富田さんがいいます。
「私もラブレターを書いたわ、智子さんのお姉さまに」
その他、大勢の女学生が喰いつきました、
「先生、どうなったのですか!」
「丁寧な拒絶のお手紙を頂いたわ」
「たしか、華族女学校の高倉公爵のお嬢様と、姉妹の中とかで、あっさりと振られて、以来華族女学校は大嫌い、私怨の塊と言うわけ」
「先生、可哀想……」
「でしょう、でもそんな話より、もうすぐスリーシスターズの武道交流戦、富田さん、薙刀の代表メンバー決まった?」
富田さん、体育会系の偉い人?
「いまから交渉しようと……」
富田さんが、
「ミコさん、アテネさん、お二人は武道がお得意とか、代表メンバーになってもらえませんか」
「薙刀ですか?」
「何でもいいのです、スリーシスターズの武道交流戦は、薙刀、合気道、剣道の三つです」
「この所、オディール女学館は負け続けていますので……」
景山先生が、
「私の見る所、ミコさん、アテネさんは、とんでもなく強そうです
「二人が三つに出てくれれば、完勝と思うのですが、自信あるでしょう?」
スリーシスターズというのは、アメリカのセブンシスターズにあやかって名付けられた、いまの日本における八年制女学校のこと。
私学しかなく帝都東京の二校、このオディール女学館と華族女学校、そして京都の仏教系の都女子学園の事だそうです。
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