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第十三章 帝都東京
姉さん、お願い!
しおりを挟む携帯電話を切りました。
ふと見ると、聡子さんが思いつめた顔で見ています。
「すこし、私の部屋へいきましょう」
私、このホテルでは、結構好き放題ですから。
ますます思い詰めた顔で、ついてきました。
部屋に入ると、うまい具合にサリーさんと姉がいました。
「おや、ミコさん、その娘さんはどうしたのですか?」
「まさか拾ったのではないでしょうね」
「そのまさかです!」
私は出来事を話しましたよ、嘘偽りなしに。
二人とも盛大にため息をしました。
その後、長い沈黙です。
姉が、
「聡子さんといいましたか、意味が分かっているのですね」
「鈴木商会の最高幹部として、父は何とかしなくてはならない立場にあります」
「父も私も、どうすれば鈴木商会が救えるのかは判りませんが、少なくとも法王領の知恵です、それを信じます」
「鈴木商会には、万余の社員がいるのです」
「その社員が路頭に迷うと、幾人の娘が売られるのかわかりません、今なら二人です」
私はマレーネさんを頭の中で呼びました。
「いまの話し、どうですか?」
「確かに鈴木商会という組織は、信用不安に陥りかけています」
サリーさんやイシス姉さんにも聞こえています。
「しかたないですね」
と、姉が私を見ながらいいます。
「鈴木姉妹は仕方ないのでしょうが、もうこれ以上は女を作りたくないのですが……」
サリーさんが、
「お嬢様、お気を確かに!熱でもあるのでは!」
そんなに驚かないで下さい、私は疲れたのです……
「いや、さすがに疲れて……名前を覚えられないほどです……すこし故郷でゆっくりしたいのです」
サリーさんと姉が唖然としています、しかし姉がなにか納得したような顔になって、
「つまり、ゆっくりとハイスクール生活をしてみたいのですか?」
「多分そうでしょう、なにか走り続けてきたので、故郷で少し普通の日々を過ごしてみたいのです、姉さん、駄目でしょうか?」
「でも、山ほどの責任をどうします?」
「それはいたします、でもハイスクールの中では、そのことを暫し忘れてはいけませんか?」
「……」
姉はしばし考えていました。
「アナー……」と、ここで聡子さんの存在を思いだしたようで、「サリーさん、しばらくその方を別室へ、私は妹と話しがありますので、話しが終われば呼びますから」
不安そうな聡子さんを、サリーさんが連れて行きますと姉が話しを続けます。
「アナーヒター、気持ちはわかります、貴女にはあまり良い青春がなかったのは確か」
「十年のエラムの過酷な日々でしたし……しかもテラがテラでいられるのもあとわずか……」
「この機会を逃せば、貴女の青春、故郷の思い出がくすんでしまうのは確かですが……女は……」
「貴女も薄々は感じているはず、サリーさんもいったと思いますが、女は必ず出来ると、私は思えてなりません」
「高御産巣日神(たかみむすびのかみ)は、どうやら容赦なく、女を貴女にくれるつもりのようです」
「確かに私もそう思っています、でもなぜ私なのでしょう……確かに私はスケベですが……」
「すべては私の仕出かしたことといえ、さすがに……このハレムだらけの生活に、なにか意味があるなら、その意味が知りたいところです」
「まぁ確かに異常ではあります、ただ一つ、私には思い当たる事があります」
「この事は二人だけの内緒の話となりますが……」
姉は、自身の力で、この部屋をすべての次元から独立させました。
マレーネさんからも誰からも、邪魔されないように……
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