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第四十三章 文化祭
銭湯の思い出
しおりを挟む「実はね、富田さんとの話し、聞こえていたのですが、遠慮していたの」
「でも綾乃さんがお邪魔虫したから、私たちも機会をうかがっていたの、ね、アテネさん」
「そう、一緒に楽しもうと思っていたのです、皆でイシュタル様と……」
「皆で?」
「昔ね、皆でイシュタル様とお風呂に入り、そのまま……おいしくいただいた事があって……」
「そうそう、そんな事があったわ!あの時の恥ずかしそうなお姉さまって、ゾクっとしたわ!」
怪しい雰囲気が漂い始めています。
ここはうまく立ち回らなければいけません。
「後で銭湯に行きませんか?」
「銭湯?」
アテネさんの頭に?が点いています。
「町の人々が入るお風呂で、男湯と女湯にわかれていて、中には電気風呂もある所も、何といっても湯上りのコーヒー牛乳が最高……」
「この間このトウキョウに銭湯が出来たと知りましたので、どお?」
「行きます!私、お風呂大好き、お姉さまと入るのなら、なおさらに好き!」
テンション高いアリスさんですね。
「そうですね、銭湯なんて幼いころに一度、家のお風呂が壊れた時に行っただけですね」
と、富田さんが云います。
どんないいお家に生まれたのでしょうね、私なんて、家にはお風呂なんてなくて、入り浸っていたと言うのに……
「私、一度もないのですが」
ここにもっとブルジョアがいました、そりゃそうでしょ、鈴木商会のご令嬢ですものね。
「私は毎日入っていたわ、だっていつも汗まみれになるもの」
「江戸の銭湯はね、混浴だったのだけど、禁止令がでて分けたのよ」
「でも、守っている所なんてなかったわ、中は暗くて、結構な事をね……」
綾乃さん、それ以上云ってはいけません!
パーティーは午後の二時に終わりましたので、銭湯はたしか三時からでしたね、一番風呂に行けそうです。
「ミコ様、入った事があるのですか?」
一瞬、お風呂の事で過去の恥ずかしい思い出が……
まぁ、どうせ、皆でお風呂に入った時の……トラウマ?
いいわ、ここで銭湯に入って、立派にトラウマを解消いたしましょう!
銭湯は松の湯というそうですが、ビルの中にありました。
女風呂♪、女風呂♪、その昔はあこがれた女風呂♪。
覗き見は犯罪なのでしたが、いまは……う・ふ・ふ、こんなところで望みがかなうなんてね。
番台などなく受付があります、風情がないですね……
パッパと脱いで、手ぬぐいを肩にかけ、私とアテネさんはずんずん浴室へ……
「ミコ様とアテネさんは恥ずかしくないのですか?」
沙織さんが後から入ってきて聞きましたが、
「別に、いつも裸の付き合いをしているでしょう、今更ね」
「でも、あんなに堂々と服は脱げません」
その後はキャアキャアと……誰も来ないので……違う声が少し混じっていたのは、判らなかったでしょうね。
勿論、皆で湯上りは腰に手を当てて、コーヒー牛乳を飲んで……
裸でね。
かくして私たちは、明日の文化祭の準備を整えたのです。
ピカピカのお肌で、殿方でも誘惑いたしましょうか。
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