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第四十二章 新参者
アブサラス・ハウス
しおりを挟む幽閉中の二人を引き出して、
「いま惑星アールヴヘイムンは占領しました、軍人は一人残らず殲滅しましたよ、各王都は灰燼に帰しています、これも自ら招いた種、さて再び聞きましょう、どうしてほしい?」
「王は!」
「首を差し出すので、降伏を受け入れて欲しいと云ってきましたよ、とにかく退位を命じています、首は思案中ですが、誰かが責任を取るべきでしょう」
「……出来れば……ここらで……」
「賽はそちらが投げた以上、中途半端には終わりません」
「惑星アールヴヘイムンの全住民は、戦争捕虜になったのですよ」
「貴惑星の習慣では戦争捕虜は国家の所有になる、つまり私のものになっています」
「もっと具体的に示しなさい、私は貴女たちの返事に、この後の、惑星アールヴヘイムンの対処を決めるつもりです」
「簡単なのは、惑星ごと虫に投げやればいいでしょう、元の状態なのですから……」
「それとも男は全員死んでもらいましょうか?返事を強制するのは、貴女たちを追い込むことになりますが、しかし貴女たちも王族のはしくれは間違いないでしょう、私はそれに敬意を表して聞いているのです」
……
しばらくの沈黙ののち、私に最年長といった方の女がいいました。
「アールヴヘイムンは今度こそ忠誠を示すでしょう」
「王の首を打ち、全住民に忠誠をお求めください、王族も全て殉死いたしましょう」
「だから捕虜を解放して、人々に明日を授けて下さい……私たちをどうするかはお任せします」
「殺すなり犯すなり、売り払ってくれても文句はいいません、ご命令のままにいたしましょう」
私はじっとこの王女たち、二人を見つめました。
二人は眼をそむけません、じっと私を見ています。
本当に言葉通りサバサバしています。
「私は残酷と言いましたよね、貴女たちの手で王の首を打てるなら、そしてその手で、王の首の前で自ら慰められるなら、その条件をのみましょうか」
前もこんなシュチェーションをつくって試した事がありましたかね……悪趣味とは思いますが……私の癖なのでしょう。
ルシファー宮殿に惑星アールヴヘイムンの王族が全て集められました。
「ねぎらいはしませんよ、さて降伏の申し出は前王十四名の首と王族すべての殉死、王の首はこの二人の女に斬ってもらいます」
「その後、この女はこの場で自らを慰めてもらいましょうか、そのよがり狂っている中で、王族は自ら自決していただきます、屈辱的でしょうが、私の腹の虫がこれで収まるでしょう」
動揺もありません、そうですかといい、私の配慮に感謝しました、そして、
「私から最初に首を落としてもらおう」と一人の男が進み出ました。
「父上……」女の一人がそう云いますと、もう一人が「私が変わりましょう」といいます。
娘の方が「いえ、私がいたします」といい、剣に手をかけ父親の首に剣を振りおろしました。
その剣は首の皮一枚に食い込んで、ピタっと止まります。
その瞬間、同じ場所に同じ様に十四名の首に傷が出来、血が流れました。
「十四名の首は落ちました、私が検分いたしました」
「処刑はここに無事おわり、惑星アールヴヘイムンは新しい王を迎えるでしょう」
「以後私に身も心も捧げるように、忠誠を期待しています
「新王よ、その傷を心に刻んでください、ご苦労でした」
「その二人は奴隷として私が貰い受けます、先の契約通り約束を履行しなさい」
「それで今回の件は不問としましょう、王族一の美女の献上を待っています、私のサンダル係として」
後日、十二名が献上品として送られてきました、今度は検品したとのこと、今度は間違いないのにね……
彼女たちの名前は発音が難しく、また新しい名前を望むものですから、インドのヒンドゥー神話の女神の名前をつけました。
代表して受け答えした方を、パールヴァティさん、夫人待遇側女としてアブサラス・ハウス・バトラーに任命、もう一人の図抜けて綺麗な方は、ウルヴァシーさんとし側女としました、他の方は清女とさせていただきました。
とにかくパールヴァティさんとウルヴァシーさんには、夜伽をしていただきました。
引き締まった健康的な女もいいものですよ……
アブサラス・ハウスには、二人の色っぽい声が響いたのは確実、清女さんも驚いたでしょう……
アブサラス・ハウスは首都グラブダブドリッブの大通りに面してつくられました。
ここは惑星アールヴヘイムンの連絡事務所の性格を持たせて、私に対する惑星の要望などの事務も命じてあります。
王女さま達にも一応仕事をしてもらいますよ。
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