上 下
114 / 133
第四十二章 新参者

アブサラス・ハウス

しおりを挟む

 幽閉中の二人を引き出して、
「いま惑星アールヴヘイムンは占領しました、軍人は一人残らず殲滅しましたよ、各王都は灰燼に帰しています、これも自ら招いた種、さて再び聞きましょう、どうしてほしい?」

「王は!」
「首を差し出すので、降伏を受け入れて欲しいと云ってきましたよ、とにかく退位を命じています、首は思案中ですが、誰かが責任を取るべきでしょう」

「……出来れば……ここらで……」

「賽はそちらが投げた以上、中途半端には終わりません」
「惑星アールヴヘイムンの全住民は、戦争捕虜になったのですよ」
「貴惑星の習慣では戦争捕虜は国家の所有になる、つまり私のものになっています」

「もっと具体的に示しなさい、私は貴女たちの返事に、この後の、惑星アールヴヘイムンの対処を決めるつもりです」

「簡単なのは、惑星ごと虫に投げやればいいでしょう、元の状態なのですから……」
「それとも男は全員死んでもらいましょうか?返事を強制するのは、貴女たちを追い込むことになりますが、しかし貴女たちも王族のはしくれは間違いないでしょう、私はそれに敬意を表して聞いているのです」

 ……
 しばらくの沈黙ののち、私に最年長といった方の女がいいました。

「アールヴヘイムンは今度こそ忠誠を示すでしょう」
「王の首を打ち、全住民に忠誠をお求めください、王族も全て殉死いたしましょう」
「だから捕虜を解放して、人々に明日を授けて下さい……私たちをどうするかはお任せします」

「殺すなり犯すなり、売り払ってくれても文句はいいません、ご命令のままにいたしましょう」

 私はじっとこの王女たち、二人を見つめました。
 二人は眼をそむけません、じっと私を見ています。
 本当に言葉通りサバサバしています。

「私は残酷と言いましたよね、貴女たちの手で王の首を打てるなら、そしてその手で、王の首の前で自ら慰められるなら、その条件をのみましょうか」

 前もこんなシュチェーションをつくって試した事がありましたかね……悪趣味とは思いますが……私の癖なのでしょう。

 ルシファー宮殿に惑星アールヴヘイムンの王族が全て集められました。
「ねぎらいはしませんよ、さて降伏の申し出は前王十四名の首と王族すべての殉死、王の首はこの二人の女に斬ってもらいます」

「その後、この女はこの場で自らを慰めてもらいましょうか、そのよがり狂っている中で、王族は自ら自決していただきます、屈辱的でしょうが、私の腹の虫がこれで収まるでしょう」

 動揺もありません、そうですかといい、私の配慮に感謝しました、そして、
「私から最初に首を落としてもらおう」と一人の男が進み出ました。

「父上……」女の一人がそう云いますと、もう一人が「私が変わりましょう」といいます。
 娘の方が「いえ、私がいたします」といい、剣に手をかけ父親の首に剣を振りおろしました。

 その剣は首の皮一枚に食い込んで、ピタっと止まります。
 その瞬間、同じ場所に同じ様に十四名の首に傷が出来、血が流れました。

「十四名の首は落ちました、私が検分いたしました」
「処刑はここに無事おわり、惑星アールヴヘイムンは新しい王を迎えるでしょう」
「以後私に身も心も捧げるように、忠誠を期待しています

「新王よ、その傷を心に刻んでください、ご苦労でした」
「その二人は奴隷として私が貰い受けます、先の契約通り約束を履行しなさい」
「それで今回の件は不問としましょう、王族一の美女の献上を待っています、私のサンダル係として」

 後日、十二名が献上品として送られてきました、今度は検品したとのこと、今度は間違いないのにね……

 彼女たちの名前は発音が難しく、また新しい名前を望むものですから、インドのヒンドゥー神話の女神の名前をつけました。
 代表して受け答えした方を、パールヴァティさん、夫人待遇側女としてアブサラス・ハウス・バトラーに任命、もう一人の図抜けて綺麗な方は、ウルヴァシーさんとし側女としました、他の方は清女とさせていただきました。

 とにかくパールヴァティさんとウルヴァシーさんには、夜伽をしていただきました。
 引き締まった健康的な女もいいものですよ……
 アブサラス・ハウスには、二人の色っぽい声が響いたのは確実、清女さんも驚いたでしょう……

 アブサラス・ハウスは首都グラブダブドリッブの大通りに面してつくられました。
 ここは惑星アールヴヘイムンの連絡事務所の性格を持たせて、私に対する惑星の要望などの事務も命じてあります。
 王女さま達にも一応仕事をしてもらいますよ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

悪役令嬢の騎士

コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。 異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。 少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。 そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。 少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...