惑星エラムより愛をこめて 第三部 化野(あだしの)編 【ノーマル版】

第四十一章 第四惑星にて

首都グラブダブドリッブの繁栄 其の三

　男女の性差が偏っていますので、仕方ない事ですが当初より女性婚多妻制が併用されています。
　我妹子(わぎもこ)はマルスでは、あっという間に常識になってしまい本人承諾の上の証文、つまり売買婚が根付き始めています。
　ただ責任もかなりのもので、我妹子(わぎもこ)契約を結んだ以上は、女主人は妹子(いもこ)に対して全責任を負うことになります、おいそれと契約解除はできません。

　ナーキッドオーナーはマルスの主権者となり、そのオーナーに仕える以上は、我妹子(わぎもこ)証文を提出、購入の形になります。

　その後一般女官、これを末女(まつじょ)と呼ぶ事になりますが、その末女(まつじょ)となり、指輪を授かり、清女(きよめ)に昇格、その中より采女になります。

　采女の時点で、オーナーの身近に侍る事になる……その様な制度だそうです。
　末女さんも指輪をつけるようにします。
　つける指は左薬指ときめました。

　左は服従と信頼を示し、左薬指は心臓に繋がっており、ここに指輪をするという事は、心を封印する、つまり自分の意思を押し殺して、絶対の服従を示す、古代ローマの指輪の意味からきています。

　女性がつけるのですから、２２Ｋとしました。
　地位は指輪の石が示します。
　末女(まつじょ)さんの石は慈愛・誠実・貞操のサファイア。
　清女(きよめ)の石は熱情・情熱・純愛の意味のルビー。
　采女さんは永遠の愛のダイヤモンドとなります、でも石は人工なのですよ、ミコさんはケチなのです。

　後は側女、夫人、佳人、麗人、愛人とチョーカーが変わっていきますが、大多数の普通は清女(きよめ)さんまで、退官する事になりアンクレットが贈られます。
　アンクレットをつけている限り、ナノマシンの力が及びますし、それなりの敬意を受ける事になります。
　ハウスの女官の特典です、つまり死ぬまで美しくいられる……これではなりたがるものが続出するわけで、もし側女にまで昇格すれば、ヴィーナス・ネットワークに所属する、惑星世界などにも行ける可能性が出てきます。

　この女官に採用される任官課程は、特定の高等女学校に併設されています。
　人口が一番多い日本地域には三校、云わずと知れたスリーシスターズの都女子学園、華族女学校、オディール女学館……

　北欧地域の首都アールヴヘイムにあるフレイヤ女子学院、アメリカ地域の首都ニューイーグルシティにあるベティ女子スクール、イギリス地域の首都ティル・ナ・ノーグにあるクィーンズ・スクールなどなど……合計十二校あります。

　定員は決まっていませんが、五人前後となっています。
　つまり毎年六十人程度は女官に採用されます。
　成績優秀、容姿端麗との事ですが……