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第四十章 撤退
レイキャネース・ハウスは浮き上がる
しおりを挟むで、話しは進みますが、デヴォン島には小さな町が幾つも出来ました。
九州島の3割ほど大きな土地ですから、小笠原みたいに過密都市にはなりません、結構な状態です。
概ね半地下の町で、食糧製造工場と、エネルギー供給の受電施設があり、あったかな公共施設もあり、町々には道路と小さな鉄道が走っています。
それにここには、トウモロコシからのバイオ燃料の製造施設が三か所、小笠原からのマグマ発電の電力を受ける施設もあります。
小笠原に比べれば、田舎が漂いますが、オーロラが見えますね。
カムチャッカはペトロパブロフスク・カムチャツキーが大拡張されています。
従来通り高さ制限がかかっていますが、かなりおしゃれなロシア風の都市となっています。
シベリアから除染移設された歴史的な建物もここに集中しています、人口百万の大都市ですよ。
さらにですが、ロシアより建物を移設するというアイデアがひらめきましたので、伊豆諸島にも、日本国内の残っている良質な建物を改修移設することにしました。
御蔵島や利島など火山活動の恐れが少ない島を候補に選びました。
インフラを整備、小笠原からの連絡シャトルを走らせ、元住民を優先して入植を公募しました。
一月後、最後の移住計画も完了し、ついにレイキャネース・ハウスが浮き上がる日が来ました。
何とアイスランドのほとんどの方々が一緒に移住しようとしてくれます。
この方々はナーキッドとともに、明日を迎える事を決めたのです。
潔しとしない方もいますが、いたし方ありませんね、ついてきてくれる方が優先です。
ほぼ30万人、アイスランドの有資格者の多い事……
全員地下の宇宙船の、広大な格納庫にすし詰め状態の人々、その不安そうな顔を眺めていますと、ディアヌ・ロッシチルドとティア・ロッシチルドがやってきました。
「お久しぶりです」
そういえば本当に久しぶりな気がします。
「初めてあってから、二年もたっていないのに物凄く長かった気がしますね」
「ディアヌさん、初めと最後に貴女と一緒とはね……これでひと段落ですか……とにかく人類は存続出来そうです」
「テラの人々も、後は自分で何とかするでしょうし、もう私は助けてあげられない、望まぬものに、手は差し出せないし、これより後は望まれても、ひとたび拒絶された事は消せない、盆の水は戻らないので……」
「ここだけの話し、テラの神というべき存在は、人々を子とは思われていないし……私にこの後の惨い世界を予言している……」
「第六のラッパはなりましたが、第七はまだならず、最後の審判はまだ……」
「差し出した手を跳ねのけて……愚かな人々……いや運命は変えられない悲しい人々……」
私の独り言を、ディアヌさんは黙って聞いていました。
「マスター、浮上しますがよろしいですか?」
マレーネさんが声をかけてきました。
深雪さんが操縦士としてきていますので、命じました。
「惑星移民船、ソルフィン・カルルセフニ号、浮上せよ!」
ナーキッドタウンの外周に、円形の柱が地中からノョキノョキ生えてきました。
それから硬質バリアのような物が張り巡らされて、ナーキッドタウンを覆うと、物凄い轟音とともに、じりじりとバリア内の土地がせり上がり出します。
この離陸の状況は、モニターで宇宙船内部に中継されています。
そしてテラの大地と縁が切れますと、速度を上げて浮き上がり始めました。
「切り離し完了」と深雪さんが報告しましたので、
「航海を初めよ、目的地は惑星マルス!」
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