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第三十七章 母なる大地
祝、マン島ステーション
しおりを挟むヨーロッパも、かなり危なくなっているようです。
とにかくヨーロッパロシアから、移住を始めています。
核の冬は当面は凌げるとして、ボディブローのように効いてくるのが環境汚染でしょう。
空気浄化システムが、何とか放射能を食い止めていますが、それでも日照不足が起こって農作物は不作、というより凶作といってもいいでしょう。
これが何年も続くのは、間違いないと思います。
私とナーキッドの最高幹部会の一番の懸念は、飢餓による暴動なのです。
幸い食糧生産工場はフル稼働出来ますので、ナーキッドの電源供給が途絶えない限り、最低限の食糧は賄えるのですが……
それはナーキッドの協定国に対してで、テラの全世界に対してではないのです……
でもアメリカが離脱したのですから、すこし余裕が出来るという物……
とにかく人口淘汰は終わったのです。
どれだけの人々が死んだ事か……北半球は累々たる白骨の大地、化野(あだしの)というのはこれでしょうか……
全ての責任は私にあるのです、とにかく前へ進みましょう。
計画ではロシアから四千万人が予想されます。
イギリスからは二千五百万、ドイツは四千万、フランスは二千五百万、北欧四カ国からは一千万、東欧からオストプロイセン経由で五百万、要するにヨーロッパの北側と思えばいいのでしょうね……
アメリカからは五千万、カナダから二千万、そして日本からは五千万、その他の国を考慮すると、二億七千万人ですか……
現在、三千万人が移住を済ましているので、あと二億四千万人ね……
マン島のステーションが稼働を始めますと、輸送能力は月二千万人を超えるでしょう、膨大な人口移動が可能となります。
で、計算すると……一年……いいですよ、これはいい、先が見えてきました……
それに利己特性が、すこし薄まっていますし、なんとか火星で人類は存続出来るでしょう。
それにテラの無傷の部分、南半球は人が住めると思われます、南米、オセアニア……
なんとか軟着陸、これがいま取りうる、最良の結果と思います。
昼間はオディール女学館に通い、放課後からマン島・ステーション、レイキャネース・ハウス、デヴォン・ステーション、ルナ・ナイト・シティ、グラブダブドリッブ、そして今、ウォリック城にいます。
ここにヨーロッパ関係の私の愛人さんたちが、集まっています。
エステラさんが、
「イギリスのマン島のステーションも、突貫工事で来年早々完成との事、これでイギリスは救われます」
「ヨーロッパからの移住計画は、レイキャネースとマン島を主力として、デヴォン・ステーション、小笠原ステーションも使用させていただきます」
「目途がついたとのことですので、ささやかなティーパーティーを開くようにミコ様のご命令です」
「今夜はミコ様もここにおられるそうですので、皆さま、イギリスのお茶を楽しんでください」
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