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第三十五章 中原ステーション騒動
ネイサン・ロッシチルド夫妻の娘 其の一
しおりを挟むネイサンさんを見つけましたが、パンの缶詰とウィンナーと野菜のスープを、温めて食べていました。
テラの超大金持ちが、缶詰を食べているのは笑えますね、あれ、側の人は誰?
「ネイサンさん、おいしい?」
「……」
「まあ、判りますが、一般人はこのような物を食べているのですから、その味を知っておくのも必要でしょう、所で側の方は奥さま?」
「ワイフです」
慎ましそうな奥さまですが、私を見て怯えてくれます、仕方ないですかね、ネイサンさんを殺しかけていますから。
「初めまして、吉川ミコと申します、ご主人にはご迷惑をかけています」
「ローズマリーと申します、ネイサン・ロッシチルドの妻です……」
かなり蒼ざめた顔をされてしまいました、そしてこんな事をいわれました。
「ミコ様、私から娘を取りあげないでください!」
「ローズマリー!」
ネイサンさんが少し声を荒げました。
ネイサンさんを無視して、
「ローズマリーさん、少なくとも私はそんな考えはありません、ロッシチルド財閥からは、ディアヌさんが来てくれていますから」
「でも……」
「ローズマリー、家の娘が、お眼鏡にかなうわけはない、いつも言っているだろう?」
「……」
「ローズマリーさん、本当に私はその気はありません」
「私の側に仕えている方は、何らかの理由により、願いを聞き届けたことに対しての結果なのです」
「娘さんが私に身を差し出すほどの、願いはないでしょう、ご安心ください」
「それに多少の願い事なら、ネイサンさんの今までの献身の代価として、かなえてあげられます」
「察するに娘さんの病の事でしょう、何かは大体判っていますが、私としては口に出していただかなければ、何ともしてあげられないのです」
「娘はターナー症候群、まだ幼いので、小さいぐらいで……」
「12歳でしたね、遺伝子疾患ですので、根本的に治すには身体の再構成ですが、替える事は避けたいですからね……」
「でも女性ですから、人生を幸せに生き抜きたいですものね……とにかく見てみましょう」
「ここへ連れて来ているのでしょう?」
「見ていただけるのですか?」
「今までの功績を考えれば当然でしょう、会議の後に連れてきなさい」
初回の会議が始まります、ヴィーナス・ネットワーク審議会の初会合は和やかなものです。
エラムの諮問会議メンバーと、ナーキッドの最高幹部会メンバーの顔合わせですからね。
ただ惑星フェアリーと惑星アールヴヘイムンの二つの代表団、とくに惑星アールヴヘイムンに対しては、注文が付きました。
「アールヴヘイムンの代表に一言申し上げておきたい、我々の主であられるミコ様にたいして、エラムもテラも数十名単位で、お側に仕える者を差し出している」
「平和には代価が伴うのが、このヴィーナス・ネットワークの不文律ともいうべき約束事、惑星ヴィーンゴールヴも約束事を守っている」
「今回惑星フェアリーからも、二人を差し出すと表明している」
「本来、平和の代価は、美女ぐらいでは足りないのであるが、その世界の、忠誠の象徴として必要である」
「我々はその忠誠を見て、互いに信頼を交わしているのである」
「アールヴヘイムンはその事を熟慮の上で、次回までに対処していただきたい」
アポロさんがその様な事を云っていましたが……惑星フェアリーの献上品とは、先程のあの二人……
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