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第三十二章 ココさんのお友達
お誕生日会
しおりを挟む中庭にドーンとバーベキューのセットが置いてあり、下ごしらえした、食物が置いてあります。
生ビールもドーンと樽で置いてあります。
アテネさんとアリスさんが嬉しそうにしています。
「ココさんのお誕生会ですから、ほどほどですよ」
でも、なぜバーベキューなの?
普通は優雅にフランス料理とかでしょうが……
とにかく簡単なスープを作りましょう。
コーン水煮のクリーム缶とコーン水煮のホール・粒缶、牛乳、コンソメ、そこらへんのスパイスを放り込んでと……中火で5分と……
その間にフランスパンを薄く切って、軽く焼いて……
「はい皆さん、並んで並んで、最初はココさんね」
さて、皆さんがスープなどを飲んでいるうちに、とにかく安直にお肉から焼きますか……
いっぺんにサーロインステーキを、五枚ほど焼いてサイコロに切り分けます。
大皿に盛ってテーブルに並べます、なんせ大人数ですからね、立食形式ですよ、しかも私一人なんですから……
「アテネ!ハウスの中ですから、飲むなとは言いませんがお腹に何か入れてから飲みなさい!」
響子さんが、手伝おうとしてくれますが、
「今日は貴女もお休みです、焼くだけですから、私がサービスしましょう」
次に野菜炒めを作ります、キャベツ、たまねぎ、にんじん、ピーマン、にら、大豆もやし、しめじ、トマト?……
サラダ油を引き、にんにくの薄切りをよく炒め、野菜を放り込む……あとは醤油、清酒、塩で味付けと……
大皿三皿分はあります、私は給食のおばさんですね……野菜は湯通しして良く拭いておくとベスト、味付けは後がコツ……
好評ですね……
順番など考えるのはよしましょう、どんどん焼きますよ……
焼きそばに、クロックムッシュというホットサンド、焼きおにぎりに、ボスナと呼ばれるオーストリアのザルツブルク名物の、カレー風味のホットドッグも焼き上げます。
エビもいきましょうね、アワビステーキが食べたい?誰ですか、そんな高級品をいう輩は!
大蛤(おおはまぐり)の焼き物で我慢しなさい!
お魚も焼きましょう、さすがにこれは鉄板ではね、網焼きですね、今は秋、秋刀魚です。
もうもうと煙が立ち上がりますが、ジュウジュウと油が炭に落ちて行きます。
おいしそう……大根をすりおろして、召し上がれ。
意外に、ココさんもカミーラさんも、日本になれたのか、上手に箸を使い、秋刀魚を食べています。
ならば小魚もありますので、『なめろう』を作ります。
これは高倉雪乃さんが好物なはず、案の定お銚子を友達にやっています。
大量につくった『なめろう』をさんが焼きにしました。
「白ご飯もありますので、希望者は孫茶(まごちゃ)にしてあげますよ」
皆さん、御茶碗を持って並びます。
あれ、糸女(いとじょ)さんもいます、
「楽しんでくれていますか?」と聞きますと、「はい」と楽しそうな顔をしています。
「踏ん切りがつきました」といいましたが、何の踏ん切りやら……
さて、ここらへんで、本日のヒロイン、ココさんの登場です。
聡子さんが先頭を切って、「お誕生日、おめでとう」といって、なんと御手製の服をプレゼントしています。
縫製もうまいとは聞いていましたが、平然と二日で縫ったのですか、プロ級です……。
可愛らしいパンプスや、御手製のペンダントなど色々もらっています、ナイフなんていうのもあります、勿論アテネさんのプレゼントですが。
で、最後に皆さん、私に注目してくれています。
私ですか……実は恥ずかしいのですが……赤い小物いれ、巾着です。
それに刺繍などをしたものを、差し出しました。
今日は十月四日、誕生日の花は釣り鐘草(ツリガネソウ)、猫じゃらしといわれる狗尾草(エノコログサ)、それに西洋唐花草(ホップ)とレースフラワーを、地色の赤が引き立てる構図です。
釣り鐘草(ツリガネソウ)の花言葉は『熱心にやり遂げる』、釣り鐘草は『遊び・愛嬌』、西洋唐花草は『希望 信じる心 天真爛漫 不公平 』、最後のレースフラワーは『悲哀・可憐な心・細やかな愛情』です。
これ、一日で刺繍するのは、さすがの私でも徹夜をしたのですよ。
良いも悪いも、ココさんを象徴しているように思えます。
カミーラさんが、
「私の誕生日は三月なのですが……」
と羨ましそうにいいます。
アリスさんも、
「私も御手製の小物入れが欲しいです」
「今度ね」
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