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第三十二章 ココさんのお友達
お友達
しおりを挟む十月の初め、ココさんが聡子さんに、
「明後日、お友達を呼んでもいいですか?」
と、聞いています。
「構わないけどどうして?」
「私の誕生日なので、お友達を呼んで誕生日会をしたいの……」
鈴木聡子事務担当の厳命が出ます。
明後日は全員、ココさんの為に早く帰って、お誕生会を手伝うように……
そしてその日、お友達はやってきました。
ココさんのお友達は大変綺麗な方でした。
「本日はお招きにあずかり、ありがとうございます、三好糸女(みよしいとじょ)と申します」
「糸女(いとじょ)お姉さまは東京女子医専なのよ!」
十九歳、女子医専の二年生との事です。
東京女子医専ね……
「そうですか、糸女(いとじょ)さんは才色兼備なのですね」
小雪さんが、「ミコ様、すこしお話しが」と云いますが、「わかっています」と、そう言っときました。
そう、判っているのですよ。
綾乃さんとカミーラさんが、何ともいえない顔をしています。
「ココさんのお友達は歓迎します、よくいらっしゃいました」
「ココさん、聡子さんたちが、貴女のお誕生日の準備をしています」
「お客様も来られていますので、ホステスとして確認してきなさいな」
「糸女(いとじょ)さんのお相手なら、私と小雪さんたちとが引き受けますから」
「糸女(いとじょ)さん、しばしこちらの部屋でお待ち下さい」
私か先に立ち、控室に案内しました。
「どうぞ、お座りください」
私はソファーに座ります。
私の横には小雪さん、糸女(いとじょ)さんの両隣りには、綾乃さんとカミーラさん。
「本当にお綺麗ですね、お見受けしたところ、百歳は超えられているようですが、私に何の御用ですか?」
「ココさんのお友達ですから、手荒なまねはいたしませんが、私は隠し事をされるのは、あまり好きではありません、それに持って回ったいい方も、好きではありません」
震えてられますが、そんなに脅した訳ではありませんよ、にこやかにお話ししようと言っているのに……
綾乃さんが、
「阿波の糸引き娘さんと思いますが、ミコ様はお話しをお聞きすると云われているのです、ここで目的を云わなければ次は聞いてもらえませんよ」
「……私たち、人に妖怪だ、化け物だと云われていますが、お慈悲と思い……」
「この倭(やまと)に住まう人外の者たちを、救ってくれというのですね?」
驚いたような顔をしましたが、「はい、その通りです」といいました。
「貴女はその者たちの代表ですか?」
「代表ではありませんが……」
「ミコ様、この国の妖怪は一枚岩ではないのです、色々といがみ合っていますので」
と、綾乃さんが説明してくれます。
「では貴女は、一部の者たちの代表と考えて良いですね」
「はい」
「火星に行きたいのですか?」
「出来ますれば……」
「火星には行かせません、しかし別の新世界が用意されています」
「陰に隠れて生きるのではなく、貴女たちの世界をあげましょう、惑星ヴィーンゴールヴです」
「ただし言っておきますが、ヴァンパイア族と平和に暮らせるのが条件、しかも世界にナーキッドが配った抗ボルバキア薬の服用と、常日頃は人型でいるのが条件」
「噂の代価はそうですね……私に服従することですかね、条件を飲むかの飲まぬかは、そちら次第」
「あの……噂では美女の献上が必須とか、お聞きしていますが……」
「別に必須ではありません、覚悟を示してほしいといっているのです」
「一番大事な物を差し出す、というのが判り良いでしょう?それが美女ということです」
「人類史ではよくあることです」
「それでは……」
「望む者がいなければ、別の何か大事な物で代価を支払ってください」
「それはそちらで考えれば良い事、私としてはココさんのお友達を抱きたいとは思いません」
「貴女は覚悟しているようですが、それは無用です」
そこへココさんがやってきました、
「ミコ様、準備が出来ました」
「さて、楽しくお誕生日会を始めましょう、糸女(いとじょ)さん、楽しんでくださいね」
「難しい話しは粗方終わったのですから」
「ミコ様、早く早く、今日はバーベキューだそうです、聡子さんが、早く鉄板料理人を連れて来てと云っています」
私が焼き係なのですか?
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