惑星エラムより愛をこめて 第三部 化野(あだしの)編 【ノーマル版】

第三十一章 女地獄なのよ

自然淘汰は終わりました

　法王領の声明が、この事について、飲む事を勧めてくれた事は幸いでした。
　多くの人の命が、救われたのは間違いないからです。
　カトリックの国々は、このおかげで国民に配布を決めたのですから、中南米は救われたのです……

　このボルバキア菌は、ベンガルからあっという間にアジアを席巻しました。
　その結果は恐ろしいものでした。

　日本を除く東アジアは、男がバタバタと死に始めたのです。
　３億ぐらいの男が死にました……南アジアも同様です……

　サービアの国々、中近東、北アフリカもあっという間に感染が広がります。
　１億人の男がこの辺りで死亡しました。

　東南アジアは、希望国が多く、大量に抗ボルバキア薬を供給しましたが、サービアの国は壊滅的で、ほぼ１億人……
　これらの国々では、女性ばかり残ります……ひどい事にならなければ良いのですが……

　ヨーロッパ各国は、嫌々でしょうが服用を終わりました。
　何とかヨーロッパロシアにも、配り終えています。
　
　あまりの惨状に、二回目の抗ボルバキア薬を大量製造していますが、今回は有償です。
　ナーキッドははっきりと云ったのですから……

　世界各国が手を上げます。
　物凄く大量製造しています。
　ボルバキア菌の汚染地域の国々も、今回は希望します、が、前回明確に拒否を表明した地域は後回しとなります。
　さらに薬価は高額です、貧しい国は代金も払えないでしょう……

　気の毒ですが、高をくくった政府を選んだのは、国民の皆さまです。
　結果は自身で受けとめていただくしかありません、無償はありえません。

　知らなかったとは言わせません、たとえ知らなかったとしてもそれは皆さまの責任です。
　無知であったと逃げるのはお好きにどうぞ、しかし無償はありえません、言葉は盟約なのです。

　このボルバキア菌のおかげで、１０億の男が死にました……
　世界人口は３２億減少した事になります、適正な人口です。
　一年前の約７０億人が３８億人に……しかも男が１４億、女が２４億……
　大雑把に４：６……エラムの比率ですが……

　造化三神は、テラをエラムにせよ、そう云っているとしか思えません。
　しかしこれで目的は達してしまいました、この後は全力でテラを守らねば……
　なんだってしましょう……

　私はネイサンさんたち、最高幹部会を招集しました。
「人口の自然淘汰は終わり、利己特性も多分ベターな方向に向かっていると思います」
「この荒れ果てたテラの自然復活は、一世紀はかかるでしょう」

「その間は空気浄化システムと水質浄化システム、食糧生産施設、電力供給施設でしのぐしかありません」
「火星は幸い移住計画も順調です、フォボスステーションの皆さんは移住を開始してください」

　私はネイサンさんとジョンソンさんと順五郎さんを呼びました。
「テラの事ですが三人に任せます、世界を支配するのも黙認しましょう、うまく破綻の無いようにしなさい」

「今のところうまくいきそうですが、不安定要素がかなりあります、いいですか、三人は私がテラに来たときより何かと私に仕えてくれました」
「でもなにかあったら、さっさと火星に戻りなさい、ナーキッドは火星を本拠地にするのですから」