惑星エラムより愛をこめて 第三部 化野(あだしの)編 【ノーマル版】

第三十一章 女地獄なのよ

大宴会 其の二

　そこへエステラさん、マイクを持ちました。
　皆内心驚いています、この方が唄うとは思いませんでした。

　英語でこう云いました、
「皆さま、私を皆さまのお仲間に、入れていただけないでしょうか」
「こうして素顔を晒して、歩けるようにしていただいたのに……感謝もせず……」
「皆さまの大切なミコ様を憎んで……いままた虫のいい事を……」
　そしてすこし泣きそうな顔で、歌ってくれました。

　ザ・ウォーター・イズ・ワイドという、アイルランドの伝統曲でした、私はこの歌は初めて聞きました。
　物凄く良い歌詞がついています。

　綺麗な声です、切々と歌われると、誰もが聞きいってしまいました。
　ナスターシャさんが、スッーと近ずくと、エステラさんを抱きしめて、「これからもよろしくね」といいました、英語でね……

　侍女さんも、スカボロフェアを歌いました、こちらも綺麗な声です……

「私たちも歌おう」
　と、ヴァルキュリヤの五人がサリーガーデンを歌います。
　本当に綺麗な声です、浸み渡りますよ、これは……
　『雨にぬれた朝　ＭＯＲＮＩＮＧ　ＨＡＳ　ＢＲＯＫＥＮ』を続いて歌います……

　さて、私たちもいい曲を出さないとね……
　で、誰がド演歌を歌うのですか！
　聡子さん……
　せっかくいいムードだったのに……

　宴会は、この後は大和撫子の独壇場……
　やはり小唄が出てきます、ヤットン節やトンコ節、ゲイシャワルツに祇園小唄……
　おっさんの宴会ですか？

　で、東京音頭が出てしまいます……
　季節外れの盆踊り大会……河内鉄砲節がでて……
　ドンチャンとやってしまいました。
　深川芸者さんたちも、東京ハウスの清女さんたちと踊っています。

　アリスは走り回るし、六条さんも楽しそうにしていますし……
　いつの間にか、エステラさんも笑顔で、飲みまくっていますし……
　壊れましたね……

「さて、お開きの時間です、ご苦労さまでした」
「ミコ様、最後にギターでも弾いてくれませんか！」

「でもギターが在りませんが……」
「用意しています、ギターでもバンドネオンでも、ミコ様のお上手な事は皆知っていますから、ケルティシュ・ハープも在りますよ」
　聡子さんが云います。

　そうですね……お酒の席ですから……
　某お酒メーカーの曲でも弾きますか……

　夜が来る、を弾き語りで……
　勿論、歌いましたよ、これ、とてもいい曲ですからね……
　アンコールが出ましたので、本当の最後に、名曲インスピレーションを、姉と一緒に弾きました。
　茜さん、嬉しそうでしたね。