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第三十章 代価という聖書のいけにえ

ヴァラヴォルフ族

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 突然、アンネリーゼさんが、
「先程のイギリスの方との、やり取りは聞こえていました、私はミコ様におすがりしたい、どんなことでも従います」
「お願いです、夜の恐怖からお救い下さい、ドイツ政府には、私がお願いしたのです」

「ヴァラヴォルフ族を捨てるのですか?」
「最早ヴァラヴォルフ族は、二人しか残っていません」

「夜になると凶暴になり、自分で自分を鎖につなぐ日々」
「タイマー付きの鍵のおかげで、何とか夜を過ごしていますが、耐えられないほどの、みじめな生活なのです」

「そんな時、化け物仲間から、ミコ様の噂を聞きました」
「ヴァンパイア族をも従えている方、大いなるお力で、血に酔う一族を救ったと、ならヴァラヴォルフ族も……」
「二人で話し合った結果、一緒にミコ様におすがりしようと……」

「ミコ様、ヴァラヴォルフのいい分など、聞かぬ方が良いかと思いますが」
「この者たちは凶暴で、契約など守った事がないと聞いています」

「私はミコ様にお仕えするために、一族よりつかわされた者、ミコ様への危険は身体を張って排除するように命じられています」
 云うが早いかカーリーさん、テレキネシスを全開にしてアンネリーゼさんに叩きつけました。

 互いのテレキネシス、意志の力がぶつかりますが、やはりカーリーさんの圧勝ですね。

「さて、口上は先程お聞きしました、狼さん、私に何の用ですか?」
「ドイツの女としてきた以上は、それなりの覚悟でしょう、取りあえず望みを言ってみればいかが?」

「先程の能書きを信じるほど、素直じゃないのですよ、私はね」
「なるもならぬも、いった方がいいでしょう、どの道、タダでは帰しませんから」
 自分でもドスが効いているとは思いますが、それなりの嘘をつかれるとね。

 エステラさんは、かなり本音でしたので、許したのですが、この方はね……
 それにしても、カーリーさん、強いですね。
 狼女を叩きのめしたのですから、なんか、その揺れるプルンプルンに……

「カーリーさん、こちらへ」
 私の側にやってきた、カーリーさんを引き寄せて、ちょっとばかりイチャイチャ……

 嬉しそうにくっついてくる美女と、濃厚な口づけを交わして……
「カーリーさん、次の夜伽はいつ?」
「三日後です」
「じゃあ、三日後は早めに夕食を取ってね」

「その時は?」
「激しく愛してあげます」
「うれしい♪」
 カーリーさん、全身から妖艶な色香がでています。

 プルンプルンを撫でて、お尻も撫でて……
 お預けね……
「もう、意志悪なのですから……」
 三日後は凄い事になりそうです。

 そろそろ放置していた、アンネリーゼさんの相手をしますか……
「アンネリーゼ・フリードリヒ・フェルディナント、望みをいいなさい!」
 有無を言わさぬ口調で、命令しました。

「私たちのような人外の者たちも、ヴァンパイア族のようにお情けを賜り、助けていただきたく参上しました」
 そして絞り出すように云いました。
「代価は、私ともう一人のヴァラヴォルフ族……」

「それなら代価は不要ですよ、私はヴラド・ドンさん、つまりヴァンパイアの族長に命じています」
「ただヴァンパイア族も、人外の方々については詳しく知らないので、状況がわかるように、声明だけは出したと報告は受けています」

「声明は耳に入っているでしょう?新世界は貴女たちにも、戸口は開いているのです」

「たしかに声明は知っていますが……その……皆ヴァンパイア族が恐ろしくて……」
「たとえれば、テラの食物連鎖の頂点に立つのが、ヴァンパイア族……だから皆の代表として、最後のヴァラヴォルフ族の私たちが、意を決し嘆願にやってきたのです」

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