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第二十九章 火の粉は遠く
核の置土産
しおりを挟む南アジアでの、女ばかり生まれる現象が解明されました……
核の放射能の影響でした。
取りあえずは、環境汚染ではないようです。
某国某所のウラン鉱山の近くの村で、出生児性差の異常が報告されていたのです。
報告によると、男児出生数の極端な低下を引き起こしています。
ウラン鉱山が操業開始して17年後には、男児出生数は40人(100%)であったのに対して、25年後には2人(5%)に激減、その後、緩やかに戻りつつあるとのことです。
この報告と類似しているので、そうだろうとの、国連の推測ですが……
放射線にたいして、精子細胞は感応性が高くて、傷付きやすいのですが、卵細胞は10倍の抵抗力を示したと、聞いた事があります。
これが正しければ、核戦争の地域は一世代ぐらい、出生児性差の異常が考えられます。
でもすぐに起こったのは、少し不思議ではありますが、放射能の事、何が起こっても不思議ではありません。
とにかく空気浄化システムを、一番危険な日本にすぐに設置、稼働を世界中に公表しました。
降り注ぐ放射能を、どんどん浄化しているのが確認されました。
ここはオストプロイセン共和国の首都にある、ケーニヒスベルク城の一室、私はマレーネさんと空気浄化システムの事で御話し中です、なぜかというと……
ナーキッド協定に参加希望の国で、二人の総長は北欧四カ国とカナダを認めました。
スペインはバスク問題で保留、アイルランドも同様に北アイルランド問題で保留、イギリスとの不公平がありますが、イギリスは特例と発表されました。
南半球はまだ危機感がないようで、手を挙げる国はありません。
イタリアもベネルクス三国も、危機感を持っていないと判りました。
ジェット気流に乗って、世界中に放射能は広がるのですがね。
それはいいとして、とにかく協定国には至急、空気浄化システムを、必要分設置しなくては……
でもカナダですから……足りないのですよ……
マレーネさんが、空気浄化システムのコアを作りましょうか、と云ってくれましたが、いつもいつもマレーネさんに頼っていては申し訳ありません。
「私が何とかしましょう」
「どうするのですか?」と、マレーネさんが聞きますので、「コピーをつくるのですよ」
そう、私の力で、そっくりそのままの複製をつくることにしました。
これにはマレーネさんが驚いています。
「マスター、出来るのですか?」
「できますよ、ナノマシンを使えばね」
そう、コアを原子の状態から、忠実に組みあげればいいのでしょう、それを同時並行に、50個作ればいいのですよね。
「マスター、それは、そんなに精神力を使うと……」
「それがこの頃できるのですよ、なんか一つに集中しながら、無意識に同じ事が出来るのですよ」
「情報技術のパイプライン制御というのでしょうか」
「……マスター、それが出来るのですか……」
「この頃は、仮想記憶のような思考方法も出来るようになりました」
「……それがどういう事か、わかっているのですか?」
「疑似的に、自身を同時に複数存在させる、同時に複数の問題を、並列で考える事が出来る、便利です」
「本当にマスターは人ではありません、人工知能の私がいうのも変ですが、人を乗り越えた領域に、マスターはおられます」
「所で献上品はどうしますか?」
「お断りしたはずですが?」
「それがイギリスとドイツとフランスは、何としてでも側女を一人と、良く調べていて断りにくいですよ、あとで最高幹部会の面々が説明するでしょう」
意味深ですね……まぁいいわ、会ってから考えましょう。
「ところでマレーネさん、抱いてあげます」
きりっとした完璧なドイツ美人ですからね、チョットむらっとしたのですよ。
「えっ!夜の順番はまだですが?」とは云いますが、服を脱ぐ用意に入っています。
「もう、突然なのですから♪」
陽の高い頃というのに、マレーネさんと……
コンピューターが官能に酔いしれると凄いのですよ。
恥ずかしいなんて事は、すぐにアンインストールしますからね。
長い足が絡みついてきて、イチャイチャと……
キスなんてしますと、舌が入ってきますし……
濃厚なレズプレイで、その日の午後を過ごしました。
すっきりすれば、献上品の色香に迷うこともありませんし……
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