25 / 56
第三章 華宮洋子の物語 舞踊競技
私も踊って欲しかった
しおりを挟むナーキッド幹部会の思惑なのか、秋の交流戦にさりげなく次の方たちが、鈴木聡子さんと一緒に見に来ていました。
ナスターシャ・ウラジーミロヴナ・ロマノヴァさん
エステラ・ウィンザーさん
この二人は堂々と、チョーカーなどを付けています。
当然、クセーニャさんとブレンダさんが付き従っています。
案外にこの二人、仲がよいのですよね。
まぁ掛け値なしのプリンセスですからね、華族女学校にはお似合いです。
九月の終りに、マルス移住の話が広まり、56年後に、このテラに衝突する小惑星ルシファーが、破壊されたこの頃、ナーキッド・オーナーがどのような存在かは知れ渡っています。
ただ何処の誰かは、いまだ公表されていません。
「美子様、応援に来ましたわ♪」
ナスターシャさんが嬉しそうに、声をかけてきました。
「応援といっても、私は競技に出ないのよ」
「社交ダンスを踊りになられるのでしょう?」
「大きい耳ですね、誰から聞いたの?」
「華宮洋子さんです、各地のハウスには中継が届くそうですが、ナーキッドの勧めもあり、見に来たのです」
「ナーキッドの思惑はどうでもいいのですけど」
……まったく、ナーキッドの叔父さまたちは……二人がこんなところにいれば、私の事が明るみに出そうじゃないですか……
またリークですか?上手いものですね。
私の女好きを、当然視する風潮を作りだすためですかね……
この二人が、スリーシスターズのインペリアル・シスターと親しく話せば、それは同列の女と推測できますよね……
日本に対しての、リップサービスもあるのでしょうね……
ほらね、記者さんたちの動きが、あわただしいですね……
「美子さま、社交ダンスもされるとか……相手の方がうらやましいですわ、私も踊って欲しかった、足も治して頂いたのですから……」
エステラさんの、嫉妬が少しばかり混じった言葉です。
そこに三校のインペリアル・シスターがやってきましたね。
……ナーキッドの思惑通りになるじゃないの……
「華宮さん、見に来ましたわ、少し羨ましいわね、美子様と踊れるなんて」
ナスターシャさんも、心底羨ましいと思っているようです。
「申し訳ありません、三人で少々私欲に走ったのは確かです」
華宮さんは顔見知りですので、親しそうに話していますが、六条晶子さんと朝倉麻子さんはかなり固まっています。
それでも場がなごんでいきます。
鈴木聡子さんがいるからです、ナーキッドの序列では鈴木聡子さんの方が上で、人あしらいの手腕が半端ではないからです。
大体に、美子さんの女たちの不文律として、足の引っ張り合いはご法度、不思議に守られるのです。
本能的に、美子さんがそのような女を避けるからでしょうね。
「そろそろ始まります、ゆっくり見て行って下さい」
そんな時、美子さんの携帯が鳴ります。
出てみると鈴木順五郎さん。
「美子様、昼の時間少し余っているでしょう、ナスターシャ嬢とエステラ嬢の二人を、踊りに誘ってくださいませんか?」
「私が露出してもいいのですか?」
「そこにいる報道関係者は、全て我々の息がかかっています」
「パパラッチより、ナーキッドのオーナーらしき人物が二人のプリンセスと踊っていたという、スクープ写真が撮られた」
「そしてその相手は、さらに三人と踊っていた」
「かなり無理してとった写真が五枚、何とか分かるのは二人のプリンセスの顔と全員の服、そのうちの一枚には観戦していたギャラリーも写っており、良く見ると制服が分かる」
「なるほど……」
「疑心暗鬼の日本国民は安心するでしょう、インターネットの掲示板に、五枚の写真についてのスレが立ちあがり、解説が乱れ飛びますから」
「どこまでも利用しますね、分かりました」
「恐れ入ります」
美子さんがナスターシャさんとエステラさんに説明していました。
少しばかり聡子さんがむくれていましたけど、お父様に八つ当たりの相手をしてもらいましょう。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる