上 下
90 / 120
第3部 邪神乱舞

【7章】88話 女神印のお薬……

しおりを挟む
 聖天様って邪神じゃないかしら!
 よくもまぁ、あんな恥ずかしい『ご褒美』を考えられること!
  
 でも……早速胸が張って痛いのですが……お産したわけでもないのに……
 しかも、初乳と呼ばれるものが……

 もう!生理が来るというのに!

 乳汁来潮なんてのを始めて知りました。
 インターネットを検索して、それなりの知識をゲットしました。
 とにかく、移行乳から成乳へ……

 でも不思議なのは乳房の形は変わらない……乳首も乳輪も色も変わらない……
 ただ生理が近づくと胸が張ってきて、痛いのですよ……
 チョットばかり巨乳の女♪になるのですよね。

 愚痴っても始まらない……
 とにかく保存しなくては……

 『電動さく乳器』、そして『母乳保存バッグ』……
 冷凍保存すれば、最大六ヶ月保存できるはず……

 でですね、またまた聖天様が夢枕にお立ちになったのです。

「言い忘れたが、汝の母乳は『初乳』だ、大半の女性は、母乳は出産後に出てくるもの、汝の場合、生理が出産の代わりとなる、生理とはせんじ詰めれば、小さな出産と認定できるからな」
「だからというわけではないが、乙女の乳房のままだ、汝は永遠の処女であるわけだからな」
「そしてだ、ここが肝心な所だが、汝の母乳、粉ミルクにしても効果は変わらない」
「粉ミルクは自分でするしかないぞ」

「……」

 やはり聖天様は邪神です!
 そして策士です!
 例のおまけの『ご褒美』、ビニールの小袋を、再生ペレットから作れる生活魔法、このためにあるようなものではありませんか!

「そういうな、粉ミルクは汝の案で閃いたところもある、汝のいわゆる『月の物の血』、血液成分製剤、いやフリーズドライにして粉末化したら肉体の欠損も復活させる、そのような『褒美』など、追加しないか♪了承すれば簡単なフリーズドライ魔法を使用できるようにしてやるが、もちろん『粉ミルク』も簡単にできる♪どうだ」

 聖天さま、どうしても私に、恥ずかしい『月の物の血』案を、飲ませたいような気がします……
 なにか意味があるのでしょうが、このままでは最後の『聖水』あたりも……
 とにかく、このあたりで止めなくては……

「わかりました!『粉ミルク』と『血液成分製剤』、了承いたします!ただし私も恥ずかしいことをするわけですから、さらに『ご褒美』を要求しても良いですよね!」

「聞き分けがよいな、汝との会話は楽しいな♪言ってみよ、ささやかな物なら追加の要求は認めてやろう、交渉に入ろうではないか♪」

「ささやかな要求ですが、幾つかありますよ」
「なかなか手ごわそうだな、なにかな♪」

「まず、取り寄せ能力ですが、お試し無料や初回限定のものが多々あります、これを制限なしに取り寄せ可能とし、消耗品備蓄カタログに載るようにしていただきたい」
「つまり初回限定で、一種類しか取り寄せられないものを全種類取り寄せたい、そういうわけか?」
「はい」
「了承した」

「次も取り寄せ能力にかかわることですが、小袋化をお願いしたいのです」
「よくわからんが?」
「例えば菓子などで100グラムピーナッツの袋を取り寄せたとして、25グラムの小袋に分割する、または駄菓子に多いのですが一個あたりのものを100個購入するとして、これを四個当たりの小袋にまとめる、そんな能力です」
「取り寄せ後の話としてでよいのだな?」
「はい、できたら、液体などは小瓶化も含みたいのですか、さらに付け加えるなら商品のラベルも、そのまま縮小したものを印刷、貼り付けされている」
「ふむ、また変わった要求ではあるが……よかろう」

「さらに取り寄せ能力での物品でいいのですが、望めば解凍したものを取り寄せられる……」
「手間を省きたいというのだな、よかろう」

「もうひとつ……」
「まだあるのか!」

「第一次大戦前の物品の取り寄せを、今少し後ろに……第一次大戦終了までとか……」
「それは聞けぬ、『名をはばかる方』からの『ご褒美』の修正は、ささやかとはいいがたい、あきらめよ」
「……」
「取り寄せ能力の範囲とせよ、わかったな」
「そうですか……では『愛人のみ半分の350円』の括りを、『情人』までとなりませんか?」

「汝はカタログにこだわるのだな?」
「少なくとも私と『ねんごろに』なった方々、面倒は見る所存ですが、なら皆で仲良く楽しく生涯を過ごせないかと思うのです」
「通販カタログが使えれば、何があってもエーリュシオンでは生活に困らない、そう考えるのです」

「……うーん……ではこうしないか、今までの1400円は1500円、700円は1000円、350円は500円、そして望みの『情人』は使えるようにするとして250円」
「ありがとうございます♪」

「まだ喜ぶのは早いぞ、こちらも条件がある、わかっているだろう?」
「まさか?」
「そのまさかだ、『聖水』を承諾してもらおうか」

「……」

「よいのか?汝の大事な『ねんごろ』になった女を幸せにしたいのであろう?汝のわがままで、手放すのか?あまりに身勝手ではないか?」

「……」

「決まりだな、汝の顔は承諾したとある♪」

「ひとつお聞きしてよいでしょうか?」
「なにか?」

「なぜ聖天様は、私に『恥ずかしい』ことを要求するのですか?」
ここで聖天様は、いささか真面目な雰囲気をまといながら、
「邪神悪神に対抗するためだ、汝自身にはかの者どもは手もだせまい、しかし汝の『女』たちには害をなせる、しかもかなり強力にだ」
「呪いなどなら、遠くからでも簡単にかけることが可能、大規模にかけられたら、汝も困ろう?」
「『聖水』の出番ですか……」

「幸い小瓶化の魔法は授けることにしているので、『聖水』用に特別にスプレー瓶に詰めれるようにしてやろう」
「そこまでお考え下っているのですか……ありがとうございます、承諾いたしました」

「承諾するのだな」
「はい」

「そうか、では実行するとしよう」
「そうそう、後出しで悪いが『聖水』を取るのは『母乳』が出る時期の深夜とする、理由を聞きたいか?」
「いえ、今更ですから……」
「そうか、この『聖水』はかすかに良い香りがするようにしてやる、また『聖水』用に特別にスプレー瓶詰めたものは腐らないようにする」

「ありがとう……ございます……」
「汝、泣きそうな顔をしているぞ、そんなにうれしいのか?汝に喜んでもらうと、我も嬉しく思う♪」
「うっ……」

「そんなに喜んでもらうのだから、もう一つ褒美をやろう♪汝の女の部分、これからかすかに良い香りが漂う、嗅がせたら相手はムラっとなるかもな♪」

「うっ……鬼!聖天様は邪神です!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

処理中です...