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第3部 邪神乱舞

【7章】79話 西へ東へ世界は広がる

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 それまでに聖天様がおっしゃっていた『ご神託』、『善悪、抱きまいらせよ』。
 『あるがままに暮らし、その中に喜びを見つけ、日々の暮らしを充実したものにせよ』
 それをできる限り実践いたしましょう……

 年末、13月の始め、ついにガメラーヤ帝国の帝都サマル、このオスクを繋ぐ定期航空路ができました。
 オスクから旧ツラン王国のバムまで約1、000キロ、そのバムから旧ウラルトゥ王国のヴァンまで約800キロ、ヴァンからサマルまで約1、200キロ、計3、000キロとなります。
 一〇〇式輸送機の民間用旅客機型MC―20―IIと一式貨物輸送機を就航させます。
 MC―20―IIは巡行速度380キロ、途中のヴァンでいったん給油として、10時間で着く予定です。

 オスク、バム、ヴァン、サマルの四か所に陸軍の調布飛行場を持ってきました。
 メイン滑走路(全長1、000m、幅80m)と東西方向の横風用滑走路(全長675m、幅80m)、合計2本のコンクリート舗装滑走路です。
 とにかくすごいの一言ですね……
 
 航空機燃料も『九一揮』91オクタン価のものを使用できます、必要ならば『九五揮』95オクタン価も可能です。
 さらにいえば100オクタン価、これは台湾に在庫があったのですが、あった以上、これも可能です。
 これに水メタノール噴射装置を使えば、疾風の687キロに近い数字は叩き出せたのでは……

 ただ潤滑油がね……でも、アメリカのテキサコの120番は、どうやら備蓄していたようで取り寄せできたのです。

 バム、ヴァン、サマルはガメラーヤ帝国が責任をもって警備するそうです。
 
 航空路は西へも計画しています。
 オスク・ヴェネ間が840キロ、ヴェネ・ブルタ間が1、200キロ。
 ヴェネとブルタに飛行場をつくるつもりです。
 ただこちらは鉄道が優先です。

 とにかく人的な交流はこれでOKですね、奥さんたちの里帰りも便利になるでしょう。

 ジャハーンギー帝からは、鉄道を要望されています。
 ただオスクからサマルまでは、フルフル山脈を越えるとほとんど砂漠地帯、トンネルも橋梁も極力避けたいので、オスクからまず南下して、フルフル山脈の端と海が接する場所を通り、山脈沿いを北に上がり、砂漠の向こう側となる高地を東に走り、サマルに向かう川沿いを南下するルートになります。
 ただ、このルートは魔物の生息地帯を突っ走るルート、魔物除けがなければ恐ろしくて抜けられないのです。
 今のところ計画中なのです。

 私の髪などの魔物除けですが、これ500メートルの範囲で効力を発揮するわけですが、夜間になると400から500ぐらい、つまり最外周の50メートルぐらいは、多少効力の低下があるのです。
 なぜかといえば、魔物は昼間より夜間のほうが強くなるようなのですね……
 で、夜行列車は基本的に魔物除けを乗せて走るわけですよ。

 これって便利な所もあるわけですよね、魔物といえど、この世界の生態系を構成するわけですからね。
 線路で生態系を寸断するのは良くないことで、夜間には魔物も、何とか全力で効力の落ちたところを、走りぬけることができるわけです。
 線路に悪さするほど余裕はないわけで、全速で魔物除けの最外周が接する部分を走りぬけるだけですからね。

 線路と駅舎それに空港は、ロマンチック・ドリーム・タウンの範囲とペルム誓約加盟国は認めています。
 特に鉄道は、ペルム誓約加盟国内を通過するようになっていますので、問題はありません。
 列車強盗などはあまりないでしょうね。
 なんといっても、九五式装甲軌道車が連結されているわけです。

 ここはエーリュシオンですから、砲塔には試製四式車載重機関銃が設置されています。
 一〇〇式鉄道牽引車も、九四式山砲を積んで、貨車山砲としたものを連結しています。
 重機と山砲を積んでいるのでね。

 あと君主用に御料車も用意してあります。

 ルーシー駅は元の日光駅、ヴェネ駅は旧原宿駅、ブルタ駅は二代目の門司港駅、明治の建物を持ってきています。
 東京駅はさすがにね、遠慮しました。
 小さいユートピア・タウンの扱いです。
 各国の女神恩賜医療財団の本部も、ここに移ってきています。
 連絡事務所の代わりです。

 そのほかの主要な駅舎には、ささやかですが貨車を改良した売店と、寝台車を利用した列車ホテルを停車させています。

 ルーシー・オスク間、120キロは近距離用としては、1067ミリメートル軌間用に改造された、帝国陸軍の鉄道連隊用のK2形蒸気機関車が営業運転をしています。
 現在、一時間間隔で朝の八時から夜の八時まで、13本が走っています。
 途中の駅は30キロごとに三駅あり、時速30キロで走って、停車時間をいれて4時間30分かかっています。

 この30キロごとの途中駅は、エーリュシオンの駅馬車の習慣のようで、30キロごとに小さい町などがあるのに由来しています。
 鉄道はその駅馬車の道に、沿うようにして敷設されているためです。

 先ごろ試験的に急行列車を走らせました。
 8620形機関車を投入、時速50キロで走り、2時間40分で着きます。
 
 オスク・ヴェネ間が840キロには、平均60キロごとに13の駅舎があり、そのうち6つの駅で給炭水の補給となります。
 各駅停車で途中の駅に10分、そのうちの6つで30分ですが、120キロごとの7つの区間に分かれています。
 6つの駅で給炭水の補給とともに乗員の交代も行います。
 こちらは当分三時間に一本の間隔で走っていますね。

 直通の各駅なら31時間10分かかるのですが、現在直通は次の急行列車のみです。

 急行列車は6つの駅しか止まりませんので、19時間48分となりますかね……
 朝10時に始発駅を発車、翌朝8時48分着の予定です。
 さすがに全席一等寝台車で、食堂車と売店がついています。
 乗車券、急行券、一等寝台券が必要なのです。

 ただ計画として、夜間直通貨物列車を走ら、それに二等寝台車を連結する計画があります。
 こちらは乗車券と二等寝台券のみとなり割安なのですよ。
 
 荷物の荷下ろしなどの関係で、6つの駅で一時間も停車します上に、機関車が9600形、時速30キロなので、34時間もかかります。
 夕方の8時に発車、翌々日の朝の6時に着きます。

 ヴェネ・ブルタ間が1、200キロ、途中駅が9つあります。
 おおむねオスク・ヴェネ間と同じ、直通急行列車で28時間30分、夜間直通貨物列車ではなんと49時間もかかります。
 急行は朝の10時に発車、翌日の午後2時30分着です。

 オスク・ブルタ間2040キロなら、航空路では、MC―20―IIが巡行速度380キロなので、6時間、前後の離着陸に30分ずつかかるとして、7時間あたりですね。

 とにかく航空路は東へ、鉄道は西へです。
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