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第2部 嵐の前の平穏な日々
【6章】73話 神の思惑
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それにしても上手くいくことだ……
聖天は笑いが止まらなかった。
あの魔法が発動された場合、身も心もあの者に抗えなくなる……
もともと『魅了』があの者には埋め込まれている……
邪神といえど、『魅了』の能力の前には……
『名をはばかる方』が、ユニセックスの身体になった、あの者の潜在的な願望に利用されたのだからな。
女性フェロモンを変質させて、異性だけではなく、女性にも影響を及ぼしている。
女は性欲が刺激される。
下世話にいえば性感帯は敏感になる、あの者の側にいるだけでそうなる。
勿論、男は『魅了』だけで骨抜きになる……が、女はそうはいかんのだ……
子をなすために、性欲が強化されている生き物、男よりも求めるように生まれついている……当然といえば当然……
この『魅了』の前には男は骨抜き、女は抱かれたくて仕方無くなる。
そして『軽く口づけ』ぐらいなら、どんな相手でも拒否などしない……もし『祝福の口づけ』などしようものなら……
この世界の邪神のほとんどは元は土着の神、つまりは地母神、女なのだ……
しかし、いつの間にか男神が生まれ、悪しき者に変質していった……
あの者の『神託』の理解は正しいのだ。
『善悪、抱きまいらせよ』とは、『あるがままに暮らし、その中に喜びを見つけ、日々の暮らしを充実したものにせよ』……
喜びに満たされた日々を送り、悪しき者はそれに感化され、率先して喜びの日々を送る……
まことにその通り!
ただ方法論は、あの者の考えでは上手くいかぬ……
しかし……くっ、くっ、くっ……
まったく『名をはばかる方』は全てを見通されている……
未練?あの者の未練とは欲望、それを昇華した存在、自ら口に出しているではないか。
『善は善に偏れば悪に転じ、悪は悪に偏れば善に転じる』と。
この世界の成り立ちについて、薄々感じているあの者でも目が曇るようだ。
聖天がこのように考えているのを、
『名をはばかる方』が見つめていました。
……やれやれ、苦労させられること……
しかし、聖天ではないが、これほど上手くいくとは驚いた。
聖天は娯楽の感覚なのだろう、妙に肩入れしているように見える。
あの者と聖天との親和性は極めて高いのだ。
聖天は雌雄の魔王であり和合の女神、慈母でもある。従って聖天に肩入れさせれば……
あの者は欲望を昇華させる程の強さを持った。
欲望を博愛に変えたのだ。
このままいけば、二元論は他を許容できない……互いに争うからだ、そしてこれが世界の不変の真理……
このままでは、世界はいつか『なにもない世界』に戻ってしまう。
だから失敗しても構わないこの世界を作って、あの者に好きにさせて見たのだ……
しかし、この一年でかすかな灯火が見えてきた……
まさか、肉欲を昇華させるとはな……
たしかに『肉欲をともなった愛』は動的……健全なエロスは世界を救うというのか……
私の作り出した世界、三千世界は間違っていない……
生物の子孫を残す本能が、躍動感のある世界を持続させる……
さて、仕事はいまから佳境に入るだろう……
イルマタル・ロイスターとか称しているあの者、聖天からの『褒美』を上手く使って、私の直面する命題を解いてくれた……
あとは実戦だけだが、それも目処がついた。
邪神を活性化させた者は撤退させよう……四人の阿修羅は汚れ仕事を良く果たしてくれた……
この世界を舞台にした実験は終わった……あとはあの者の好きにすればよい。
聖天は私の言葉を伝えていたが、あの者がどうするか、楽しく見せてもらうとするか……
アポピスとかいう蛇だったか、あれが何も出来ずに滅したとき、全ては決まったのだからな。
邪神たちも、このまま滅するのも不憫というもの、なんとかあの者が救済してくれれば良いのだがな……
中でも元土着の神、地母神は何とかしてやりたいものだ……
『善悪、抱きまいらせよ』
誰も解けない命題なのだが……あの者はよい解釈をしてくれた……
このままあの者の行動に期待することとしよう……
そうだ、私も『褒美』をやろう!
『検索した物』をそっくり複製できる力なんてどうだろう、これなら取り寄せ能力の範囲内……まぁ物質であることが条件にはなるが。
最新のものを取り出せばオーバースペックだな、戦前のものに限ると限定するか……
あの者は武器など欲しがっていたな、それに鉄道も予定しているようだし……
ふむ……日本帝国陸軍の装備に限定すればいいのではないか……
なるほど、これは面白い……あの者がどう使うか……
しかし長距離の旅客鉄道となると、陸軍鉄道連隊では荷が重いか……第一次世界大戦以前のものなら、『日本帝国陸軍の装備』という『縛り』を外してもいいか……
ロケット号を予定しているようだが、もっと荷が重いだろうしな……
いかん、このあたりで止めておかねば……
私が『褒美』を出すのだ、これからもしっかりと仕事をしてもらうとするか……
聖天にも私の『褒美』を伝えておくとするか……
『名をはばかる方』は、聖天とコンタクトをとった。
聖天は笑いが止まらなかった。
あの魔法が発動された場合、身も心もあの者に抗えなくなる……
もともと『魅了』があの者には埋め込まれている……
邪神といえど、『魅了』の能力の前には……
『名をはばかる方』が、ユニセックスの身体になった、あの者の潜在的な願望に利用されたのだからな。
女性フェロモンを変質させて、異性だけではなく、女性にも影響を及ぼしている。
女は性欲が刺激される。
下世話にいえば性感帯は敏感になる、あの者の側にいるだけでそうなる。
勿論、男は『魅了』だけで骨抜きになる……が、女はそうはいかんのだ……
子をなすために、性欲が強化されている生き物、男よりも求めるように生まれついている……当然といえば当然……
この『魅了』の前には男は骨抜き、女は抱かれたくて仕方無くなる。
そして『軽く口づけ』ぐらいなら、どんな相手でも拒否などしない……もし『祝福の口づけ』などしようものなら……
この世界の邪神のほとんどは元は土着の神、つまりは地母神、女なのだ……
しかし、いつの間にか男神が生まれ、悪しき者に変質していった……
あの者の『神託』の理解は正しいのだ。
『善悪、抱きまいらせよ』とは、『あるがままに暮らし、その中に喜びを見つけ、日々の暮らしを充実したものにせよ』……
喜びに満たされた日々を送り、悪しき者はそれに感化され、率先して喜びの日々を送る……
まことにその通り!
ただ方法論は、あの者の考えでは上手くいかぬ……
しかし……くっ、くっ、くっ……
まったく『名をはばかる方』は全てを見通されている……
未練?あの者の未練とは欲望、それを昇華した存在、自ら口に出しているではないか。
『善は善に偏れば悪に転じ、悪は悪に偏れば善に転じる』と。
この世界の成り立ちについて、薄々感じているあの者でも目が曇るようだ。
聖天がこのように考えているのを、
『名をはばかる方』が見つめていました。
……やれやれ、苦労させられること……
しかし、聖天ではないが、これほど上手くいくとは驚いた。
聖天は娯楽の感覚なのだろう、妙に肩入れしているように見える。
あの者と聖天との親和性は極めて高いのだ。
聖天は雌雄の魔王であり和合の女神、慈母でもある。従って聖天に肩入れさせれば……
あの者は欲望を昇華させる程の強さを持った。
欲望を博愛に変えたのだ。
このままいけば、二元論は他を許容できない……互いに争うからだ、そしてこれが世界の不変の真理……
このままでは、世界はいつか『なにもない世界』に戻ってしまう。
だから失敗しても構わないこの世界を作って、あの者に好きにさせて見たのだ……
しかし、この一年でかすかな灯火が見えてきた……
まさか、肉欲を昇華させるとはな……
たしかに『肉欲をともなった愛』は動的……健全なエロスは世界を救うというのか……
私の作り出した世界、三千世界は間違っていない……
生物の子孫を残す本能が、躍動感のある世界を持続させる……
さて、仕事はいまから佳境に入るだろう……
イルマタル・ロイスターとか称しているあの者、聖天からの『褒美』を上手く使って、私の直面する命題を解いてくれた……
あとは実戦だけだが、それも目処がついた。
邪神を活性化させた者は撤退させよう……四人の阿修羅は汚れ仕事を良く果たしてくれた……
この世界を舞台にした実験は終わった……あとはあの者の好きにすればよい。
聖天は私の言葉を伝えていたが、あの者がどうするか、楽しく見せてもらうとするか……
アポピスとかいう蛇だったか、あれが何も出来ずに滅したとき、全ては決まったのだからな。
邪神たちも、このまま滅するのも不憫というもの、なんとかあの者が救済してくれれば良いのだがな……
中でも元土着の神、地母神は何とかしてやりたいものだ……
『善悪、抱きまいらせよ』
誰も解けない命題なのだが……あの者はよい解釈をしてくれた……
このままあの者の行動に期待することとしよう……
そうだ、私も『褒美』をやろう!
『検索した物』をそっくり複製できる力なんてどうだろう、これなら取り寄せ能力の範囲内……まぁ物質であることが条件にはなるが。
最新のものを取り出せばオーバースペックだな、戦前のものに限ると限定するか……
あの者は武器など欲しがっていたな、それに鉄道も予定しているようだし……
ふむ……日本帝国陸軍の装備に限定すればいいのではないか……
なるほど、これは面白い……あの者がどう使うか……
しかし長距離の旅客鉄道となると、陸軍鉄道連隊では荷が重いか……第一次世界大戦以前のものなら、『日本帝国陸軍の装備』という『縛り』を外してもいいか……
ロケット号を予定しているようだが、もっと荷が重いだろうしな……
いかん、このあたりで止めておかねば……
私が『褒美』を出すのだ、これからもしっかりと仕事をしてもらうとするか……
聖天にも私の『褒美』を伝えておくとするか……
『名をはばかる方』は、聖天とコンタクトをとった。
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