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第2部 嵐の前の平穏な日々

【4章】44話 オーダーメイドの貞操帯なんて取り寄せします。

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「サロン・キティで、いま話題になっている話しがあるのですが……」
 トランシーバーの乱用で、盛り上がっている話なのです。
 女子トークにしては余りに生々しい話題、いわゆる貞操帯の話なのですが……

「やめませんか?私も面倒くさいのですけど」
「そんなはしたないこと、許されません!」

 でもね……金属製はいかがなものかと……

「イルマタル様はショーツの上に、チェーンの物を申し訳程度におつけになられていますが、私たちはそうもいきません」
「ちゃんとした物をつけていないと、外は歩けません!」
 そうなのですか……まぁエーリュシオンという世界の女の風習、皆がそれでいいなら反対はないのですがね。

 盛り上がっている原因はというと、装着感が悪いということのようです。
 そして鍵など持たなくても、『用を足せる』ものが欲しい……
 
 鍵は自宅に一つ、そして私に鍵を預ける……なのだそうです。
 私が収納すれば、いつでも取り出せる、鍵をなくすリスクは一番少ないというのですが……

「勿論イルマタル様は、自由にお使いになればいいのですよ♪」
 誰がこんなことを考えたのですか?

 そういえばエヴプラクシヤさんが、このようなことをいっていましたよね。 
「……でもイルマタル様が望まれるなら、装着し鍵はお渡しするが?」

 さらにこんなこともいっていたような……
「聞いた話だが、貞操帯に男のあれを模したものを取り付けて、装着させる者もいると聞く」
「私はイルマタル様が望まれるのならそれでも良い。命じられたら何でもする決意だ」

 どうもこの貞操帯の話し、エヴプラクシヤさんが元凶のような気がしてきました……
 確か私が出した五種類の貞操帯を、全て持って帰ったのですよね、まさか、皆で品評会をしたのでしょうか……

「イルマタル様は私たちのご主人様、私たちは妻や妾ですがご主人様の女奴隷でもあるのですよ」
「私たちを支配する象徴として、秘めたる場所の鍵をお持ちいただくことは、ご主人様の義務ではありませんか♪」

 オーレリーさんのお言葉です、そして他の面々も頷いたりしているのです。

「女の命を守る物、もっと良い物をお願い出来ませんか♪」
 そして見せてくれるのですよ……鼻血が出そう……
 降参です、でも、チョット嬉しかったりして♪

 イギリスのTB社の新型を採用しました。
 『用を足せる』条件を満たすもので、お尻もガードしていますからね。
 これ皆さんが選んだのですよ!

 トイレの後は必ずティッシュで丁寧に拭くことになります。
 その為、ウエットティシュ除菌アルコール配合の物を持ってもらいます。

 とにかくこれはオーダーメイド、採寸が必要なのですが……
 聖天様のご褒美で、取り寄せできるようになっていますよね。

 旧型はお尻がチェーンですから、『大』のほうについては問題がないので、私はこれを一押ししたのですけど……
 採寸も必要ないし……

 この会社の物は、90日の連続使用が出来ると、レポートが付いています。
 肌との接触部はゴムのようで、確かに金属の冷たさはなく装着感はいいものでした。

 私、かなり抵抗したのですけど、押し切られました。

 誰に配布するかで、この後もめました。
「鍵はイルマタル様にお預けする以上、女中、夫人まででしょう!」
「いや、ロマンチック・ドリーム・タウンに関係する女全員にすべきでしょう!」
「通勤の召使さんは除くべきだ!」

 で、結局常識的なところで落ち着いたのです。
 やはり鍵は『主』が持つべきだと……
 すると、必然的に女中まで……

「ところで、イルマタル様も装着されるのですね!」
「えっ!」
「えっ、ではありません、お風呂に行けば皆にみられるのですよ!」
「だから、今までどおり、はずし!……はずせない……のでしたね……」

 これは絶対に何とかしなくては!
 
 私の猛烈な反対で、お風呂ははずして入ることになりました、いや、そうしました!
 その代わり鍵は、後改良で『へし折り式』となりました、私が魔力で鍵を改良するのです。
 オリジナルの鍵は私が預かり、改良した『へし折り式』を渡します。

 サロン・キティのメンバーからはかなりのブーイングをいただきましたが、押し切ったのです。
 ただね、私も『お尻』ガードの貞操帯は、必ず装着すると誓わされたのですよ……
 
 でも、よく考えれば、今までどおりではないですかね……鍵を持つ以上、トイレもいままでどおり……

 あれ?
 いつのまにか、『鍵』を私がもつことになっていますが……サロン・キティの策略?

 いや、『流れ』なのでしょうね、私を取り巻く『雰囲気』が影響を与えたのでしょうね……
 私の考え、望み、そのような思いがエーリュシオンという世界に影響を与える……
 この貞操帯騒動も私の責任なのでしょう……

 とにかく配布です。
「各自で採寸してくださいね」
「えっっっ、イルマタル様が測ってくれないのですか?」
「でも採寸は……」
「私たち、どこを測ればいいのか分かりません、お願いします♪」

 絶対に私に測らすつもりのようです、おっさんとしては望外の喜びではありますが……
 
 で、ですね、測ったわけですよ……色々と形が……毛の色が……

 いけません、目に焼きついてしまいました。
 なんとか理性が勝利したようです。
 放課後、せっせと測らせていただきました!

 皆さん、面白がっていたような、いえ、真剣だったのかもしれません。
 石鹸の香りが漂ったりしていますが、中には香水のような……

 この『雰囲気』に、誰もが染まっていくのですよ。
 だってあのターニャさんだって、お色気満点な仕草で、採寸の姿勢をとったのですから……
 ゴツくて、ちっちゃいマゾネスのようなこの娘、お仕置きをくれてあげました。
 
 この貞操帯の配布も完了し、お風呂では召使さんたちの視線が痛いのですね。
 どうやら自分たちもつけたいようですが……
 勘弁してくださいね、とくに鍵を魔力で作るのは、とても疲れるのです。

 そうそう、これに関連した話なのですが……
 私の奴隷さんたち、つまり手を付けていない方々の……その夜の欲望の処理は……
「自宅で貞操帯を外したら、自分で処理するのですよ」
「娘たちには母親が教えます、知らなかったのですか?」

 知らなかったのですよ!
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