エーリュシオンでお取りよせ？

第２部 嵐の前の平穏な日々

【4章】４３話 トランシーバーは迷惑です。

　いよいよサトウダイコンの種まきを始めましょう。

　とりあえず準備したビニールハウスで種まきです。
　春の終わりぐらいには苗を植えられるでしょう。

　まぁ、山のようにノウハウが書かれた、マニュアルを作り渡してあります。
　ほとんど準備しているのですが、第２農地の新しい召使いさんに、ビニールハウスを作ってもらいました。

　スコップなんて持ってね、ビニールハウスの形に溝を掘るわけですね。
　出入り口は掘りませんよ、三方だけです。

　ブロックを等間隔に溝に置き、パイプを通して針金でくくり……骨組みを……
　ビニール貼りはちょっと難しいかと思いましたが、器用ですね、ドアを取り付けて完成……
　３０人でわいわい、楽しそうにしていました。
　
　出来上がったビニールハウスの中でお弁当です。

　本日は『カジキの甘酢あんかけ』ですね……
　根菜のひき肉あんかけ、春雨チャンプル、ラタトゥユ、ひじきと人参の炒め物も入っています。
　冷凍パンはかなりの量を配給しています、野良作業で疲れたでしょうからね。

　水筒として某国産メーカーの５００ｍｌの物を支給してあります。
　各自出る前に、好きな飲み物を頼んでおけば、食堂で詰めてくれます。
　その為に、各自の名前が書かれたシールが貼ってあります。

　これから、ここがお昼の食事と休憩の場所となるのです。
　皆で使いよいようにしてね♪

　このロマンチック・ドリーム・タウンのあたりは寒いですが、そんなに雪が降るわけでもありません。
　もし積雪などで潰れれば、女中さんが魔法で修復する手はず、風も暴風は吹かないそうです。
　そもそもここは街中ですからね、外壁が風をさえぎっているのですよね。
　　
　召使さん用の屋外作業服はジャンパースカートとジャケット、そんなに高いものではありません。
　ポリエステル製の６，５００円程度のもの、召使さんって可愛いい娘さんばかり、ジャンパースカートなんてね、似合っているのですね。
　農作業ですから、エプロンも激安通販のものを支給しています。

　先の召使さんたちは、これを大切に着てくれます。
　穴なんて、自分でつくろう方が多いのですよ。
　汚れればその日のうちに、洗濯しているようです。

　第１農地の方たちも、同じようにビニールハウスを作って、和気あいあいと昼食のお弁当などを食べておられると、報告を受けています。

　なんでも屋外用の薪ストーブを持ち込んだとか、災害用にいくつか備蓄しておいたものです。

　懐かしい時計型で調理もできる優れもの、乾燥薪は通販で取り寄せできます。
　Ｃ級なら２０キロで１，２００円ぐらいです、ナラのＡ級で１，８８０円、この世界、薪はどこでも手に入るわけですから、後々便利と考えています。

　この冬はストーブ係を一人持ち回りで決め、お湯を用意したりしてお弁当を温めたりしたとか。

　ジップロックという、食材の密閉用のビニール袋みたいなものにお湯をいれます。
　これをお弁当の上下にはさみ二重にビニール袋にいれ、約一時間で温まるようですよ。
　これ相談を受けて私が検索したのですけどね。

　ユーテリティビークルの運転も習ってもらっています。
　何とか運転できるまでになっていましたね……
　がんばっている皆さんのために、私もがんばるのです。

　第２農地の方たちも、なじんでくれそうですね、よかった♪
　
　近頃は皆さん、私に親しみを持ってくれたようで、このような相談も受けるわけです。
　勿論侍女長さんを通してですよ、さもなければ、ご機嫌斜めになるのでね。

　先ごろ侍女長さんからのたっての要望で、常に使う服は洗い代え用に、同じものを渡すことにしました。
　このため、住み込みの召使さんたちはこの屋外作業服を通年と夏用、計四着供与となったのです。
　その上でロングのメイド服ではありますが、ポリエステル製のものを一着支給しています。

　ツナギのレディース作業服、重作業服ですが、結局、女中さんたちや侍女さんたちにも配布いたしました。
　重作業服として、デニムのインディゴの物を一着支給することします。
　某有名ジーンズメーカーの物ですので、お高いのですよ。

　女中さんたちの制服は、侍女さんたちより少し下のものですが、ポリエステル製のロングのメイド服です。
　ポリエステル製のロングのメイド服をもう一着、住み込みの召使さん用の屋外作業服を通年と夏用、計四着支給となりました。
　夏用といってもね、ジャケットは脱いで、長袖のポロシャツを半袖に替えるだけ、靴は色違いをもう一足支給しました。 

　通勤の召使さんはポリエステル製のロングのメイド服、もう一着供与です。
　臨時雇員さんにも、召使さん用の屋外作業服を通年と夏用、計四着供与です。
　重作業服も一着供与です。

　夫人さんは侍女さんと同じ支給条件、そして夫人さんたち以上は支給の服をもう一セット。

　防寒コートや防寒ブーツも支給、または供与していない方には全員です。

「皆さん、これぐらいあれば大丈夫ですよね」

　とにかくですね、指定の服は倉庫に大量に備蓄です、とくに召使さん用の屋外作業服や重作業服は大量に必要です。
　農作業に使うのですからね、廃棄処分がどんどん出てくるはずです。

　倉庫トレーラーを幾つもだしましたね、ロマンチック・ドリーム・タウンでは、このあたりは『倉庫街』と呼ばれるようになりました。
　
「次々とで申し訳ないのですが……」
「まだ問題がありますの？」

「街の中での、連絡がつけられないかと……」
　どういうことかと聞きますと、女中さんや侍女さんたちが仕事中に、連絡をとりたいことが多々あるそうです。
　まぁ、そんな場面は理解できますよね。
　
「どの範囲まで必要なのですか？たとえばドリームホテルの中とか、ロマンチック・ドリーム・タウンぐらいはとか、オスクの街全体とか、いろいろあるでしょう？」

　簡易業務用無線機なら街中でも３キロほどはカバーできるでしょう、そんなに高い建物もないし、この世界ですから免許なんて関係ないし……
　
　結局ロマンチック・ドリーム・タウン内で使えれば良いとなり、侍女さん以上には全員配布。
　あとは何台か置いておき、必要になったら貸し出すという形式となりました。
　女中さん以上に講習会などを行い、参加者だけが使用できるわけです。

　『サロン・キティ』の面々は気安く使ってくれるのですね、頻繁に充電しているみたいです。
　有ること無いこと、電波に乗せて、ペチャクチャとお喋りに余念がありません。
　女性の長電話はストレス発散の一つ？

　大体の標的が私、服の皺がどうとか、口にケチャップをつけていたとか……
　なぜ分かるかって？翌日に必ず指摘されるからです！

「イルマタル様！身だしなみは大事です！」
「イルマタル様！子供ではありませんよ！」
　こんな感じです。

　女中さんのお尻を触ろうものなら、軽蔑の眼差し……ではなく、
「イルマタル様！私たちのお尻は待っていますよ！」
　なのですよ！

　この頃、凄いというかなんというか……
　セクシーなお姿なのですよね、モンローウォークなども……
　誘惑するなら何でもＯＫ……
　どうもそのあたりのノウハウも、交換していると思われるのです。
　夜の営みも、誰とどうしたとかね、どうも全員で共有しているとしか、思えないのですが……

　このトランシーバーは非常に迷惑です。