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第1部 夏至から物語は始まった。

【3章】35話 百合の園っていいものね♪

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「今年もいよいよ終わりに近づいてきました、年末までの最後のお休みの今日、親睦など盛大に致しましょう!では乾杯!」
 
 とりあえずシャンパンで乾杯です。
 容器はこの後のことを考えて紙コップ、生活魔法で紙の原料に還元できますからね、一応は紙コップホルダーに収まっています。
 
 本日は立食パーティー、テーブルには美味しそうなものが並んでいます。
 
 実はこの日の為に、雨天集会棟を作ったのです。
 まぁ屋根のある運動場ですかね、召使いさんの宿舎を作ったシリーズで、幾つか繋げて大空間の物が取り寄せ出来たわけです。
 
 ここに集まったのは召使さん60名、女中さん108名、夫人さん28名、侍女さん9名、侍女頭さん3名、侍女長さん3名、側妻3名、正妻1名、そして私の215名、おっとターニャさんと商会幹部2名を忘れていました。
 この大空間の雨天集会棟、400名を収納しても余裕の広さなのですよ。
 
 寒いですから、ダルマストーブを幾つも出しています。
 燃料はダルマストーブ用のコークス、こいつはマキでも使えますから、この世界では便利ですよ。
 勿論ストーブガードの中に納まっています。
 火が消えかけたら、気づいた人にコークスを投入してもらいましょう。
 
 テーブルなどを並べて、その上に取り寄せたお料理を並べました、某パーティーサービス社の一番高いバイキングブッフェ、250人分、そしてスウィートデザートビュッフェも250人分。
 飲み物も山のように取り寄せています。
 足らなければどんどん出してあげますよ!

 アルコールも軽い物を出しています。
 ビールにワインそしてシャンパン、全て700円以下のものですよ。
 
 ダルマストーブを取り寄せたときに、『煮炊き用小型石油コンロ』なるものを見つけたのですね、
 これがトレーに入ったご馳走を暖めているのですよ♪ 
 とても好評なのです♪
 
 勿論、『餅つき』もしたのです。妻さんたちはへっぴり腰でしたが、ターニャさんが凄くてね、臼がこわれそうでしたね。
 
 パーティーはワイワイと始まり、私と妻さんたちはホステス役に忙しく専念しているわけです。
 
「イルマタル様、孫娘ももうすぐ15歳なのです、いつでも受け入れるように言い聞かせております、なんなら息子の妻や私も一緒に……」
 帝国侯爵家の先代未亡人さんですね……
 
「そんなに無理をなさらなくてもいいのですよ」
「私は受け入れたのです、のんびりと過ごして構わないのですよ」
 
 一瞬泣きそうな顔をされましたが、
「有り難いお言葉ですが、先のことを考えると……」
「帝国との約束ですので、このロマンチック・ドリーム・タウン以外の場所では、自由な行動は無理でしょう」
「でも、これから先のことは私と一緒に考えましょう。生きがいを探しましょう」
 
 涙が一粒……思わず抱きしめて、
「ご安心なさってください、私が必ず守って差し上げます」
 
 帝国侯爵家の先代未亡人さん、なにかホットとしたような顔になりました。
 
「オーレリー様が身を任せるわけですね、そうですね、私もオーレリー様を見習い、出来ることを始めましょう」
 
 この出来事いらい、この方はオーレリーさんを手助けし、ロマンチック・ドリーム・タウンの対帝国との交渉に、知恵を貸してくれるようになりました。
 
 反乱関係者一族の方も、この出来事を見ていたようです。
 私を信頼してくれたようで、いろいろと助けてくれるようになったのです。
 
 女中さんや召使さんのささやかな相談なども、気さくに乗ってくれるようで、シンパなんてできているようです。
 
 それから……以来ものすごくプッシュしてくるわけで、このあたりは侍女長さん並の迫力なのですよ。
 男なら股間を押さえなければならないでしょうね。
 
 機会があれば胸を押し付けてくるし、貞操帯なんてチラチラと……
 仲良しになった侍女長さんが、いらん知恵を授けているのですね。
 
 側妻さんたちまで、こんなことをいうのですよ……
 
「あの方々は、イルマタル様が愛さなければ……生き甲斐が必要なのですから、イルマタル様を生きがいとされているのです」
「一夜の出来事をと勧めますわ、私たち、そんなに怒りませんからね」
 
 で、む・ふ・ふ・となれば、あとで膝ぐらいは抓られるのですよね。
 理不尽極まりない奥さんたちです。
 
 女中さんはといえば……
 
「イルマタル様、こんな素晴らしい仕事を与えていただき、どのように感謝しているか、お判りにならないでしょうね」
 
「私は王国の侯爵家にお仕えしておりましたが、侯爵様は妾様が3名もいらっしゃるのに、私たちをとっかえひっかえ……」
「奴隷ということで、さして大事にはされなく、お風呂なんて水浴びで済ましていました、寒いときはお風呂が嫌でした」
 
「与えていただいた部屋は暖かく、お食事もおいしく、その上3度もいただきお腹が減ることもありません」
「お菓子などという、高価なものまでいただけるなんて、言葉もありません」
 
 女中さんですが、目がキラキラとしているのですね。
 制服がよく似合った、綺麗な方たちなのです。
 
 女中さんにも制服を支給したのです。
 デニムのサロペットのスカート、2,500円程度、デニムのジャケット、1,800円程度、長袖Tシャツ、1,800円程度、サイドゴアブールツ、3,000円程度、合計で1万円以下ぐらいの物です。
 デニムはインディゴですよ、ちょっとかっこいいのです。
 
 結局、屋外作業服として侍女さんたちにも支給しました。
 概ね好評でしたね。
 
 このため女中さんのロングメイド服は、召使さんのロングメイド服よりも少し品質のよいものも支給しました。
 
 あとで住み込みの召使さんの屋外作業服、通勤の召使さんにも支給しますか……
 いっそのこと全員に、メイド服と屋外作業服を支給といたしましょう。
 
「いただいた服は、見たこともないほど立派で、動きやすいものです♪」
 でしょう!特に屋外作業服はいろいろ探したのですから……
 最初はキュロットパンツを考えたのですが、例の貞操帯がね……こいつがある限り、ズボンは無理があるのですね……
 
「ところで、私たちをお召しにならないのですか?いつかいつかと、お待ちしておりますが?」
「少なくともほかの方は存じませんが、私はいつでもご奉仕いたします、これしか感謝の仕方を知りませんので……」
 
 で、ここでも胸をチラチラ……巨乳ですよね……
 どうも私が、大きい『おっぱい』が好きというのが、知れ渡っているような気がします。
 
 上司の眼が怖いのか、さりげなく控えめにですね、誘惑なんてね、概ね女中さんの行動は似ているようです。
 皆さんお綺麗ですから、目移りしてしまって困りますよ。
 
 召使さんもですね、容姿に自信のある方が多くて……
 面と向かってはいわれませんが、
「イルマタル様って素敵♪あの方なら、奴隷でもなんでもなって見せる!」
「胸がお好きなのよ、私最近、『購買の日』に消耗品の倉庫で、『シリコンブラ』っていうものを購入したのよ」
「あれっていいわよ、胸を盛れるのよ!感激したわ!これでイルマタル様に『むらっ』とさせて、してもらうわ!」
 
 『してもらう』ですか?押し倒しを待っているの?後が怖いから、やめてほしいのですけど……
 
 『購買の日』というのは、この世界の7日目のお休みの日に、消耗品の倉庫を女中さんと召使さんにも公開する日のことです。
 チケット制を導入し、月あたり召使さんに3,000円、女中さんに5,000円分を支給しています。
 生理用品は別枠で月に700円分あります。
 700円以下の物ばかりですから、それなりに購入できると思います。
 
「貴女、奮発したのね!私はお菓子ばかり……見習わなくっちゃ」
「私は実家に送ってばかりよ……悲しいわ……この間なんか、タオルを送ったら手紙が来て、もっと送ってくれなんていってきたわ……」
 
 『購買の日』に購入したものは、別に使用目的を問いません。
 譲渡するなり、売るなり自由です。
 事実、ポケットウィスキーは、かなり『購買の日』に購入されています。
 でも購入できるのは、国産の物以外はバーボンあたり、スコッチもまれにありますね。
 
 ターニャ商会でも売っていますよ。
 もっとも値段は最低でも1,000円相当の値札が付いていますが、ターニャさん、どんだけ儲けているのか……
 かなり王侯貴族から注文があるようで、私にも配当金がべらぼうに入って来るのです。
 
 そうそう、ターニャさん、押し倒しましたからね。
 今では『愛人待遇侍女頭』扱いですよ。
 公認で、いまではだれでも知っていることです、特例なのですよ。

 こういう場合、本来は『愛人待遇召使』さんになるのですけどね、おいしかったので……
 ターニャ商会の貢献は、侍女長さんあたりも評価しており特例となったわけです。
 どうも、このあたりのことを、召使さんは意識しているのかもしれません。

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