エーリュシオンでお取りよせ？

第１部 夏至から物語は始まった。

【2章】２１話 私はこのような女です。

　
　メンバーがやってきました。
　帝国から、オーレリー・トトゥさん、侍女長予定のアルレット・バレさん、そして侍女頭予定の方、名前はドロテ・モンターニュさん。
　王国からはベンヴェヌータ・キアッピーニさん、侍女長予定のベルティーナ・トーノロさん、そして侍女頭予定のアンドレイーナ・トロイージさん。
　
　私も含めて自らを紹介し、１１名で打ち合わせにはいりました。
　
「まず確認させてください、皆さんは本当に私の所有物、奴隷として、妻や妾になる覚悟がおありなのですか？」
「勿論です」
「私はそれなりに破廉恥ですよ、ねぇエヴプラクシヤさん」

「否定は出来ないが、イルマタル様が破廉恥なら、私はもっと破廉恥だ！」
　クスクスと忍び笑いが聞こえてきました。
「エヴプラクシヤ様のいうとおり、イルマタル様が破廉恥なら、私たちはもっと破廉恥になって見せます」
　アルレット・バレさんがこれをいうのですよ。
　
「ではまず私のことを申し上げましょう、これについてはモスク大公国関係の方にも、言ってはいないことです」
　皆さんに緊張が走りました。
　
「私には前世の記憶があります、そして死に望んで神様と出会い、望まれてエーリュシオンに転移してきたのです」
　
　誰も何も云いません、ただ最初に出会った３名の方は、なんとなく理解している表情です。
　
「転移のとき、神様はいわれました、このエーリュシオンは見捨てられている、どうしようもない世界である」
「そんな世界に転移させるのだから、能力と力を授けようと」
「その力とは、私が生きていた世界の物品を、ある制限の下ではありますが、とりだせるのです」
　
「制限というのが、大きさなのですか？」
「そういうことです、更にいえば私の世界では、知識はあるところに集めており、それを閲覧できます」
「私はこちらに来た時点の知識の集積を閲覧し、閲覧したものは全て身に付く力を頂いているのです」
　
「神様はなぜエーリュシオンに、イルマタル様を呼び寄せたのでしょうか？」
「私は神様を深く信仰したのですが、残念なことにまだ心の未練が残っているそうです」
「それで神様はこの世界で、それを晴らせるように送り出してくれたのです」

「このエーリュシオンは、ほって置けば邪神を筆頭に、よからぬものが湧き出す土壌があるそうです」
「ただ私が転移すれば、私の望み考えが影響をあたえ、エーリュシオンは良き方向へ向かうらしいのです」
「自然とよからぬ土壌は、是正されていくとお聞きしています」
　
「だから……魔物がおびえる……のですか……」
「さらに打ち明けますが、私のものになり愛されると、どのような病気や怪我でも神様の加護が私同様にかかります」
「エヴプラクシヤさんはその結果、足が治ったのです、私の眷属扱いになりますので、私と同じ不老不死となります」
　
　とんでもない話でしょう？皆さん固まってしまいました。
　
「では……その……イルマタル様に抱かれると……」
「互いに愛することが前提です」
　
「分かりましたが、この話、開示できるとすれば、どのあたりの……人物でしょうか」
「皇帝、王、大公の３名でしょう、一応皆様を派遣してきた、組織の最高責任者ですから」
　
「もう一つ、お教え願えませんか……もしイルマタル様が……」
　声が小さいですね、そりゃあ聞きにくいでしょう。
　
「私は不死ではありますが、死のうとすれば死ねます、その場合、元の神様に見放されたこの世界、ますます荒い世界になり、最後は想像していただきたい」
　
「もう質問はありませんか？なければお茶でもいただきましょう」
「この後は新婚の住処の話に移りましょう、無粋な話はしんどいですからね」
　
　もう隠すことはないので、色々とお菓子を取り寄せます、これは楽しいですね。
　各種のドライフルーツのケーキ、クッキーなどの焼き菓子、チョコレートなど山のようにだしました、全て７００円以下のものです。
　
「このお菓子はいつでも、どれだけでも大量に取り寄せ出来ます、そんなに高級品ではありませんが、食べながら当面の皆で住む所を考えましょう」
　お菓子は女性にとっては嫌いな方はいないでしょう、場も和みますね。
　飲み物はインスタント類が置いてありますので、３名の侍女頭予定の方がお湯を出して、かいがいしく作ってくれます。
　
　カップ？当然のように取り寄せています、７００円以内ですけどね。
　
「ところでどこに家を建てるか、希望はございますか？」
　オーレリーさんが聞いてきますが、私に希望などありません。
　
「とりあえずこのオスクの街にしませんか？私たちはまだ学生、後１年は通ったほうがいいでしょうから」
　オーレリーさんが提案しましたが、
「でもオスクに住むのはかまいませんが、大公国の事務所の敷地ではね……」
　議論続出、結局ギルドがある東門に、敷地を見つけることになったのです。
　
　マトリョーナさんが、
「ならギルド本部と、通りをはさんだところにしましょう」
「ちょうど大公国の土地があるのです、何かのときのために押さえていた土地です」

　まぁ、この街は一応大公国の領地ですからね。
　各国事務所の敷地に対面して、空き地があるようで、これは全て大公国が確保しているのです。
　そのうちの東門の土地を、提供していただくことになりました。
　
　結構な広さがありますね、わいわいと図面を作成するのですよ。
　
　さて家ですが、大物が出せる以上は、トレーラーハウスで良いのでは？
　全て作り込みですからね。
　
　有名なエアストリームは、２８フィート物なら、牽引部込みで１０ｍ×３ｍ×４ｍ、体積１２０ｍ３、いいではありませんか、これは重いのですが、私にとっては関係ありません、取り寄せればいいのです。
　国産の物もなかなか良い物がありますよ……こちらの方がいいですかね……オプションカタログで、選べて直ぐに取り寄せ出来そうなのです……
　
　必要なのは電源、浄化槽、の接続と確保です。
　灯油の業務用発電機がありましたよね、これを家の横に置きましょう。
　たしか発電機のタンクは６２リットル、単相、家庭で使えそうです、６０ヘルツなら１２０００キロワットは間違い無しに使えます。
　よく考えれば、灯油は宅配サービスで購入する形式で、取り寄せるのですから……
　
　これ取り寄せれば、タンクは満タンになる？
　少なくとも発電機のタンクに、入れるという作業は必要ないということですね……
　これを検索したら設置方法も理解出来ましたし、まあ何かあればとっかえひっかえするわけですから、ブロックでも取り寄せ、水平にすれば良いだけでしょう。
　防油堤をおけばさらによしです。
　家の横に置けば、面倒な引き込み線はほぼ不要です。
　
　で、あらら、軽油の宅配を見つけてしまいました。
　軽油ですよ、これでディーゼルは大丈夫、添加剤は必要ありませんね。
　宅配ですからタンクにいれれます、取り寄せれば満タンですね、今までの苦労は何だったのでしょうね。
　
　まあ灯油は何かと便利なので、小さいタンクも家の附属として設置しておきましょう。
　屋外ですから雨よけもいりますね。
　念のために、灯油の発電機は予備として取り寄せておきましょう。
　ディーゼルの方は同じ寸法の物がありますね、出力が６０ヘルツなら１５０００キロワットですか、さらにベストですね。
　
　トイレの排水などは一応魔法で浄化して放流、浸透式で問題はないはずです……生活魔法は便利なのですよ。
　プロパンは大規模には使いません。
　まぁトレーラーハウスのガスコンロぐらいなら、カセット式なので大丈夫ですかね、国産の方は全て電気でまかないましょう。
　給水及び浄化などは、侍女さんの魔法にお任せです。
　
　さて建物などの基礎ですが、トレーラーハウスですから大した事は無いでしょう。
　面倒ですから、砕石を敷いてジャッキスタンドでもかませておきましょうか。