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第1部 夏至から物語は始まった。
【1章】06話 ハーフエルフさんに言い寄られました。
しおりを挟む寝ようとしていると、3人がやってきました。
「就寝されようとしているのに申し訳ない……」
エヴプラクシヤさんが口を開きます。
「実はお願いがあります、あの話の返事……少し時間を頂けないかと……」
「私個人は、イルマタル様がご主人なら、奴隷でもいいのだが……」
えっ、いいの、これは驚きました。
エヴプラクシヤさん、羞恥で真っ赤な顔をしています。
女同士ですよ!いわゆるレズ、百合の関係になるのですよ!理解不能です。
「イルマタル様!女同士の閨の関係については、よくある話です」
「エヴプラクシヤ様は庶子ではありますが、モスク大公のお嬢様、大公様のご許可が必要なのです、ご理解ください!」
ヴェロニカさんが説明してくれますが、問題はそれではないでしょう!
「ヴェロニカさん、私の気持ちが、まだ固まってはいないのですよ!」
「それではイルマタル様は、エヴプラクシヤ様をお嫌いというわけですか!」
そんなに気色ばまなくても……怖いですから、ヴェロニカさん。
「嫌いとか好きとかではなく、まだあってから1日もたっていないのですよ」
「私もエヴプラクシヤさんのことを詳しくは知らないし……どちらかといわれれば、好ましいとは感じていますが……」
まずい!
これはまずい!
こんなことを言えば、事態がのっぴきならない事になる……
ほら、エヴプラクシヤさんの顔が嬉しそうに……
「姉様、脈はありそうですよ、後はお父様を説得するだけです!私もお口添えいたしますから!」
だからマトリョーナさん、なんでそんなに都合よく理解するの?
好ましいといったって、愛しているわけではないでしょう!
「その……私は女同士の閨について……その……恥ずかしくて……」
「まぁ、イルマタル様は奥ゆかしいのですね」
「このごろ、そのような事をおっしゃる方がおられるなんて、ねぇマトリョーナ様」
「そうですわ、昨今、そのように考えていると、スカ伴侶を選択しますのよ」
スカ伴侶とは凄い言葉ですね……
「イルマタル様のような方なら、幾人もお妾を持つのは当然でしょう、正妻以外は奴隷なのは当然の事」
「女同士の夫婦なんて、履いて捨てるほどいますよ」
「子供だって、親族からの養子でいいのですから、親族の子供なら、当然家を継げるわけですからね!」
「私は妾でもよい、イルマタル様が正妻をお迎えされるなら、当然その方に従う、なにかおかしいのですか?」
そんな事、私に聞かれても返事に困る……聖天様、説明不足を恨みますよ……
私が困った顔をしていたのでしょうね、エヴプラクシヤさんが、
「私がハーフエルフなのが、いけないのでしょうか……」
今度は泣きそうな顔をしているエヴプラクシヤさん。
まったく、どういえばいいのか……
「その、いわれるところの、ハーフエルフについてですが、別に私は、そんなことの偏見はありませんよ」
「では、私のどこが好ましいと、お感じになられたのですか!」
「えっ!」
「イルマタル様、エヴプラクシヤ様へ、お返事いただけませんか?」
だから怖いですから、ヴェロニカさん。
「その……大きな……胸が……」
「聞こえませんが、イルマタル様、もっとはっきりとお返事してください!」
ここぞとばかり、ヴェロニカさんが攻めてきます。
「だから、大きな胸に、私の視線が釘付けなのです!まったく恥ずかしいことを、いわせないでください!」
3人が、勝ち誇ったような顔をしていました。
「私の胸がお好みなのですね、イルマタル様は、大きな私の・お・ぱ・っ・い・がお好みなのですね!」
そんな大きな声で、おっぱい・おっぱいと、連呼しないでくれませんか……
「エヴプラクシヤさんは、私のどこが気に入ったのですか?」
「全てです!」
私の質問に即答するエヴプラクシヤさんでした。
長い人生で、こんなに言い寄られたことはない私、亡き妻を一生懸命口説いたことがあるだけですからね。
グラッときました……多分、前世は色仕掛けに弱かったのでしょうね……
まぁ不細工な男でしたから、お金も名誉もなかったし、そんな心配は無用でした。
「わかりました、完敗です、でもいいのですか?奴隷ですよ」
「何度もいいましたが問題ありません!私の愛は本物です!」
なんかヒートアップしていませんか?
とにかくお父様の大公さんが、どういうかですよ、何処の馬の骨とも知れない私に、大事な娘を奴隷にくれるわけはない……
そうですよね、なんといっても大公家、ある意味、王様でしょうからね、建前もあるでしょうし……
「とにかくお父様の返事次第ですから、そうですね、結論が出るまで待ちましょう」
白旗を掲げることにしました。
この世界の女性って……肉食なのですね……獰猛です……
「では明日、私たちと同道してくださいね♪宮殿に部屋を用意させますから♪」
マトリョーナさんが締めるようにいいました。
翌日、私は運転手、3人の女性を乗せて、ヴェロニカさんの案内で、のろのろとSHERPATVをころがしています。
周りは大公領の国軍が固めています。
「なにか護衛というよりは、監視されているような……」
「そうともいえますね、イルマタル様が逃げそうですからね!」
助手席のヴェロニカさん。
後ろでは姉妹が、
「姉様、婚姻の式はどうされますか?」
「私は妾になるわけだから、そんなに華々しくはできない」
「私自身も妾の娘であるからな、国を挙げてとはいかない、親しき友人や家族に祝福される、極々ささやかな式にするしかない」
「お父様がそんな式、承知するかしら……」
そんな話が聞こえてきます。
ヴェロニカさんが、
「エヴプラクシヤ様の婚姻ですから、ご本人が望まれても、民衆が納得しません」
「イルマタル様、エヴプラクシヤ様は、民衆には大変な人気なのですよ」
「姫騎士様、姫騎士様って大変なのですよ」
「そうなのですか……それなら、どこの馬の骨ともわからない、私が相手では役不足でしょう」
「このまま足が治らなくても、伴侶なら山ほどおられるでしょう、だから……」
「逃がしません!姉様に釣り合う方は、イルマタル様しかおられません!」
いつのまにか、マトリョーナさんが後ろにいました。
心静かに日々を送りたいのに……どうしてこうなるのか……
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