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第三十二章 サクラは咲いて

お母様のお願い?

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 それにしても、誰ですかね、この特別寄稿の方は……暇な方がおられるのでしょうね……まさか、『聖女青鞜局』……
 あり得る話しと、思えるのが怖いですね……

 その前の新聞記事、新設の帝都実科高等女学校は『恩賜青鞜会実科高等女学校』に校名変更、学費が無料になる……こんな話し、どこから出たのでしょうね……
 まあ、いいわ♪その通りにしましょうね。

 いつの間にか梅が咲いて、もう散りそうです。
 梅は咲いたか、桜はまだかいな……

 そう言えばひな祭りはいつの間にか終わっていました。
 女ですから、飾りたかったのに……前世、一度も飾ったことはなかったのですよ……
 あぁあぁ、おひな様なのよ!来年こそは飾りますよ!

 でも旧暦なら、四月三日あたりですよね……
 でも重陽の節句はちゃんと新暦でしたのですから……
 仕方無いですね……

 四月からラジオの試験放送ですね……実は考えが少しあるのですよ♪
 まあ、私の趣味ですけどね。

 童話の朗読です。

 この間、国語の授業中に閃いたのですね♪
 トルストイ童話らしき物があるのですから、童話については『時代考証不一致』も甘いのではと思うのです。
 もとより、守りますけどね♪

 何にしようかな♪神様の云うとおり♪
 とにかく、なにか読書に関することをしていると、楽しいのですよね……

 私が朗読するわけではないのですよ♪
 つまらないけど、警備の問題とか云われそうなのです。

「ねえ、雪乃、頼みがあるのだけど?」
 珍しくお母様が、お願い事を云ってこられています。

 今日は三月の二十一日、『春季彼岸会』でお休みなのです。
 前世の春分の日は戦前の『春季皇霊祭』、天皇親祭で皇族は皆、行事に出るわけですが、この『ミズホの国』ではそんな行事もなく、ただ春を喜ぶという意味で祝日なのですね。

 お母様は3時の『おやつ』に寄られたのです、その席上での発言です。
 今日は常のラスクではなく、炊飯器で作ったケーキです♪
 皆さんに教えながら作ったのですよ♪
 ベイクドチーズケーキ、ガトーショコラ、バナナケーキの3種類……
 
 いつものメンバーにお母様で12名……3種類を2個ずつ作ったのです。
 一つで6カットですからね♪
 
「もうすぐ、ラジオの試験放送でしょう?この間、ラジオ局の者が参内してきて、準備が出来たと報告したのよ」
「ラジオ局、国営でしょう?かなり苦労したようなので、慰労のためにお食事会を開いてね、私も顔を出したのよ」

「その席上、番組の話しがあり、前から雪乃の、童話の話しを聞いていたから、童話の朗読なんて、雪乃が云っていたと伝えたのよ」

「その日はそれで終わったのだけど、おととい、番組として童話の朗読をしたい、ついては『聖女』である雪乃に直接朗読をしていただきたい、と『聖女青鞜局』に云ってきたのよ」

「私が?でも、『聖女』の話しが公表されてから、警備がもの凄くて、お出かけなんて望み薄なのですけど……」
「どうしようかとなって、『聖女青鞜局』で議論していたのだけど、どこから耳に挟んだのか、帝国宰相として白川宮が雪乃の童話の朗読を押したのよ」

「『聖女』として公表された以上、帝国臣民にお声かける、またとなき機会である」
「国営ラジオ放送の門出を祝うという意味においても、最良の話しであるとね」

「ただね、警備を預かる警察、とくに特別高等警察がね、外国、とくに共和国の輩の妨害、または襲撃があり得る、とそれは凄い剣幕で反対している訳ね」

「そこで、蝋管録音機に朗読を録音して放送するという、折衷案が出たのだけど……ラジオ局の技師がね……音が悪い……とね」

 たしかにこの世界にも録音機はあるのですが、円盤式のものは、まだ持ち運びは出来ない代物……ポータブルという意味では蝋管式しかないのですが……

「云われるように、蝋管録音機では放送に堪えないと思いますが?」
「そこで雪乃にお願いなのよ♪このガトーショコラ、美味しいわね♪」

「雪乃、音質のいい録音機に朗読してくれない?」
「勿論、箝口令は厳重にしくし、ラジオ局までの運搬は陸軍に運ばせるわ♪」

 録音ね……ボイスレコーダーには簡単に使えて、かなり良いのがありますよね……
 『ZO●M  H2●』というものが良さそうですね。 
 これで録音して……SDカードで出力出来そうですね……

 出力はアンプ付のポータブルスピーカーですね……SDカードが使えるものは……
 パナ●ニッ●のWX―PS●00というものが有りましたね。

 なんとかラジオ局でも使えそうです。

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