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第三十二章 サクラは咲いて
特別寄稿
しおりを挟む別の新聞には、『聖女』公告公表について、同時に公告された事について、解説が載っていました。
このたびの『聖女』公告公表と同時に、その関連と思われるいくつかの公告があった。
これについて特別寄稿を掲載させていただく。
このたび、一連の『聖女』関係の公告には、いくつかの意味があると思われる。
いずれも帝室の禁忌にあたる話しであると思われるが、事が大事になり、隠しおおせなくなったのであろう。
『聖女』公告公表の影に隠れての公告のみということが、それを物語っている。
全ては『聖女』公告公表の通り、『神の啓示』が帝国にあり、『聖女』が帝国に遣わせられたのは、誠に喜ばしい事である。
問題の核心は『聖女殿下』の資産に付いてであろう。
公告公表によれば、『聖女岩倉姫宮雪乃王女殿下』は、数々の発明などによる特許使用料を、女性の地位向上にお使いとのことであるが、さらに深読みすると、別の事が浮かび上がる。
『聖女殿下』の資産は、それぐらいでは減らないであろう、膨大な額と推測できるのである。
もとより、他人の資産の推測など、ゲスの極みとのそしりを、覚悟の上で有ることを記しておく。
『聖女殿下』の資産は膨大で、毎年の収入も中堅財閥あたりを上回るはずである。
『ペニシリン』と云う物は、感染症に絶大に効果を発揮するが、梅毒の特効薬でもある。
この薬は、世界中が使用しており、多くの感染症患者の命を救ってきた、もはや無くてはならない薬、人類の生命線というべき薬なのである。
たとえ、使用料が安いとしても、その特許による収入は、学費無料の女学校を二つ三つ設立運営しても減るような代物ではない。
さらに筆者が聞き及んだ情報によると、『聖女殿下』は『神楽を舞い、神に祈祷』することにより、結核特効薬、及びハンセン病治療薬を必要量授かれるとの話がある。
事実、近頃、陸軍の衛戍(えいじゅ)病院あたりから、この二つの『神薬』が提供され始めている。
知人によると、これは現在のこの世界では、製薬出来ない代物らしい。
さらには『フリーズドライ製法』の特許もお持ちで、王国の大企業、『王国カフェ』がこの特許を使い、世界企業にのし上がっている。
『聖女殿下』はこの企業の大株主であられる。
王国は、『聖女殿下』の『神の叡智』を把握、絆を深めるために、王国一の美女と噂される、ダイアナ第六王女殿下を『聖女殿下』の愛人に差し出したと思われる。
ここまでは、大金持ちのお話、われわれ庶民には関係無い話しであり、帝国の税務当局は税収アップに小躍りするはずであるが、問題はそこにはない。
膨大な資産家にならざる得ない『聖女殿下』は、この世の習いとして、見合うだけの『愛人』を囲う必要がある。
諸兄も知るように、これをないがしろには出来ない。
額が天文学的である以上、十人二十人で済む話しではない。
そして帝国としては、『聖女殿下』を手放すことは出来ない、万一そんな事態が発生したら、虎視眈々の『王国』が小躍りして、取り込むはずであろう。
ゆえに、何としても皇太子殿下の后になっていただかなくてはならない。
幸い、お二人は相思相愛とお聞きしている、ご両親に当たられる、皇帝陛下も皇后陛下も安堵されておられるだろう。
しかし、膨大な愛人を抱えることになる『聖女殿下』が、皇后陛下となられる時、その愛人をどう遇するのか、という問題に直面するだろう。
『王国』は第六王女殿下以外にも、さらに王族の誰かを愛人に押し込もうとしている。
帝国はそれが出来ない。
帝室の女性が『聖女殿下』の愛人になることは可能であるが、そうなると皇太子殿下の側室は不可能、つまり将来を考えると、無理なのである。
せっかくの両国の友好関係を考えると、王国からの王女の愛人は阻止できない。
このたびの『王女御』、『女御』は、その対策であろう。
『女御』というカテゴリーを作り、『聖女殿下』の最上位愛人格に、王国王女を『王女御』として受け入れ、『女御』に関しては、帝国の公爵家令嬢のどなたかを据える。
そしてその他の『愛人』、『巫女』を帝国女性で固める、という事だと筆者は推測する。
なんともリアルな国家間の暗闘であろうか、お可哀想なのは『聖女殿下』であろう。
このたびの『青鞜会』所属の女性を、全て『聖女殿下』にお仕えする、『永久奉公人』と仮定すれば、『聖女殿下』の天文学的な資産による、愛人問題は解決される。
事実、先頃の『青鞜会』による職員募集要項をよく読むと、愛人問題解決の意図が読み取れるだろう。
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