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第三十一章 聖女のお仕事

聖女への女性斡旋は国の政策?

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 温習会も無事に終わり、おばあ様が当然のように、午後3時の『おやつ』の席におられます。

「雪乃さん、学業は完璧と聞きました、さすがは聖女さんですね♪鼻が高いわ♪」
「でも、少しばかり苦情をいわれたわよ」
「どのような苦情なのでしょう?」
 やはりね……『S』による風紀の乱れですか?

「『S』の話をおっしゃっておられたけど、これはね、美貌をいわれてもどうしようもない事よね、まあ学校も云ってみただけでしょうね」
「さらにね、失礼なことをいうのよ、雪乃さんが賢すぎるというのよ、腹が立つでしょう!」

「それを云われると、困りますね」
「まあね、でも奨学生なのですから当然よね、聖女の話はまだ発表していないしね」

 おばあ様、さりげなくおっしゃいますよね……

「ところでダイアナさん、なにか言われた?」
「とりたててなにもありませんでした、ただもう少し校内での『S』は控えてくださいと、いわれたようです」
 
「文子さん、もうすぐ卒業よね、この先どうするつもり?」
「できるなら帝国第一高女の、専攻科を受験しようかと考えております」

「貴女の成績で大丈夫なの?」
「それは……」

「おばあ様、文子様は猛勉強されておられます、きっと受かると思います」
「そうなの?」
「まあいいわ、華族高女を卒業すると、九分九厘、嫁に行くのですが、文子は実質嫁いだようなもの、雪乃さんが良いというなら構わないでしょう」

 この後も、メイドさんまで皆に声をかけていました。
 勿論、土曜日ということで、小百合さんも来ていますので、声をかけているようですね。

「小百合さん、夜ごとの事、まあ華族高等女学校附属尋常女子小学校ですから、そちらのほうは間違いないでしょうね」
「小百合さん、励みなさいね、女は床が下手ではいけませんからね」
「はい、皇太后様」

「おばあ様、せっかくのお菓子が冷めますよ」
 今日は私、頑張って作ったのですよ♪
 寒いですからね、熱々のフルーツグラタンを三種類作ったのですね。

 一つは某食パン会社のホームページのレシピ。
 一つは某牛乳会社のホームページのレシピ。
 一つはこれも某牛乳会社のホームページのレシピ。
 
 缶詰なんかも使ったのですよ♪

 なんせ10人ですからね、一つで6カット、1種類12カット……

「相変わらず上手よね、美味しいわ♪」

 フルーツグラタンを堪能して、お帰りになるとき、

「雪乃さん、『女御』の事だけど、含みがあるのよ、王国がね……すると帝国もね……でも皇太子に嫁ぐことを考えると、『王女御』は無理……」
「だから『女御』が精一杯、帝国はかなり抵抗しているけど、王国は一人しかいないといわれればね、含んでいてね……」
「政治的な話になっているので、『女御』の話が出てきたら、悪いけどあきらめてね」
「その代わり、美女で頭のいい女、そしてつつましい女、という条件は突きつけたということらしいわ」

「悪い話はまだあるのよ、共和国が申し入れてきているわ、雪乃さんに愛人を世話したいとね、これについては門前払い状態だけどね」

「出来るだけ抵抗してください!」

「まあ政治的にも共和国に対しては強く言えるわ、でも王国に対してはね……国境当たりの紛争が収まって、かなり助かっているのよ」
「ダイアナさんの話が出た時、王国国王が云ったでしょう、『なんならもう一人、姉でもいいぞ』って……」

 あの話、まだ生きていたのですか……
 『王女御』が二人も王国王女ではね……かといって帝国皇女では、皇太子殿下の相手にはなれない、せめてどこかの公爵令嬢に因果を含めて『女御』に、あとは質を量で補う……

「理解できたでしょう?陛下も皇后も頭を抱えているのよ」
「殿下はご了承されているのですか?」
「孫はかなり抵抗していたけど、最後は陛下が国家のためだと、一喝したようよ」

「……そうですか……」
「とにかく、容姿端麗、才色兼備で、雪乃さんより年下と条件を付けていますから、まあ当分は大丈夫とは思いますけど、含んでいてね」

 なんとも嫌になる話ですね……王国王女で年下で容姿端麗、才色兼備……
 ダイアナ様に聞いてみましょうか?該当者がいるのか……

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