老後のおかしなおかしな女学生生活 転生一年目

第二十七章 冬休みは忙しい！

陸軍工兵連隊の出番なのです

　牧野姉妹、とくにお姉さんの愛様は、休みというのに毎日、『恩賜婦人図書館倶楽部』の『撫子ミルクホール』へ通っておられます。
　何をしているかと聞くと、陸軍と打ち合わせをしているようなのです。

　この間、神様のお約束どおり、お薬の取り寄せが出来ました。
　結核とハンセン病の特効薬です。
　今回だけは私たちだけで神楽を踊ったのです。

　毎年、恩賜青鞜会看護高等女学校の卒業生と聖女一行が、真夜中に臨時で作られた祭壇の前で、例のカンカン踊りを踊ることを条件に、ハンセン病以外にも、結核の薬についても、祭文の数だけ三方に頂ける手はずです。

　衣装は、神様のご意向で、なんと巫女さんの衣装……でも白衣ですが、緋袴ではなく、緋色のスカート……いわゆる行灯袴、形は緋袴にそっくりなのですが……下着は腰巻、肌襦袢だけ……

　千早（ちはや）などを羽織ることは認められず、髪は水引・丈長（みずひき・たけなが）、履物（はきもの）は白足袋を着用の上、草履……

　この世界、帝国は宗教といっても神仏習合（しんぶつしゅうごう）の『神祇』と呼ばれる宗教、権現様とかね。
　でも、この巫女衣装はないのです、ほんと、不思議なのですね。

　ちなみに王国はキリスト教ではあるようですが、どうもイシス教が根っこにあるのでは……マリア信仰が強いように見えます。
　実質的な一夫多妻、公妾も認めていますし、レズも認めています……よく分かりませんが……そのように思うのです。

　『解析』を起動したことがあるのですが、『解析不可』と出ますので、それ以上は考えないのです。

　共和国も王国と同じですが、こちらはモルモン教が混じっているような……
　明確に一夫多妻、そして激しい男尊女卑……帝国とは比べものになりません。

　脱線しましたが、とにかく薬はお母様に渡しました。
　
　まあ、お礼が必要と思いましたので、この巫女衣装を着て、一人で神様を思い、地下室で踊ったのです……神様、サービスです！

　なんとなく、喜ばれたように感じましたが、この衣装で、スカートの裾を持ち上げ、丸出しで踊ると……罪悪感というか……冒涜しているというか……想像するとエロいですよ！

　お母様から、お薬の件を聞き、お父様が陸軍に厳命したのでしょうね。
　愛様と協議しているようなのです。
　なぜか？
　恩賜青鞜会看護高等女学校の建物について、来年四月の開学まで間に合わないので、工兵連隊を動員、校舎を建てると云うのです。

　三ヶ月で建てるわけです。
　平屋の『旧弘前偕行社』はなんとか建てられましたから、陸軍工兵連隊を総動員すれば、可能なわけです……そこまでやるの？

　木造平屋建で９５０．７Ｍ２、元の形と違い、量産のために直線形状となっています。
　これをモデルに、同形式の建物を量産、校舎と寄宿舎を間に合わせるという計画のようです。
　一年、三年、六年の三棟の校舎と、一棟の寄宿舎。

　寄宿舎は６０室。
　ざっと見て９５０．７Ｍ２／６０Ｍ２＝１５．８４５Ｍ２、畳半畳で０．８１Ｍ２、つまり１９．５６畳、便所、風呂、会議室、廊下、とかで半分として８畳大。

　クラス定員は２０名、一年生入学は一クラス名、三年生に高小卒業から編入で一クラス追加、六年生に高女、女子師範卒業からの編入で一クラス追加。
　最終学年は三クラス、定員６０名となるようです、全校生徒は３４０名ですかね。

　現時点では、６０名分の寄宿舎一棟でまかなえる計算ですが、６棟必要ですね。
　職員宿舎などは、取りあえず『恩賜財団　帝室岩倉姫宮婦人図書館』の宿舎を当て、図書館、食堂も使うと云うことです。

　一年後には、大部分の計画建物はできあがり、二年以内に全て竣工します。
　その時はこの量産建物は、全て寄宿舎に改装、一年から六年の寄宿舎とし、七年、八年には新築の大人の女性用の寄宿舎を建築するようです。

　教員などの職員もかなり必要です、女子高等師範学校の職員は全部で９０名、その倍は必要ですからね。
　かなり高給を提示し、全国から女性教官を募集しています。
　まあ最初は三学年三クラスですから、目処はたっています。

　結局、若いのですが、牧野愛様が校長代理に……
　どうも、恩賜青鞜会看護高等女学校は、私の考えとは乖離していきます。
　だってね、徹底的に私への奉仕をたたき込むと、校長代理がおっしゃるのです……