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第二十章 茶番劇は誰の為の物?
宴の後の大惨事
しおりを挟む私の歌はまだまだ続いたのですよ……
やはり……軍歌を強要されたのです。
『抜刀隊』から始まり、『雪の進軍』、『元寇』、『敵は幾万』、『歩兵の本領』、『日本陸軍』……
これ、リクエストなのですよ、でも不思議なのですね、まず海軍の歌がない、さらには個人の名前の歌がない。
海軍がないのはね……
お構いなしに殿方の盛り上がること……
ビールを片手に大合唱なのですよ。
「大変です!ビールがなくなりそうです!」
「冷蔵庫の中だけになりました!」
無くなったら、それまでと考えていましたが、この雰囲気ではそうもいきませんよ!
急遽、ビールを取り寄せます。
一体、どれだけ飲むのですか!
「料理もなくなりそうです!」
急遽、ウィンナーをゆがいています!
訳あり品で五種類混在、一キロのものです。
味なんて、正直、どうでも良いのです!
酔っ払いに味など分かりません!
これを取りあえず二つです。
「ビールですから、これで良いでしょう!」
女性陣は、優雅にデザートなんてお食べになっています。
さらに追加のビールもウィンナーもなくなりそうでしたが、殿方たちが、さすがにぐったりしてきたのです。
最後にお母様から、声がかかりました。
『婦人従軍歌』……そういえば、お母様は帝国赤十字の名誉総裁でした……
やれやれ……やっと、終わりましたが……その……
「うぇぇぇ」とか、「ぐぇぇぇぇ」とか……芝生に……
女性陣が、メイドさんに……馬車の手配を……
すると、お母様が、
「そんなことでは間に合いません!自分では歩けない方ばかり、私の名前で、宮殿の衛士と御者を呼びなさい!」
しばらくして、宮殿の馬車と、衛士さんたちがやって来て、酩酊状態の殿方を馬車に乗せていました。
「雪乃、悪いわね、芝生は明日、係のものをよこします、今晩一晩、我慢してね」
「明日は、お父様達、二日酔いが酷そうですね……」
「まぁ、自業自得よね、でも、今夜は有意義だったわ……ありがとう……強引にことをすすめたけど、その茶番劇にもつきあってくれて」
「覚悟が固まりました、それに当初からのお約束、私は帝室の男性の方に嫁ぐのですから……」
「そうね、雪乃の気持ちは理解しているわ、条件闘争ならいくらでも構わないわよ♪どうしてもまずいことなら、陛下がなにかいうでしょうし」
「その時は、従います」
芝生に風が吹き抜けるのですが……
その臭いこと……
今夜は、暑くても窓を閉め切らなくては……
クーラーのある応接間に、皆で雑魚寝するしかないでしょうね。
酔っ払いを引き取っていただき、食器などの片付けは明日にしましょう?
「皆さん、この臭いは我慢出来そうもありません、暑いけど、窓は閉め切りましょう!」
「応接間のクーラーを全開にして、今日は皆で雑魚寝しましょう、メイドさん達も一緒ですよ!もう貴女たちも、一蓮托生の仲間になったのですから!」
皆で応接間に緊急避難です。
後は野となれ山となれ、です!
寝具は、この際、取り寄せました!
「やれやれ、やはり、お父様が絡むと、こうなるのですね……」
「そうですね、皇帝陛下も懲りないですね……」
「これから、このようなことが、たびたび起るのでしょうね……」
「どうして、殿方はお酒に飲まれるのでしょう……」
洋子様が、あきれたように云いますと、文子様が、
「私が思うに、正妻様が怖くて、こんな時に羽を伸ばそうとなされるのではありませんか?」
四人のメイドさんたちの中の一人が、
「文子様のおっしゃる通りと思います、家なんか、常はお母様の顔色をうかがっているお父様なのですが、他人がいると、お母様にしかられないと確信しているようで、グデングデンになるまで飲むのですよ!」
この夜、私たちは何ということもない話を交わし、なにか仲間意識が芽生えたのです。
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