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第十七章 二転三転、恋は切なく腹立たしい
四人のメイドさんたち
しおりを挟むすこし遅いお茶などしながら、今日作ったチョコビスケットケーキを食べています、大評判です。
メイドさんもテーブルについていただき、皆で食べています♪
文子様も洋子様も、ダイアナ様まで褒めてくれます。
結構大量に作ったチョコビスケットケーキ、まだあるのですよ。
「簡単に作れるのよ?」
メイドさんに言うと、
「でも、実家には電気冷蔵庫がありませんし……」
この頃、メイドさんとも親しくなり、ご家庭の事など、話をしてくれるようになったのです。
四人とも永年奉公ですが、私が帝都実科高等女学校へ行けるように手配したのです、そして無事卒業すれば、借財はチャラにしてあげることにしています。
まぁ、入学は尋常小学校卒業、十二歳以上となっていますが、彼女たちは現在十八歳から二十歳……
この学校、尋常小学校卒業すぐの方は、あまり入学しないと考えられています。
やはり働いて、それなりに過ごせるようになるまで、何年か働く必要があるのです。
そのためクラスというものがなく、各自が必要な授業を受ける事になります。
もしこの方たちが頑張って卒業され、希望されれば上級学校の学費も出してあげるつもりです。
そうでもなく、良い伴侶を見つけ、ご結婚なされるなら、祝福するつもりです。
ただし、正妻になられるならです。
私に仕えてくれるメイドさんは、さすがに宮廷が負債を購入、永年奉公で採用された方々、才色兼備、綺麗な方たちなのです。
その負債は私が支払い済みです。
彼女たちの実家とは、大体が没落貴族の家柄……
例の華族世襲財産を抵当にいれたお家……と云う訳です。
貴族の娘が娼館で働くなんて、聞こえが悪く、宮廷の爵位局がいろいろ画策するようです。
帝国貴族とは、上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵とありますが、数千年の歴史がある帝国です。
男爵何て、どれだけいるかわからないのですね。
そもそもユーラシアよりでっかい大陸に王国と帝国、そして細い海峡で接していますが、別のでっかい大陸が共和国らしくて、世界人口が十億ぐらい、三大国はそれぞれ三億ぐらいの人口を抱えているのが、この世界なのです。
近頃、王国と帝国が仲良くなったので、共和国は慌てていると、新聞あたりでは報じていました。
そんなことより、このメイドさんたちのご実家は男爵家、なんとか爵位を取り上げられなかったのですが、かわりに娘を宮廷が取り上げたようですね……
まったく……
「でも、冷凍箱はあるのでしょう?」
「まぁ、それくらいは……」
冷凍箱って氷で冷やす冷蔵庫、この世界、製氷業ははやっているのですね。
「ところで、今夜の夕飯なのだけど、海老フライにしない?」
「いいですね、でもなぜ海老フライなのです?」
文子様が聞くので、
「小百合さんにね、お昼を出してあげたのですが、やはり『お子様』なので、海老フライにしたのよ、でね、海老が冷蔵庫で泳いでいるのよ」
洋子様がクスクス笑いましたが、
「そうですね、私も好きでしたね♪」
「そういえば、タルタルソースを小百合さん、知らなかったのよ」
「タルタルソース?私も聞いたことがありませんが?」
洋子様も知らないようです。
「タルタルソース?王国のソースですね、よく雪乃様ご存知ですね……私もほとんど口にしたことはありません……海老フライにはウスターかマヨネーズと思っていました」
ダイアナ様、知ってはいたようです。
「じゃあ、海老フライを食べるために、みんなでタルタルソースを作りませんか?」
「教えてくださるのですか?」
「当然ですよ、皆でお料理して、皆で食べるのです♪メイドさんたちもご一緒ですよ」
ということで、タルタルソースなんて作っています。
一応、マヨネーズは市販されていますので簡単ですね。
「本当に簡単なのですね」
「これね、パンに乗せて、オーブントースターで焼いても美味しいのよ♪」
で、わいわいとトーストなんて作って食べました♪
大好評ですね。
メイドさんたち、しっかりと覚えたようで、朝食に、このトーストを食べるときがあるようです。
「宮殿の仲間に自慢します!」
なんておっしゃっていました。
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