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第十一章 夏の離宮のお姫様
ついにバージョンアップ!
しおりを挟む七月二十一日、朝から皆さんを見送り、メイドさん達に後を託して、私はお迎えのお母様差し回しの馬車に乗り、帝都の中央ステーションへ。
お母様付の女官さんが付き従って、切符の手配などお世話くださっています。
蒸気機関車が引く列車に乗り、この国の避暑地に向かいます。
三時間ほどでつくそうですが、一応主要幹線なので一等車が接続されており、その一等車に乗っています。
別に三等でも良いのですけど……
この列車は目的の避暑地の駅が終着、皆から『避暑特急』と呼ばれるように、夏だけ運行されるのです。
この一等車に乗るのは、まず貴族や富豪の方々、女官さんを従えた小娘ですが、それなりの階層の娘と思われているようですね。
紳士のはずの殿方が、遠慮無く視線を飛ばしてくれます。
居心地の悪いこと……
で、一人のでっぷりとした殿方が、
「失礼だが、こちらのお嬢様はどちらの家の方かな?」
なんて聞いてくるのですよ。
女官さんが、
「皇后陛下の身寄りの方です、無礼ですよ」
あれ、どこからか憲兵さんが現れました。
「失礼だが、官姓名をお聞かせ願いたい」
で、何とか伯爵とか聞こえました。
怖いですね……
泣く子も黙る憲兵さんが、シークレット・サービスですか……
このような事もあり、私、膝を閉じ、ちゃんとお姫様然として、行儀良く座っているのですよ!
女学生背嚢にはおやつを入れていたのですが、取り出せません!
何故かというと、お酒のつまみばかり……お父様に差し上げようかなと……ついでに久しぶりに食べようかと……
『チーかま』とか、『いかくん』とか……
よく考えると、絶対に食べているところを、知り合いには見せられません!
一週間分の荷物は、先に送っています。
女学生背嚢ってランドセルのことですよ、華族中学校在学の親王殿下は黒革の物をお持ちでしたね。
華族高等女学校は、指定のカバンとしてピンクの学生背嚢のようです。
でも帝国第一高等女学校は、そんな指定はありません。
皆さん、風呂敷とか雑嚢、つまりショルダーバッグです。
私も雑嚢で通学しています。
でも、私が背負っていたのは『ラン●リュック』、遠足の時、持ち出したわけです。
別に構わないでしょう、華族高等女学校の指定女学生背嚢のバッチ物と理解されるだけですから。
この間、取り出したのですが、空間をフルに使い、色々取り寄せたのですね♪
これを、皆で分けたのですね。
洋子さんは青を選ばれ、私は黒です。
この黒は黄色のストライプが入っており、案外に可愛いのです♪
でも赤も良かったかも……
雨の日の為に防水カバーがありますが、これが黄色だけというのがね……でも、雨の日の視認性能を考えると、致し方ないかもね。
この頃、思うのですが、何とかもう少し、1ヶあたり単価1,500円の上限を、上げてほしかったりして……
おや、メールがきましたよ。
なになに、
『楽しく汝の日々の生活を見せて貰っている、そこで汝の願いである、単価1,500円の上限を単価2,000円としよう、以後、さらに楽しませるように』
『空間は一日一度を、最小分割単位はそのままとして、空間体積を一日の限度として、限度体積までなら一日何度でも使える』
『取寄品による発生したゴミ(金属及びプラスチックなどの化学製品)は、汝が望めば専用のゴミ空間で処分出来るようにした』
『さらに、聖女としての能力を少し上げておく、解析で確認せよ』
宛名は……ありませんね。
ゴミについて、段ボールとかビンとかは駄目なのですね!どうせなら、発生したゴミは全て処分出来るようにして欲しかったわ!
生ゴミなど、処分するのは大変なのよ!
でも、2,000円♪
お給料がアップしたときのように、嬉しかったりして♪
ついに、取り寄せがバージョンアップしました♪
聖女の能力?容姿抜群以外にはね、いわゆる『手当て療法』で『外傷』が治せるだけでした……
そう言えば漢方医学を検索したら、女性と云うことがよかったのか、ノウハウなどが頭に入りましたね……
その気になれば、『鍼麻酔』も出来そうです、しませんけどね。
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