21 / 149
第五章 お見合い?
当然なの?
しおりを挟むで、やっと帰宅……今日は朝比奈邸にお泊まりです……
慶子様がそわそわして待っておられました。
「雪乃さん、顔合わせはどうでしたか?」
「どちらがいいと聞かれましたので、親王殿下がいいと答えました」
「親王殿下を選んだの?」
「はい」
「そう……堅実と言えば堅実ね……雪乃さんらしいわ……」
「あの……お聞きしたいことが……」
「なにかしら?」
「……皇后陛下より、その……裏切らない証を示してくれないかと……」
「ああ、そのことね……『王女』ですものね、40年ぶりかしらね、でも実際は婚約と思って良いわよ、『王女』というものは、皇子のために帝室が唾をつけている、という意味だから」
「でも、婚約よりは良いかもね」
「なぜです?」
「婚約とはね、未来の夫に対する覚悟を示すということよ、婚家のお姑様の前で、未来の夫の『ナニ』に口づけするのよ、私もしたわよ、とても恥ずかしかったけどね、その後ね、お尻も差し出すのよ」
「えっ、慶子様も?」
「ええ、久光様ってね、その時、私の口に出したのよ、酷いと思わない?」
「だす?」
「白い物よ」
「えっっ」
「その後、お尻にね、痛かったわ」
よく聞くと、『ナニ』に口づけというのは、求愛を受け入れるという意味で、婚約の前には当然済ませておくことらしいのです。
改めて婚約の儀式の前に『ナニ』に口づけというのは、お尻にですね……受け入れやすく……なんですか、この仕来りは!
「お友達も一緒に妾として、私が選んだ夫に傅くと云われるのですが……」
「皇后様はなにかおっしゃった?」
「『妾の事だけど、構わないわよ』とだけ」
「皇后様、物凄く譲歩してくださったわね、有難く思うことね」
?
「お友達は妾としてあつかうなら、妾契約の証が最低必要なのよ」
「契約の証?」
「契約の証とはね、婚約と同じで、裸になってお尻を差し出すのよ」
「えっっ、お尻を!」
「当然よ、妾だもの」
「では今回は……」
「お友達が妾契約も貴女の意思に従うことを認める、という意思表示よ、『S』を認めるということよ」
「そうなのですか……」
「で、いつ発表するって?」
「来週だけど、明日にも……」
「よほど雪乃さんを取り込みたいのね……まぁ当然よね、聖女ですものね」
この後、私たちのお家の話が出て、私たちが寮を退寮すると同時に、慶子様と久光お兄様のご結婚式が行われることになっていると、聞かされました。
帝室一族の降嫁ということで、朝比奈伯爵家は昇爵、つまり侯爵となるのですね……
私は侯爵家の娘となり、皇帝陛下の養女、『王女』として、恥ずかしくない実家となる手筈です。
まったく、恐ろしい手並み……なんでも皇帝陛下と皇后様がお決めになったようです。
日曜日、寮に戻ると、洋子様も戻っていました。
「お使いがこられ、お聞きしましたよ、皇子様方は雪乃様をお気に召されたとか?雪乃様はどちらの方を?」
「その……親王殿下が……お優しそうで、大事にしてくれそうで……」
「私は雪乃様がどちらかの皇子様を選ばれたら、当然、妾の儀式はあると覚悟していたのです、お母さまに聞くと、なんでもお尻も差し出すとか……痛そうなので聞くと、ワセリンを塗りなさいと教えられたのですよ」
洋子様、物凄いことをおっしゃいます。
ワセリンですよ!ワセリン!あんなものを塗ってお尻を……
「婚約したら、許嫁としては、儀式をするのでしょう……私……殿方のアレって、見たこともないし……お尻もでしょう……」
「雪乃様、お兄様はおられるのでしょう、チラッとぐらい見えるのでは?」
「私、孤児院で育ったでしょう、男の方は理事長先生しかいなかったし……尋常小学校は女子クラスでしたし……」
尋常小学校って男女共学が建前ですが、女子が多いこの世界、どこの小学校でも女子だけのクラスが出来てしまうのです……
不思議にも私は六年間、女子クラスに通ったと記憶にあります……
どうも神様のご配慮による過去のようですね。
そりゃあそうです、だって私の転生前の出来事ですからね。
この後、散々に女子トークに花が咲き、そして翌日、午前中に洋子様と一緒に呼び出され……念をおされました。
「雪乃さん、洋子さんも、女学校を卒業したら、必ず輿入れしてね」
「二人でともに、必ず皇太子殿下か親王殿下に必ず嫁ぎます」
なにかほっとした顔の皇后様と皇太后様でした。
午後……私が『王女』になることが発表されました。
2
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる