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第五章 お見合い?

当然なの?

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 で、やっと帰宅……今日は朝比奈邸にお泊まりです……
 慶子様がそわそわして待っておられました。

「雪乃さん、顔合わせはどうでしたか?」
「どちらがいいと聞かれましたので、親王殿下がいいと答えました」

「親王殿下を選んだの?」
「はい」
「そう……堅実と言えば堅実ね……雪乃さんらしいわ……」

「あの……お聞きしたいことが……」
「なにかしら?」

「……皇后陛下より、その……裏切らない証を示してくれないかと……」

「ああ、そのことね……『王女』ですものね、40年ぶりかしらね、でも実際は婚約と思って良いわよ、『王女』というものは、皇子のために帝室が唾をつけている、という意味だから」

「でも、婚約よりは良いかもね」
「なぜです?」
「婚約とはね、未来の夫に対する覚悟を示すということよ、婚家のお姑様の前で、未来の夫の『ナニ』に口づけするのよ、私もしたわよ、とても恥ずかしかったけどね、その後ね、お尻も差し出すのよ」
「えっ、慶子様も?」
「ええ、久光様ってね、その時、私の口に出したのよ、酷いと思わない?」
「だす?」
「白い物よ」

「えっっ」

「その後、お尻にね、痛かったわ」

 よく聞くと、『ナニ』に口づけというのは、求愛を受け入れるという意味で、婚約の前には当然済ませておくことらしいのです。
 改めて婚約の儀式の前に『ナニ』に口づけというのは、お尻にですね……受け入れやすく……なんですか、この仕来りは!

「お友達も一緒に妾として、私が選んだ夫に傅くと云われるのですが……」
「皇后様はなにかおっしゃった?」
「『妾の事だけど、構わないわよ』とだけ」
「皇后様、物凄く譲歩してくださったわね、有難く思うことね」

 ?

「お友達は妾としてあつかうなら、妾契約の証が最低必要なのよ」
「契約の証?」
「契約の証とはね、婚約と同じで、裸になってお尻を差し出すのよ」

「えっっ、お尻を!」
「当然よ、妾だもの」

「では今回は……」
「お友達が妾契約も貴女の意思に従うことを認める、という意思表示よ、『S』を認めるということよ」

「そうなのですか……」

「で、いつ発表するって?」
「来週だけど、明日にも……」
「よほど雪乃さんを取り込みたいのね……まぁ当然よね、聖女ですものね」

 この後、私たちのお家の話が出て、私たちが寮を退寮すると同時に、慶子様と久光お兄様のご結婚式が行われることになっていると、聞かされました。
 帝室一族の降嫁ということで、朝比奈伯爵家は昇爵、つまり侯爵となるのですね……
 私は侯爵家の娘となり、皇帝陛下の養女、『王女』として、恥ずかしくない実家となる手筈です。

 まったく、恐ろしい手並み……なんでも皇帝陛下と皇后様がお決めになったようです。 

 日曜日、寮に戻ると、洋子様も戻っていました。
「お使いがこられ、お聞きしましたよ、皇子様方は雪乃様をお気に召されたとか?雪乃様はどちらの方を?」
「その……親王殿下が……お優しそうで、大事にしてくれそうで……」

「私は雪乃様がどちらかの皇子様を選ばれたら、当然、妾の儀式はあると覚悟していたのです、お母さまに聞くと、なんでもお尻も差し出すとか……痛そうなので聞くと、ワセリンを塗りなさいと教えられたのですよ」

 洋子様、物凄いことをおっしゃいます。
 ワセリンですよ!ワセリン!あんなものを塗ってお尻を……

「婚約したら、許嫁としては、儀式をするのでしょう……私……殿方のアレって、見たこともないし……お尻もでしょう……」
「雪乃様、お兄様はおられるのでしょう、チラッとぐらい見えるのでは?」
「私、孤児院で育ったでしょう、男の方は理事長先生しかいなかったし……尋常小学校は女子クラスでしたし……」
 尋常小学校って男女共学が建前ですが、女子が多いこの世界、どこの小学校でも女子だけのクラスが出来てしまうのです……

 不思議にも私は六年間、女子クラスに通ったと記憶にあります……
 どうも神様のご配慮による過去のようですね。
 そりゃあそうです、だって私の転生前の出来事ですからね。

 この後、散々に女子トークに花が咲き、そして翌日、午前中に洋子様と一緒に呼び出され……念をおされました。

「雪乃さん、洋子さんも、女学校を卒業したら、必ず輿入れしてね」
「二人でともに、必ず皇太子殿下か親王殿下に必ず嫁ぎます」
  
 なにかほっとした顔の皇后様と皇太后様でした。
 
 午後……私が『王女』になることが発表されました。

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