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第五章 お見合い?
あれよあれよという間に、皇子様と顔合わせ?
しおりを挟む入学して、やっと学校に落ち着いた頃、四月の中旬、今日は授業が昼までの木曜日です。
なぜか慶子様が『撫子寮』にやってこられました。
「お元気そうね、学校にも慣れた?」
「はい、お友達も出来ましたし、楽しく過ごしております」
「皇后様から聞きましたよ、貴女、聖女だとか?安心して、私も帝室一族の一員よ、聖女の話は何となく知っていたわ」
「まさか聖女が本当に居るなんてね……」
「申し訳ありません……」
「いいのよ、でも久光様はご存じ無いから、含んでいてね」
「貴女、先ほどお友達が出来たといっていたけど、上泉男爵の娘さんの事よね」
「なぜ、それを?」
「聖女の件、皇帝陛下もご存じなのですよ、皇后陛下の警備の女官を一人、ここの舎監に任命されたの、分かるでしょう?」
「監視というわけですか?」
「監視というより警護ね」
「徹底的に貴女のお友達は調べたそうよ……で、いろいろ問題が出てきたのよ……」
「上泉男爵だけど、どうやら悪質な投機話に手を出して、莫大な借金が出来たようね、二度目らしいけど懲りない方ね」
「こうなるとどうなるか分かるでしょう、でも娘さんの身売りぐらいでは、なんともならない額ね……」
「さて、私が来たのは皇帝陛下からのお言葉を伝えに来たのよ……その……雪乃さんを養女にしたいと申し入れてきたの……出来たらというより、必ず皇子と結婚してほしいそうよ」
「えっなぜ皇帝陛下が?」
「勿論、貴女が聖女だからでしょうね、久光様に嫌は云えないわ」
「その……お断りしたいのですが……」
「断ることは出来るわ、朝比奈の家に迷惑はかけない、これは皇帝陛下のお言葉よ」
「では」
「結論は早いわよ、なぜ皇帝陛下と皇后様がお友達の話を調べて、その上で養女にと申し入れて来たと思う?」
「それは……そのお話、私が受けると……なんとかなる……」
「その通り、皇帝陛下と皇后様も、こんな卑怯な手は使いたくないとのお心とは思うけど、なんとしても貴女を手放すことは出来ない……」
「聡明な貴女ですから、その辺は理解出来るでしょう?」
「……」
「婚約は今でなくともいいそうよ、ただ学業が終われば、輿入れとなることは覚悟して欲しい」
「私が受ければどうなるのですか?」
「雪乃さんが了承すれば上泉男爵は隠居ですむわ」
「幼い弟さんが次の上泉男爵、お母様は弟さんが成人なされるまで男爵家の後見となる」
「あの……お聞きする限り、上泉様の借財は膨大のように思えますが、女一人、身売りしてどうなる物でもないような……」
「そこで雪乃さんの出番なのよ」
「雪乃さんは、ペニシリンとかの薬の特許を持っているのよ」
「ペニシリンの特許料は皇帝陛下の命により、宮廷顧問弁護士が責任をもって口座を作り管理する」
「雪乃さんは皇帝陛下にその特許使用権を委託、皇帝陛下が朝比奈伯爵家の今までの貢献とあいまって、孤児になった雪乃さんの身の上も考慮して、雪乃さんを養女にする」
「そして養女の願いで、お友達の年季奉公の分を支払う、というストーリーになる」
「上泉男爵家の借財は膨大、お友達は年季奉公といっても永年奉公、そして皇帝の養女殿下に仕える事になる」
「永年奉公とはね、簡単に言うと女主人に身も心も仕えるということよ」
「……」
「この世界の女としては、破格の待遇、もう断れないと思ってね……」
「皇子様と結婚といわれても、お二人おられますが……」
「この土曜日、皇子様方に雪乃さんをご紹介したいの」
で、とにかく私は見合いまがいの事を了承したのです。
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