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第一章 お嬢様になりました
朝比奈伯爵家
しおりを挟むアフタヌーンティーが終わり、メイドさんに部屋に案内されました。
部屋はとても広く、机もベッドもあります、孤児院では考えられないことです。
ドレッサーもあるのですよ……でも、飾りのないものばかり、これはお兄様が選ばれたのでしょうね。
可愛らしさは皆無です。
「お着替えをいたしましょうね、お嬢様」
というわけで、少し恥ずかしかったのですが、服を脱いでいます。
服は孤児院からの支給服、なんでも寄付していただいた服だそうで、古着なのです。
幼稚園児が着るスモックのようなもので、丈はふくらはぎまであります。
替えはもっとボロボロのスモック……
下着はズロース……
「お可哀そうに……」
何故かメイドさんが涙目になっていますが、別に私は何とも思っていないのですよ。
「これを着ていれば別に寒くはありません、お友達も皆、このような服装でした」
「……」
メイドさんはハル様とおっしゃり、年のころは二十歳前の女性です。
朝比奈伯爵家の使用人のうち、メイドさんは五名、ハル様以外にも、あと四名おられるようです。
当然執事、バトラーさんがおられ、その奥様がハウスキーパーらしいのです。
どうやらハル様はウェイティングメイド、後の三人もハウスメイド、伯爵家という割には使用人が少ないらしいのです。
ハウス・スチュワードはいないようですね。
男性は執事さんを含めて五名、バトラー以外は全てフットマン、執事さんとその奥様は、敷地に専用の家があり、息子さんと娘さんがおられます。
娘さんは二年ほど前に伯爵家の援助で、高等女子師範学校を卒業されたとか、今では高等女学校の女子教師をなされています。
息子さんはフットマンの一人ですが、アンダー・バトラーとして執事さんを助けておられるようです。
ハル様は住み込みで、バトラーとハウスキーパー、アンダー・バトラーは敷地内の別宅、残りのハウスメイド三人とフットマン三名は通いということです。
お休みは週に一日、シフト制のようです。
あと行儀見習いとして、女の子が幾人か通ってきているようです。
学校が終わって、夕食が終わるまでの雑用をしてくれるようです。
朝比奈伯爵家とは、そこそこお金持ち、まぁお母さまを愛人にするわけですからね。
いまこの伯爵家がある国家、帝国ですが、華族の領地はその昔、全てその帝国に取られたのですが、その代わり、領地に見合う分は華族世襲財産法により、毎年年金として、当時の収入の三割は保証されています。
この帝国はもう数千年も存続しているようです。
なんでも元の領地に中規模な金鉱があり、その鉱山の採掘権を国営鉱山が買い取り、国庫から年金として、この年金が華族世襲財産法で守られ、公爵家なみの支給があるのです。
まあ、その鉱山も今は閉山していますが、年金は頂いているわけです♪
その上、領地としては金鉱以外でも男爵家なみの小さい領地ですがあるわけで、朝比奈伯爵家の収入は公爵家+男爵家、馬鹿なことなどしない限りまず困らない。
それでも、豪邸といえど、伯爵家としては小さい屋敷。
ハル様に聞くと、男爵家ぐらいの規模だそうです。
勿論、使用人の数も普通の男爵家程度だそうですが、待遇はかなり良いと教えてくれました。
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