30 / 50
第二巻
006 文系男子の説得
しおりを挟む
蒼葉が稲穂の実家を訪れたのは、丁度昼食時だった。
本来ならば配布物を届けてくれたお礼も兼ねて、穂積が昼食をご馳走してくれる予定だったのだが、急な仕事のために家を出てしまって、今は蒼葉と稲穂しかいない。
「大方、債務者が逃げたか審査で多重債務者だって気づかなかった社員が慌てて報告してきた、ってとこでしょう。ほっといていいわよ」
「そういうものなのか? 金融業の急な仕事って」
家に上げられた蒼葉は、今は稲穂と向かい合って冷茶を飲んでいる。仕事が入る前に穂積が淹れていったものだ。
「……で、少しは落ち着いたのか?」
蒼葉の問いかけに稲穂は答えず、黙って空の湯飲みを投げつけてきた。
普段から手をあげられている蒼葉には予想がついていたので、あっさりと受け止めて、お茶と共に用意されたちゃぶ台の上に湯飲みを戻している。
「お前な……このままだと、しばらく謹慎だぞ」
「ふん……」
湯飲みを投げつけた姿勢から身を引いた稲穂は、正座に戻らず片足を上げて、抱え込むように座り込んだ。その様子を蒼葉は、ちゃぶ台の対面で足を崩しながら見つめている。
しかしこのままでは話が進まないと、蒼葉は稲穂を見つめるのを止めた。
「とりあえず飯にしよう。出前取るか?」
「…………寿司、特上で」
「貰った金と手持ちを合わせても、全然足りんわ」
いっそ回転寿司にでも行くかと考えた蒼葉だが、勝手に稲穂を連れ出してもいいのかと、少し悩んでしまう。
「仕方ない、適当に何か作るか……台所を借りてもいいか?」
「好きにして……でも何もないと思うわよ?」
蒼葉は稲穂に案内されて台所に向かうが、実際何もなかった。
冷蔵庫はビール缶のみ。戸棚にはつまみにしているのか乾き物の菓子類と缶詰だけで、米や生ものが一切ない。辛うじてあると言えば、前におすそ分けで貰ったそうめんがここにも仕舞われているということだけだ。
「親父一人の時は、基本買い置きしないのよ。私が帰って来てから買い込んだ分は、昨日食べきったから今日買い出しに行くつもりだったし。プハァ……」
「マジかよ……って、お前何飲んでんの?」
「ビール」
お前未成年だろ、というツッコミはない。
差し出されたビール缶の表示をよく見てみると、ノンアルコールビールだった。だからと言って未成年が飲んでもいいのかという疑問もあるが、蒼葉は気にすることなく、稲穂から差し出された缶を受け取り、プルタブを開けた。
「置いてあるの、って全部ノンアルコール?」
「そう、私が飲まないように」
初めて飲むビールの味に微妙な顔を浮かべながら、蒼葉は稲穂の方を向いた。
「昔煙草吸ってたから、置いておくと勝手に飲むって思われてるのよ。空手始めてからは止めたし、元からアルコールに興味はなかったけれどね」
「実際、飲んでるしな。ノンアルコールだけど」
「人に駄目って言われると、無性にやりたくなることって、ない?」
蒼葉は目を逸らした。稲穂は気にすることなく、缶の中身を飲み干した。
「まあ、アルコールそのものは飲んだことがないから、どうなるかは知らないけど」
「そもそも飲もうとするなよ未成年」
「人生、そんなもんよ」
飲み干した缶に水道水を流し入れ、軽く振ってから逆さにして流しに置いた稲穂。
「『人間、どうあがいても失敗するんだから、成功だけ考えていればいい』、ってね」
「誰の言葉だよ?」
「中学時代の顧問の言葉。切っ掛け一つで簡単に道を踏み外せるんだから、頑張れるうちは気にせず頑張れって意味」
ノンアルコールとはいえビールを飲んでいたくせに、妙に行儀のいい稲穂の言葉に耳を傾けながら、蒼葉も同様に飲み干し、缶を片付けた。
「その顧問、言葉がうまいな。結果を気にせず、とにかく練習に集中させるには最適だな」
「実際、ずっと巻き藁を突いていたしね」
少し前に、稲穂は天才タイプか秀才タイプのどちらかだと思っていたが、どうやら後者らしい。蒼葉はそのまま、ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「どんな人なんだ? その顧問、って」
「ただの格闘技好きよ」
腕を組んだまま天井を見上げる稲穂は、そのまま近くの壁にもたれかかった。
「ベースは空手なんだけど、武術や格闘技ってジャンルのものは片っ端から覚えていく女だったわ。教師をやっていたのだって、図書室にこっそり、関連資料を揃えるためだって言ってたしね」
「すごい公私混同だな……」
「そのために教職員用の図書館司書の資格を取ったって言ってたほどだし、正直呆れてものも言えなかったわ」
教師を辞めた理由は図書室の私的利用がばれたからじゃないのかと、蒼葉は疑ってしまう。稲穂も同様に疑っているのか、考えを読んだかのように頷いている。
「私も教頭を恐喝した時にかばってくれたのかと思ったけど……よくよく考えたら、それ理由にして闇討ちするような人間だから、恐らく別件ね」
「生徒に悪影響じゃないのか、その教師」
「少なくとも間違った指導はしていないわよ。まだまともなんじゃない?」
再び漁ってみると、奥からチューブの生姜が出てきた。
そうめんを茹でて生姜と麺汁を混ぜれば、どうにか一食分にはなるだろうが、高校生には微妙に物足りない。
「後は缶詰でも開ければ何とかなるか。適当に開けて盛り付けてくれるか?」
「結局食べに行かないの?」
流し台の下を覗いていた蒼葉は、表情を少し抑えながら稲穂を見上げた。
「……寄り道せず、まっすぐ家に帰ってこれるのか?」
「何? 復讐するな、って言うの?」
「やり方を考えろ、って言ってんだよ」
戸を閉じ、蒼葉は静かに立ち上がった。
「相手から受けた仕打ちに対して耐えろなんて言えるほど、俺も善人じゃないしな。復讐自体止めるつもりはないよ」
「ならいいじゃない。そのままほっとけば、っ!?」
その掌は、稲穂の顔の横を突き抜け、もたれていた壁に強く押しつけられた。
壁と掌が衝突する音に、稲穂は軽く怯む。
いや、それ以上に、
至近距離と呼べるまでに顔を近づけてくる蒼葉に、稲穂は身が竦んで動けないでいた。
「な、何よ……?」
「……背負えるのか?」
今まで見せたことのない雰囲気に、稲穂は気圧されている。しかし蒼葉は構わず、真っすぐ見つめたまま、言葉を投げかけていく。
「人を殺して、その周囲から恨まれる覚悟はあるのか? 相手を傷つけ、無駄に怨嗟を乱立させたせいで自らを危険に晒す覚悟はあるのか? ……人を殺して、その罪を抱えたまま残りの人生を終える覚悟はあるのか?」
「何言っているのよ、あんた…………」
蒼葉が何を言っているのか、今の稲穂には理解できなかった。
……次の言葉を聞くまでは。
「……お前を捨てた母親はな、一流の技術を持つ医者なんだよ」
稲穂は、言葉を失った。
「多分、捨てた子供が死んだと思って、贖罪として救える命を片っ端から治療した結果だろうな。今でこそ小さな診療所の開業医なんてやっているが、その気になれば、大病院で働いていてもおかしくない人材なんだよ」
稲穂が何も言わずとも、蒼葉は止めることなく続けていく。
「だからあの人に感謝している人間も多い。たとえ、過去に何があろうともだ。……それがどういうことか、分かるか?」
「…………今度は私が狙われる、って言いたいの?」
一度首肯してから、蒼葉はようやく掌を降ろした。
「憎しみが連鎖する、なんてよくある話だろ」
「だから我慢しろ、って?」
「だからやり方を考えろって、さっきから言ってるだろうが」
稲穂の横に立って壁にもたれていたが、蒼葉はそのままずるずると、腰を降ろしていく。
「たしかにあの人に恩を感じている人間は多い。俺もある意味、その手合いだからな。まあだからって……それで金子が我慢しなければならない理由なんて何もない」
そして、同じように殺す理由もない。
言葉にされたわけじゃないが、そう言っている気がした稲穂は、同じく床に座り込んで、蒼葉と共に前を見た。
「訴えたいなら、親父が知っている弁護士を紹介してやるよ。世間にばらしたいなら、マスコミ関係でもいい。別に殺さなくったって、復讐はできる。……金子が無理に、手を汚す必要はどこにもないんだよ」
「…………」
復讐に、綺麗も汚いもあるのだろうか?
稲穂は黙ったまま、両膝を抱えて顔を埋めていく。どうするべきか悩み、やがてどう悩んでも答えが出ないので、蒼葉に問いかけた。
「じゃあ……あんたならどうするの?」
「……後悔させる」
即答、とは言い難いが、蒼葉は稲穂にそう答えた。
「その過ちを徹底的に責める。二度と同じことをさせないために、二度とそんな考えを持たせないように、相手が心の底から悔い改めるまで責め続ける」
言葉が途切れる。そして、次に出た声のトーンは変わっていた。
「……ま、そのやり方を考えていて、あっさり殺人に傾いちまうんだから。本当に短絡的だよな、人間って」
「それは否定しないわ……」
緊張が解けたからか、身体が本格的に空腹を訴えてくる。
そうめんを茹でようと立ち上がり鍋を探し出す蒼葉。
しかし稲穂は、そんな蒼葉を止めて、自らのアップルフォンを取り出してみせた。
「やっぱり出前取りましょう。もうピザとかでもいいから」
「……じゃ、そうしよっか」
出前のチラシを取り出してゆっくり見ようと、二人は先程の居間へと戻っていく。
本来ならば配布物を届けてくれたお礼も兼ねて、穂積が昼食をご馳走してくれる予定だったのだが、急な仕事のために家を出てしまって、今は蒼葉と稲穂しかいない。
「大方、債務者が逃げたか審査で多重債務者だって気づかなかった社員が慌てて報告してきた、ってとこでしょう。ほっといていいわよ」
「そういうものなのか? 金融業の急な仕事って」
家に上げられた蒼葉は、今は稲穂と向かい合って冷茶を飲んでいる。仕事が入る前に穂積が淹れていったものだ。
「……で、少しは落ち着いたのか?」
蒼葉の問いかけに稲穂は答えず、黙って空の湯飲みを投げつけてきた。
普段から手をあげられている蒼葉には予想がついていたので、あっさりと受け止めて、お茶と共に用意されたちゃぶ台の上に湯飲みを戻している。
「お前な……このままだと、しばらく謹慎だぞ」
「ふん……」
湯飲みを投げつけた姿勢から身を引いた稲穂は、正座に戻らず片足を上げて、抱え込むように座り込んだ。その様子を蒼葉は、ちゃぶ台の対面で足を崩しながら見つめている。
しかしこのままでは話が進まないと、蒼葉は稲穂を見つめるのを止めた。
「とりあえず飯にしよう。出前取るか?」
「…………寿司、特上で」
「貰った金と手持ちを合わせても、全然足りんわ」
いっそ回転寿司にでも行くかと考えた蒼葉だが、勝手に稲穂を連れ出してもいいのかと、少し悩んでしまう。
「仕方ない、適当に何か作るか……台所を借りてもいいか?」
「好きにして……でも何もないと思うわよ?」
蒼葉は稲穂に案内されて台所に向かうが、実際何もなかった。
冷蔵庫はビール缶のみ。戸棚にはつまみにしているのか乾き物の菓子類と缶詰だけで、米や生ものが一切ない。辛うじてあると言えば、前におすそ分けで貰ったそうめんがここにも仕舞われているということだけだ。
「親父一人の時は、基本買い置きしないのよ。私が帰って来てから買い込んだ分は、昨日食べきったから今日買い出しに行くつもりだったし。プハァ……」
「マジかよ……って、お前何飲んでんの?」
「ビール」
お前未成年だろ、というツッコミはない。
差し出されたビール缶の表示をよく見てみると、ノンアルコールビールだった。だからと言って未成年が飲んでもいいのかという疑問もあるが、蒼葉は気にすることなく、稲穂から差し出された缶を受け取り、プルタブを開けた。
「置いてあるの、って全部ノンアルコール?」
「そう、私が飲まないように」
初めて飲むビールの味に微妙な顔を浮かべながら、蒼葉は稲穂の方を向いた。
「昔煙草吸ってたから、置いておくと勝手に飲むって思われてるのよ。空手始めてからは止めたし、元からアルコールに興味はなかったけれどね」
「実際、飲んでるしな。ノンアルコールだけど」
「人に駄目って言われると、無性にやりたくなることって、ない?」
蒼葉は目を逸らした。稲穂は気にすることなく、缶の中身を飲み干した。
「まあ、アルコールそのものは飲んだことがないから、どうなるかは知らないけど」
「そもそも飲もうとするなよ未成年」
「人生、そんなもんよ」
飲み干した缶に水道水を流し入れ、軽く振ってから逆さにして流しに置いた稲穂。
「『人間、どうあがいても失敗するんだから、成功だけ考えていればいい』、ってね」
「誰の言葉だよ?」
「中学時代の顧問の言葉。切っ掛け一つで簡単に道を踏み外せるんだから、頑張れるうちは気にせず頑張れって意味」
ノンアルコールとはいえビールを飲んでいたくせに、妙に行儀のいい稲穂の言葉に耳を傾けながら、蒼葉も同様に飲み干し、缶を片付けた。
「その顧問、言葉がうまいな。結果を気にせず、とにかく練習に集中させるには最適だな」
「実際、ずっと巻き藁を突いていたしね」
少し前に、稲穂は天才タイプか秀才タイプのどちらかだと思っていたが、どうやら後者らしい。蒼葉はそのまま、ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「どんな人なんだ? その顧問、って」
「ただの格闘技好きよ」
腕を組んだまま天井を見上げる稲穂は、そのまま近くの壁にもたれかかった。
「ベースは空手なんだけど、武術や格闘技ってジャンルのものは片っ端から覚えていく女だったわ。教師をやっていたのだって、図書室にこっそり、関連資料を揃えるためだって言ってたしね」
「すごい公私混同だな……」
「そのために教職員用の図書館司書の資格を取ったって言ってたほどだし、正直呆れてものも言えなかったわ」
教師を辞めた理由は図書室の私的利用がばれたからじゃないのかと、蒼葉は疑ってしまう。稲穂も同様に疑っているのか、考えを読んだかのように頷いている。
「私も教頭を恐喝した時にかばってくれたのかと思ったけど……よくよく考えたら、それ理由にして闇討ちするような人間だから、恐らく別件ね」
「生徒に悪影響じゃないのか、その教師」
「少なくとも間違った指導はしていないわよ。まだまともなんじゃない?」
再び漁ってみると、奥からチューブの生姜が出てきた。
そうめんを茹でて生姜と麺汁を混ぜれば、どうにか一食分にはなるだろうが、高校生には微妙に物足りない。
「後は缶詰でも開ければ何とかなるか。適当に開けて盛り付けてくれるか?」
「結局食べに行かないの?」
流し台の下を覗いていた蒼葉は、表情を少し抑えながら稲穂を見上げた。
「……寄り道せず、まっすぐ家に帰ってこれるのか?」
「何? 復讐するな、って言うの?」
「やり方を考えろ、って言ってんだよ」
戸を閉じ、蒼葉は静かに立ち上がった。
「相手から受けた仕打ちに対して耐えろなんて言えるほど、俺も善人じゃないしな。復讐自体止めるつもりはないよ」
「ならいいじゃない。そのままほっとけば、っ!?」
その掌は、稲穂の顔の横を突き抜け、もたれていた壁に強く押しつけられた。
壁と掌が衝突する音に、稲穂は軽く怯む。
いや、それ以上に、
至近距離と呼べるまでに顔を近づけてくる蒼葉に、稲穂は身が竦んで動けないでいた。
「な、何よ……?」
「……背負えるのか?」
今まで見せたことのない雰囲気に、稲穂は気圧されている。しかし蒼葉は構わず、真っすぐ見つめたまま、言葉を投げかけていく。
「人を殺して、その周囲から恨まれる覚悟はあるのか? 相手を傷つけ、無駄に怨嗟を乱立させたせいで自らを危険に晒す覚悟はあるのか? ……人を殺して、その罪を抱えたまま残りの人生を終える覚悟はあるのか?」
「何言っているのよ、あんた…………」
蒼葉が何を言っているのか、今の稲穂には理解できなかった。
……次の言葉を聞くまでは。
「……お前を捨てた母親はな、一流の技術を持つ医者なんだよ」
稲穂は、言葉を失った。
「多分、捨てた子供が死んだと思って、贖罪として救える命を片っ端から治療した結果だろうな。今でこそ小さな診療所の開業医なんてやっているが、その気になれば、大病院で働いていてもおかしくない人材なんだよ」
稲穂が何も言わずとも、蒼葉は止めることなく続けていく。
「だからあの人に感謝している人間も多い。たとえ、過去に何があろうともだ。……それがどういうことか、分かるか?」
「…………今度は私が狙われる、って言いたいの?」
一度首肯してから、蒼葉はようやく掌を降ろした。
「憎しみが連鎖する、なんてよくある話だろ」
「だから我慢しろ、って?」
「だからやり方を考えろって、さっきから言ってるだろうが」
稲穂の横に立って壁にもたれていたが、蒼葉はそのままずるずると、腰を降ろしていく。
「たしかにあの人に恩を感じている人間は多い。俺もある意味、その手合いだからな。まあだからって……それで金子が我慢しなければならない理由なんて何もない」
そして、同じように殺す理由もない。
言葉にされたわけじゃないが、そう言っている気がした稲穂は、同じく床に座り込んで、蒼葉と共に前を見た。
「訴えたいなら、親父が知っている弁護士を紹介してやるよ。世間にばらしたいなら、マスコミ関係でもいい。別に殺さなくったって、復讐はできる。……金子が無理に、手を汚す必要はどこにもないんだよ」
「…………」
復讐に、綺麗も汚いもあるのだろうか?
稲穂は黙ったまま、両膝を抱えて顔を埋めていく。どうするべきか悩み、やがてどう悩んでも答えが出ないので、蒼葉に問いかけた。
「じゃあ……あんたならどうするの?」
「……後悔させる」
即答、とは言い難いが、蒼葉は稲穂にそう答えた。
「その過ちを徹底的に責める。二度と同じことをさせないために、二度とそんな考えを持たせないように、相手が心の底から悔い改めるまで責め続ける」
言葉が途切れる。そして、次に出た声のトーンは変わっていた。
「……ま、そのやり方を考えていて、あっさり殺人に傾いちまうんだから。本当に短絡的だよな、人間って」
「それは否定しないわ……」
緊張が解けたからか、身体が本格的に空腹を訴えてくる。
そうめんを茹でようと立ち上がり鍋を探し出す蒼葉。
しかし稲穂は、そんな蒼葉を止めて、自らのアップルフォンを取り出してみせた。
「やっぱり出前取りましょう。もうピザとかでもいいから」
「……じゃ、そうしよっか」
出前のチラシを取り出してゆっくり見ようと、二人は先程の居間へと戻っていく。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
アーコレードへようこそ
松穂
ライト文芸
洋食レストラン『アーコレード(Accolade)』慧徳学園前店のひよっこ店長、水奈瀬葵。
楽しいスタッフや温かいお客様に囲まれて毎日大忙し。
やっと軌道に乗り始めたこの時期、突然のマネージャー交代?
異名サイボーグの新任上司とは?
葵の抱える過去の傷とは?
変化する日常と動き出す人間模様。
二人の間にめでたく恋情は芽生えるのか?
どこか懐かしくて最高に美味しい洋食料理とご一緒に、一読いかがですか。
※ 完結いたしました。ありがとうございました。
太陽の島
丹羽嘉人
ライト文芸
小説家志望の〈私〉は療養のためにある島に滞在し、オランダ人とのクオーターの少年、ケンと出逢う。創作に行き詰まり、脱色された現実に悩まされた〈私〉において、ケンは新たな空想の太陽、世界を彩色する象徴のようであった。やがて〈私〉はケンに惹かれ、ケンは視野狭窄にかかった少女小百合に恋をする。空想と現実、肉体と精神、生と死、それらが深く交差し、混濁した島で〈私〉にはひとつの野望が芽生えはじめる。……
どん底韋駄天這い上がれ! ー立教大学軌跡の四年間ー
七部(ななべ)
ライト文芸
高校駅伝の古豪、大阪府清風高校の三年生、横浜 快斗(よこはま かいと)は最終七区で五位入賞。いい結果、古豪の完全復活と思ったが一位からの五人落ち。眼から涙が溢れ出る。
しばらく意識が無いような状態が続いたが、大学駅伝の推薦で選ばれたのは立教大学…!
これは快斗の東京、立教大学ライフを描いたスポーツ小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる