38 / 97
偽宦官の立ち位置
名月の狂宴③
しおりを挟む
中秋節の日は朝から良く晴れていた。皇宮の祭壇に祈りを捧げる儀式は滞りなく行われ、皇帝がしたためた今年の経文も無事に奉納された。
儀礼用に正装した皇帝の後姿を見ながら、居並ぶ高官たちの後ろに控えた白狼はこの中のどいつが貴妃の一派かと考えていた。どいつもこいつも儀礼用の服と冠を被っていて、後ろ姿では区別がつかない。多分皇帝に近い前のほうの席にいるんだろうな、というアタリは付けられるがそれ以上は探しようがなかった。
皇帝から銀月を守ってほしいと頼まれ数日。結局白狼は乾清宮の仕事から承乾宮へ戻してもらうことができないままだった。まあ初めから中秋節までと聞いていたのでそれはいい。が、目が届かないところに銀月がいると思うと、何かそわそわ気忙しい気持ちになるのが落ち着かなかった。
実際の銀月は側近に守られて何事もなく過ごしているのだろうが、明確に貴妃に狙われているという情報を果たして翠明が掴んでいるかどうか。それだけでも何とか伝えられないかと考えたが、思いのほか日々の業務に忙殺され白狼も身動きが取れなかったのだ。
果たして釣り餌としてこんな表でのうのうと暮らしていてよいものか。餌になりえるのかと自問するが答えてくれる者もいない。仕方なしに白狼は割り振られた勤めに没頭した。
日中の行事が終わると夜は後宮での宴である。宦官以外の皇宮の高官たちが各々の館で宴会を行うために帰宅していったのを見送ると、白狼はじめ宦官たちは大急ぎで後宮へと走った。とはいえ、後宮内での行事なのでその準備のほとんどは後宮付きの女官や宦官が済ませている。白狼たちがやることと言えば皇帝の支度と世話であった。
実はこの着替えが1番面倒くさい。着るものの種類、重なる順番、帯の結び方、玉飾りの数、冠と尺の取り合わせなど、儀式によって組み合わせが何通りもあるのである。付け焼き刃で覚えられるものではない。そして今日は通算四回目の着替えで、次は格式の高い宴会用の着物と聞いて眩暈がした。
同僚達と悪戦苦闘しながら皇帝が宴席用の正装に着替えるのを手伝い、本人を輿に乗せると白狼は肩をぐるりと回す。ぼきぼき、と聞いたことのない音が体の奥から聞こえた。
★ ★ ★ ★ ★
やっと後宮だ。と思ったのもつかの間。皇帝のお供でやってきた白狼たち宦官は主とその妻たちの給仕に走り回られた。なにせ後宮にいる妃は数が多い上に、一年のうち皇帝を招いて行う宴は何回もない一大行事である。もちろん妃嬪たちの侍女や後宮の女官も大忙しだ。
大量に作られた料理や酒をあちこちに運び、裏では交代で女官たちにもそれらを配り、月を背景に歌い踊らせた芸妓たちにも祝いの品を渡し歩く。宴会場と尚食局の厨房とを何回行き来したか、数えるのももうばかばかしくなったころにようやく白狼も休憩の順番がやってきた。
「……大体にして宦官が少ねえんだよな。人遣い荒すぎだよ全く」
配給された食事の盆を持って、白狼は人の波に逆らうように会場の下座へと歩いていた。向かう先は銀月たちのいる天幕だ。後宮は妃嬪たちの領域であり、母である賢妃もいない帝姫は必然的に皇帝から遠い下座に配されていたからだ。
皇后や貴妃によるいやがらせの一環なのだろうが、どうせ人前に顔を出すことを避けている銀月にとっては逆に都合がよいだろう。今夜もすぐに帰ってしまうのではないか。それであれば宮まで行ってしまうのも手だ。
久しぶりに会える、と白狼の足取りは軽くなる。きっと宴に合わせて黒花と小葉が盛大に銀月を飾り立てているのだろう。どんな可憐な姫君を装っているか不謹慎ながらわくわくする。想像上の銀月は面白くなさそうにふてくされているが、きっと現実のそれも大差あるまい。どんなに着飾っていても、中身はもう年頃の少年なのだから。
皇帝にはああ言われたが、どうせ「守る」とか言っても余計なお世話だと言われるか、あるいは給金分は働けと言われるかだろう。ならばいつもみたいに報告してから一緒に策を練ったほうがいい。
父親が心配していると知ったら、あの冷静な皇子がどんな顔をするか。反応をあれこれ考えながら才人や宝林といった下位の妃嬪の天幕を通り過ぎ、もう少しで銀月のところだと歩みが早まった時に事件は起こった。
「盗人です」
いきなり腕を後ろ手に捻 りあげられたかと思ったら、背後で男にしては甲高い声が上がった。取り落とした盆から落ちた食器が割れ、近くを歩いていた女官たちが突然のことに悲鳴を上げて後ずさる。強く腕を捻られた白狼が痛みに顔をしかめて振り返れば、そこにいたのは周に負けず劣らず体格のよい宦官だった。
武官あがりなのか宦官にしては体つきがごつい。顔つきも精悍だが、その割に去勢したもの特有のつるりとした肌と甲高い声が不釣り合いに目立った。
「痛えな!」
振り払おうと身をよじるが、相手の宦官の力は強く余計に腕をねじられる。来い、と引っ張られるままに白狼は皇帝と皇后のいる前に引きずりだされてしまった。
何事かと皆が静まって注目する中、姸のある声で皇后付きの女官が問うと白狼を捕まえた宦官は白狼の着物の懐に手を突っ込んだ。中衣越しではあるが無遠慮にまさぐられ、羞恥ではなく口も開けないほどの怒りが湧き上がり白狼の顔は真っ赤に染まる。
殺してやると白狼が見上げた宦官の顔は、真面目腐った表情の中でわずかに口元を歪ませていた。
やがて宦官は白狼の懐から腕を抜くと、それを高々と掲げた。その手には、一本の簪が握られている。かがり火に照らされたそれは、いかにも豪華な輝きを放った。
「この者、承乾宮の宦官でございますが貴妃様の簪を盗んだ重罪人でございます」
場を取り巻いていた女官たちが一斉にざわついた。数段高いところに座っている皇帝の顔は白狼からは見えないが、その近くにいるはずの主席宦官が慌てたように何事か叫んでいるのが聞こえる。
「こちらの簪は貴妃様が大切に保管されていた秘蔵の逸品。先日盗難にあい、長春宮の者で方々探しておりました。」
「……っんだと!」
「おとなしくしたまえ。暴れればなお罪が重くなる」
「やってねえよ! だれがそんな簪盗むってんだ!」
組み伏せられてなお白狼が暴れようと抵抗すると、押さえつけている宦官がふっと鼻を慣らす。
「どうやら相当に育ちが悪いらしい。こんな者を後宮に入れるなど、帝姫様はじめ承乾宮の方々は一体何を考えているのやら。出自が卑しい者のところは、集まる者も卑しいと見える」
「てめえ! ふざけんな!」
自分だけでなく銀月を貶められ白狼の怒りは頂点に達した。腰を捻って脚を振り上げ、自分の上に乗った宦官のわき腹を狙って膝をめり込ませる。思わぬ方向からの反撃だったのだろう、宦官が呻いて力が緩んだ。その隙に白狼は宦官の肘を払い、拘束を振りほどく。
「無礼者が! 取り押さえよ!」
皇帝と皇后より一段低い貴妃の席から鋭い声が飛ぶと、あっという間に白狼は護衛の宦官や警備兵などに取り囲まれてしまった。あまりに手回しが良い。白狼の頭に、あの夜の密談が蘇った。
取り囲む兵の向こうでは皇帝が青い顔をしている。その隣にいる皇后は扇で顔を隠してはいるものの、周りの侍女たちが驚きのためか口を開けたままになっていた。
白狼はその一段下に座している貴妃に目を向けた。上座の二人とは異なり椅子に座ったまま悠然と扇子を傾けている。遠目にも分かる、華やかな美女だ。しかし盗難の被害にあった妃の態度ではない。――ハナっから嵌める気だったのか、と白狼は唇を噛んだ。
釣れたといえば釣れたのだろう。しかし達成感より、事前にそれを察知できずにやられてしまったという焦燥感が湧き上がる。
儀礼用に正装した皇帝の後姿を見ながら、居並ぶ高官たちの後ろに控えた白狼はこの中のどいつが貴妃の一派かと考えていた。どいつもこいつも儀礼用の服と冠を被っていて、後ろ姿では区別がつかない。多分皇帝に近い前のほうの席にいるんだろうな、というアタリは付けられるがそれ以上は探しようがなかった。
皇帝から銀月を守ってほしいと頼まれ数日。結局白狼は乾清宮の仕事から承乾宮へ戻してもらうことができないままだった。まあ初めから中秋節までと聞いていたのでそれはいい。が、目が届かないところに銀月がいると思うと、何かそわそわ気忙しい気持ちになるのが落ち着かなかった。
実際の銀月は側近に守られて何事もなく過ごしているのだろうが、明確に貴妃に狙われているという情報を果たして翠明が掴んでいるかどうか。それだけでも何とか伝えられないかと考えたが、思いのほか日々の業務に忙殺され白狼も身動きが取れなかったのだ。
果たして釣り餌としてこんな表でのうのうと暮らしていてよいものか。餌になりえるのかと自問するが答えてくれる者もいない。仕方なしに白狼は割り振られた勤めに没頭した。
日中の行事が終わると夜は後宮での宴である。宦官以外の皇宮の高官たちが各々の館で宴会を行うために帰宅していったのを見送ると、白狼はじめ宦官たちは大急ぎで後宮へと走った。とはいえ、後宮内での行事なのでその準備のほとんどは後宮付きの女官や宦官が済ませている。白狼たちがやることと言えば皇帝の支度と世話であった。
実はこの着替えが1番面倒くさい。着るものの種類、重なる順番、帯の結び方、玉飾りの数、冠と尺の取り合わせなど、儀式によって組み合わせが何通りもあるのである。付け焼き刃で覚えられるものではない。そして今日は通算四回目の着替えで、次は格式の高い宴会用の着物と聞いて眩暈がした。
同僚達と悪戦苦闘しながら皇帝が宴席用の正装に着替えるのを手伝い、本人を輿に乗せると白狼は肩をぐるりと回す。ぼきぼき、と聞いたことのない音が体の奥から聞こえた。
★ ★ ★ ★ ★
やっと後宮だ。と思ったのもつかの間。皇帝のお供でやってきた白狼たち宦官は主とその妻たちの給仕に走り回られた。なにせ後宮にいる妃は数が多い上に、一年のうち皇帝を招いて行う宴は何回もない一大行事である。もちろん妃嬪たちの侍女や後宮の女官も大忙しだ。
大量に作られた料理や酒をあちこちに運び、裏では交代で女官たちにもそれらを配り、月を背景に歌い踊らせた芸妓たちにも祝いの品を渡し歩く。宴会場と尚食局の厨房とを何回行き来したか、数えるのももうばかばかしくなったころにようやく白狼も休憩の順番がやってきた。
「……大体にして宦官が少ねえんだよな。人遣い荒すぎだよ全く」
配給された食事の盆を持って、白狼は人の波に逆らうように会場の下座へと歩いていた。向かう先は銀月たちのいる天幕だ。後宮は妃嬪たちの領域であり、母である賢妃もいない帝姫は必然的に皇帝から遠い下座に配されていたからだ。
皇后や貴妃によるいやがらせの一環なのだろうが、どうせ人前に顔を出すことを避けている銀月にとっては逆に都合がよいだろう。今夜もすぐに帰ってしまうのではないか。それであれば宮まで行ってしまうのも手だ。
久しぶりに会える、と白狼の足取りは軽くなる。きっと宴に合わせて黒花と小葉が盛大に銀月を飾り立てているのだろう。どんな可憐な姫君を装っているか不謹慎ながらわくわくする。想像上の銀月は面白くなさそうにふてくされているが、きっと現実のそれも大差あるまい。どんなに着飾っていても、中身はもう年頃の少年なのだから。
皇帝にはああ言われたが、どうせ「守る」とか言っても余計なお世話だと言われるか、あるいは給金分は働けと言われるかだろう。ならばいつもみたいに報告してから一緒に策を練ったほうがいい。
父親が心配していると知ったら、あの冷静な皇子がどんな顔をするか。反応をあれこれ考えながら才人や宝林といった下位の妃嬪の天幕を通り過ぎ、もう少しで銀月のところだと歩みが早まった時に事件は起こった。
「盗人です」
いきなり腕を後ろ手に捻 りあげられたかと思ったら、背後で男にしては甲高い声が上がった。取り落とした盆から落ちた食器が割れ、近くを歩いていた女官たちが突然のことに悲鳴を上げて後ずさる。強く腕を捻られた白狼が痛みに顔をしかめて振り返れば、そこにいたのは周に負けず劣らず体格のよい宦官だった。
武官あがりなのか宦官にしては体つきがごつい。顔つきも精悍だが、その割に去勢したもの特有のつるりとした肌と甲高い声が不釣り合いに目立った。
「痛えな!」
振り払おうと身をよじるが、相手の宦官の力は強く余計に腕をねじられる。来い、と引っ張られるままに白狼は皇帝と皇后のいる前に引きずりだされてしまった。
何事かと皆が静まって注目する中、姸のある声で皇后付きの女官が問うと白狼を捕まえた宦官は白狼の着物の懐に手を突っ込んだ。中衣越しではあるが無遠慮にまさぐられ、羞恥ではなく口も開けないほどの怒りが湧き上がり白狼の顔は真っ赤に染まる。
殺してやると白狼が見上げた宦官の顔は、真面目腐った表情の中でわずかに口元を歪ませていた。
やがて宦官は白狼の懐から腕を抜くと、それを高々と掲げた。その手には、一本の簪が握られている。かがり火に照らされたそれは、いかにも豪華な輝きを放った。
「この者、承乾宮の宦官でございますが貴妃様の簪を盗んだ重罪人でございます」
場を取り巻いていた女官たちが一斉にざわついた。数段高いところに座っている皇帝の顔は白狼からは見えないが、その近くにいるはずの主席宦官が慌てたように何事か叫んでいるのが聞こえる。
「こちらの簪は貴妃様が大切に保管されていた秘蔵の逸品。先日盗難にあい、長春宮の者で方々探しておりました。」
「……っんだと!」
「おとなしくしたまえ。暴れればなお罪が重くなる」
「やってねえよ! だれがそんな簪盗むってんだ!」
組み伏せられてなお白狼が暴れようと抵抗すると、押さえつけている宦官がふっと鼻を慣らす。
「どうやら相当に育ちが悪いらしい。こんな者を後宮に入れるなど、帝姫様はじめ承乾宮の方々は一体何を考えているのやら。出自が卑しい者のところは、集まる者も卑しいと見える」
「てめえ! ふざけんな!」
自分だけでなく銀月を貶められ白狼の怒りは頂点に達した。腰を捻って脚を振り上げ、自分の上に乗った宦官のわき腹を狙って膝をめり込ませる。思わぬ方向からの反撃だったのだろう、宦官が呻いて力が緩んだ。その隙に白狼は宦官の肘を払い、拘束を振りほどく。
「無礼者が! 取り押さえよ!」
皇帝と皇后より一段低い貴妃の席から鋭い声が飛ぶと、あっという間に白狼は護衛の宦官や警備兵などに取り囲まれてしまった。あまりに手回しが良い。白狼の頭に、あの夜の密談が蘇った。
取り囲む兵の向こうでは皇帝が青い顔をしている。その隣にいる皇后は扇で顔を隠してはいるものの、周りの侍女たちが驚きのためか口を開けたままになっていた。
白狼はその一段下に座している貴妃に目を向けた。上座の二人とは異なり椅子に座ったまま悠然と扇子を傾けている。遠目にも分かる、華やかな美女だ。しかし盗難の被害にあった妃の態度ではない。――ハナっから嵌める気だったのか、と白狼は唇を噛んだ。
釣れたといえば釣れたのだろう。しかし達成感より、事前にそれを察知できずにやられてしまったという焦燥感が湧き上がる。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
【完結】出戻り妃は紅を刷く
瀬里
キャラ文芸
一年前、変わり種の妃として後宮に入った気の弱い宇春(ユーチェン)は、皇帝の関心を引くことができず、実家に帰された。
しかし、後宮のイベントである「詩吟の会」のため、再び女官として後宮に赴くことになる。妃としては落第点だった宇春だが、女官たちからは、頼りにされていたのだ。というのも、宇春は、紅を引くと、別人のような能力を発揮するからだ。
そして、気の弱い宇春が勇気を出して後宮に戻ったのには、実はもう一つ理由があった。それは、心を寄せていた、近衛武官の劉(リュウ)に告白し、きちんと振られることだった──。
これは、出戻り妃の宇春(ユーチェン)が、再び後宮に戻り、女官としての恋とお仕事に翻弄される物語。
全十一話の短編です。
表紙は「桜ゆゆの。」ちゃんです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
姫は盤上に立つ
ねむるこ
キャラ文芸
【腹黒い地味姫と腹黒い美青年文官】
腹黒タッグで宮中に潜む『化け物』を狩ることはできるのか。
平安時代風ファンタジー。
舞台は帝が治める陽ノ国(ひのくに)の宮中。
名は霞(かすみ)。帝の第一妃、菖蒲(あやめ)姫に仕える女房だ。
菖蒲のことを上手く利用し、帝の第一妃に置くことに成功。
ある目的のために確かな地位を手に入れた霞は……宮中で人気の美青年文官、楓(かえで)に目をつけられてしまう。
楓も何やら探っていることがあるらしく、2人は手を組むことに。
切れ者同士、協力関係が築けるかと思いきや……。
2人には大きな難点が。
それは……2人とも性格が腹黒かった!!
霞は一族の仇であり、宮中の権力者に手をかけていく『化け物』を狩ることができるのか。
※カクヨムでも公開しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
炎華繚乱 ~偽妃は後宮に咲く~
悠井すみれ
キャラ文芸
昊耀国は、天より賜った《力》を持つ者たちが統べる国。後宮である天遊林では名家から選りすぐった姫たちが競い合い、皇子に選ばれるのを待っている。
強い《遠見》の力を持つ朱華は、とある家の姫の身代わりとして天遊林に入る。そしてめでたく第四皇子・炎俊の妃に選ばれるが、皇子は彼女が偽物だと見抜いていた。しかし炎俊は咎めることなく、自身の秘密を打ち明けてきた。「皇子」を名乗って帝位を狙う「彼」は、実は「女」なのだと。
お互いに秘密を握り合う仮初の「夫婦」は、次第に信頼を深めながら陰謀渦巻く後宮を生き抜いていく。
表紙は同人誌表紙メーカーで作成しました。
第6回キャラ文芸大賞応募作品です。
殿下、側妃とお幸せに! 正妃をやめたら溺愛されました
まるねこ
恋愛
旧題:お飾り妃になってしまいました
第15回アルファポリス恋愛大賞で奨励賞を頂きました⭐︎読者の皆様お読み頂きありがとうございます!
結婚式1月前に突然告白される。相手は男爵令嬢ですか、婚約破棄ですね。分かりました。えっ?違うの?嫌です。お飾り妃なんてなりたくありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる