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15] 鑑定
しおりを挟む「鑑定ですか?」
そろそろ魔獣になって1年になります。
ある日ロイド殿下と共に皇王の執務室に呼び出され、人払いをした後「魔導士の鑑定を受けないか?」と言われました。
『私を鑑定してもらえるの?もしかして私が人間だと分かってもらえるの?』
私は期待に胸が膨らんで、キラキラした目で、ロイド殿下を見つめました。
『受けたいです!お願いします!』
「シルフィの様にこれ程魔法を自在に操る魔獣を見た事が無いのだ。ぜひ鑑定を受けさせたい。」
皇王がそう言いました。ロイド殿下も、
「確かにシルフィは魔獣なのにとても賢いですし、魔力も多く、魔法も素晴らしいです。まるで人間のように私の言葉も良く理解しますし、私はシルフィは聖獣に近い存在では無いかと思っていたのです。父上、是非お願いします。私もシルフィが何者かを知りたいです。」
そうして、3日後 私は皇国で1番の魔導士、メリエール=ギュンタークに鑑定して貰う事に決まったのです。
メリエール=ギュンタークは魔導士団の団長で、先のロイド殿下行方不明の事件解決の為に、色々飛び回っていたのですが、やっと最近、皇都に戻って来られたそうです。
側妃マルガリーテの処分を考えても、色々と凄く頑張っていたのでは無いでしょうか?
とにかく、これでやっと私の事を分かってもらえるかもしれないのです。
3日後が待ちきれません。
◇ ◇ ◇
そして3日後、私達は皇王の執務室に集まっていました。皇王、ロイド殿下、ギュンターク団長、そして私の4人(?)です。
この国1番と言われるギュンターク団長は数少ない鑑定魔法の持ち主で、長く伸ばした赤髪は魔力に溢れていて、緩く三つ編みをして、左の肩から胸に流しています。深い緑の瞳は優しそうで、知性を感じます。
ギュンターク団長が鑑定魔法を使える事はあまり公になっていないそうです。
確かに自分が知らない内に、勝手に鑑定なんてされていたら嫌ですものね。
ギュンターク団長の鑑定は今ある状態だけがわかるもので、相手の気持ちまで読める訳では無いそうです。それが分かれば側妃の悪巧みなんてあっという間に発覚していたでしょうね。
「この子が、魔獣シルフィですか?」
そう言って、優しい眼差しを私に向けてくれます。
すると、ギュンターク団長は、私の前に膝まづき、私に向かって頭を下げました。
私はびっくりして、ギュンターク団長を見つめます。
「あの日、我々が殿下を見失ってしまった日、私はもうダメかもしれないと絶望の中にいました。殿下からの無事の知らせもなく、犯人も行方不明で、この上は死んで詫びるしか無いと考えておりました。ですが、殿下はあなたという守護獣に守られ、無事に帰還なさいました。あなたは殿下だけでは無く、私達、殿下の側近や部下、更には皇国の未来をも救って下さったのです。なんと御礼を申せば良いのか分かりません。どうぞこれからも殿下の側で殿下をお守り下さい。本当にありがとうございました。」
そう言って、私の前足を手に取り、自分の額を私の前足に押し当て、最大級の礼をして下さいました。
私は神妙にその礼を受け取りました。
私は、承知しましたという気持ちをありったけ瞳に込めて、ギュンターク団長を見つめ返しました。
そして、「く~~~ん」と1言鳴いて了承を伝えました。
そんな私達のやり取りを見つめていた皇王が、言いました。
「ではギュンターク、鑑定を始めてくれるか?」
「かしこまりました、陛下、」
了承したギュンターク団長が再び私の前に立ち、じっと私を見つめます。
「それでは早速、鑑定を始めます。ステータスオープン!」
そう言って、ギュンターク団長は正面に座る私の頭上をじっと見つめました。
どうやら鑑定は、対象のステータスが頭上に現れるようです。
『どうなの?どうなの?』
『早く、何とか言って!』
「これは…何と…」
ギュンターク団長が私の頭上を見つめて驚きに目を見開いています。
「どうだ?団長、シルフィは一体何者なんだ?」
待ちきれずロイド殿下が詰め寄ります。
「それでは、読み上げます。」
ギュンターク団長は、ゴクリと生ツバを飲み込んで、私のステータスを読み上げていきます。
「名前、リディア=イースデール。年齢、19歳。身分、イースデール公国 第一公女。属性、全属性。レベル、100。状態、変身の魔導具により、魔獣に変身中。以上です。」
辺りが静まり返ります。
そして、皇王が重い口を開きました。
「イースデール公女とは、本当なのか?公女はつい先日死んだとされて、葬儀が行われたばかりではないか。」
皇王の言葉に弾かれたように、ロイド殿下も尋ねます。
「本当にシルフィが死んだはずの公女なのか?彼女は人間なのか?」
そして、すぐに私を見つめて、
「シルフィ、君は人間だったのか?」
そう言いました。
私は殿下の目を見て、ウンウンと首を縦に振りました。
「どうしてこんな姿に…」
「ギュンターク、どうしてイースデールの公女がこんな姿になってしまったのか解るか?」
皇王がギュンターク団長に尋ねます。
「彼女はどうやら変身の魔導具で魔獣に変身させられているようです。」
ギュンターク団長が答えます。
「元に戻る方法は?」
ロイド殿下の声が大きく執務室の中に響きます。
『ウンウン!私もそれが知りたいですわ!』
「そうですね、イースデール前公王は有名な魔導士でした。彼ならそう言った魔導具も持っていたのかもしれません。おそらくそういった物を悪用されたのでは無いでしょうか?元に戻るのは簡単です。その魔導具に魔力を込めて、「元に戻れ」と命じれば、元の姿を取り戻せるでしょう。」
「シルフィ…公女だったなんて…今迄気づいてやれなくてすまなかった。」
『いいえ、ロイド殿下、私はあなたに会えて良かったです。こうしてやっと私の本当の姿を知ってもらえたのですもの。』
「殿下、シルフィは、いえ、イースデール公女様は今はこの様な姿にされていますが、きちんと意思の疎通が出来ます。つまり、会話が出来ると言う事です。早速、文字盤を用意して彼女の話しを聞きましょう。」
「そうだな、わかった。ここでは何だから、私の執務室へ移動しよう。父上、報告は後でまとめて提出します。取りあえず今はシルフィと御前を失礼する事をお許し下さい。」
「あぁ わかった、ギュンターク2人をよろしく頼む。」
「かしこまりました。」
ギュンターク団長が皇王に頭を下げると、それを合図に、ロイド殿下は、私に振り返り、皇王の執務室から出る為、扉を開けてくれました。
「さぁ行こう、シルフィ。君の話を聞かせてくれ。」
そうして、私達は殿下の執務室に向かったのです。
◇ ◇ ◇
殿下の執務室に入ると、早速ジュリアス様が子供向けの文字盤を持って来てくれました。
「早速だが、話が聞きたい。私の質問に答えてくれるか?」
ロイド殿下が私を見て言いました。
『はい』
私は文字盤を前足で指し示しました。
「君の本当の名前は?」
『リディア=イースデール』
「誰が君をこんな目に合わせたんだ?」
『妹、ナディア=イースデール』
「妹が?何故?」
『マルコシアス王太子を愛しているから。』
「君の婚約者だった男か?」
『はい』
「君を魔獣に変えた魔導具はどんな物だったんだ?」
『ネックレス』
「今は、何処にある?」
『たぶん、ナディアがまだ持っている。』
「私は出来れば君を人間に戻したいと思う。君は元に戻る事を望むか?」
『はい』
「わかった、何とかしよう。」
『ありがとうございます。』
「団長、彼女にネックレスの詳細を聞いてマルコシアス帝国に行って来てくれるか?やっと戻って来た所、悪いが頼めるか?」
「承知いたしました。」
「私は父上に今の話を報告してくる、シルフィはしばらくここにいてくれ。報告が終わったら又、戻るから…」
そう言って、ロイド殿下は私の頭を優しく撫でて、執務室から出て行きました。
私はロイド殿下が戻って来るまで、ギュンターク団長の質問に答えながら、ネックレスの詳しい色や形を説明しました。
◇ ◇ ◇
「ふうーーー」
「大丈夫ですか?殿下。」
「あぁ。」
「まさかシルフィがイースデールの公女様だったなんて…道理で魔獣にしては、気品があると思いました。」
「ジュリアス、彼女、文字盤を指す時、少し手が震えてた。お前は気づいたか?」
「いえ…」
「血を分けた実の妹に、魔獣にされて、命を狙われるなんて、どんなに辛かっただろう…」
「早く人間に戻して差し上げたいですね。」
「あぁ、そうだな 1日も早く彼女を人間に戻して見せる。」
そう言いながら、私は父上の下へ急いだ。
◇ ◇ ◇
皇王への報告が終わって、執務室に戻って来たロイド殿下は、ギュンターク団長にこれからしなければならない事を指示して、団長を送り出しました。
ギュンターク団長はこれからすぐに、連れて行くメンバーを選び、明日にも出発してくれるそうです。
私はロイド殿下の隣へ行って、「く~~ん」と鳴きました。
「心配いらない、ギュンターク団長に任せておけば大丈夫だ、今日は疲れただろう、もう、休もう。」
『はい、ロイド殿下。どうぞよろしくお願いいたします。』
思いを込めて、私はロイド殿下に頭を下げました。
ロイド殿下と並んで部屋に戻ろうとしたのですが、何故かジュリアス様に止められました。
「いけません、彼女がリディア=イースデール公女様とわかったからには、殿下との同衾は認められません。今日からリディア姫には別の部屋を使っていただきます。」
「出会ってから今迄、片時も離れず ずっと一緒にいたんだぞ!今更離れるなんて出来ないし、したくない!!」
ロイド殿下が私の首に抱きついて、ジュリアス様に反抗しています。
「殿下!だから、無闇にリディア姫に抱きつかないで下さい!!」
絶対に離れないと言わんばかりにジュリアス様を睨む殿下に あきれたのか、諦めたのか、ジュリアス様が折れました。…
「仕方がありませんね。でも、同室はダメです。絶対に!姫の評判に関わりますから、続き部屋を用意します。それで我慢して下さい。」
ロイド殿下はまだ、不満そうでしたが、ジュリアス様はガンとして譲りませんでした。
まぁ 私が人間だった事が分かったのですから、仕方が無いですよね。
私だって、ロイド殿下と離れるのは不安ですが、婚約者でも無い男女が同室を使うのはやはり、外聞が良くありません。
ジュリアス様に続き部屋を用意してもらって、それぞれ別の部屋で眠ります。
1人で眠るロイド殿下が心配で、私は殿下に結界の魔法をかけました。
離れているから、魔力を結構使ってしまいますが、背に腹は代えられません。
ロイド殿下はまだ、ジュリアス様にブツブツと文句を言っていましたが…それぞれの部屋に別れる前、殿下がいつもの様に私を抱き締めて、
「離れたくない…」
私の耳元で、そう呟きました。
『な…な…な…』
人間だったら私の顔はきっと真っ赤になっていたでしょう。
「殿下、婚約者でも無い女性を、そうそう抱き締めるものではありません。サッサと離れて下さい。」
ジュリアス様はそう言いながら、私からロイド殿下を引き剥がしました。
「姫様、殿下が申し訳ありません。こちらの事はお気になさらず、どうぞお部屋でゆっくりとお休み下さい。」
私は、ジュリアス様にうながされ、ロイド殿下の隣の部屋にサッサと放り込まれてしまいました。
『さみしい…』
私は仕方なく、ソファーに横になって、小さく丸くなりました。
寝台は広すぎて少し寂しいから…
その頃、隣の部屋では…
「殿下、くれぐれも、節度を持ってお過ごし下さい。くれぐれも、リディア姫に夜這いなどなさらないで下さいね。」
「あーーーもう!分かったから、早く行け!下がって良い!」
そうして、私達は出会ってから初めて、別々の部屋で眠りに就いたのでした。
夜中、こっそりと起き出したロイド殿下が、私の部屋の扉を開けて、私の寝顔を確認しにやって来た事は、ジュリアス様にはナイショです。
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