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3] 求婚される公女様
しおりを挟む『囲まれてる?』
川で魚を獲って、やっとの思いで食事して、やっと見つけた寝床で休んでいると、周りに魔獣の気配を感じました。
『しかも 強い?!』
この辺りのボス魔獣でしょうか?
『縄張りを荒らされて怒っているのかしら?』
魔獣の気配はドンドン増えていきます。
大きな者、小さな者、魔獣はドンドン増えていき、私はすっかり囲まれてしまったようです。
慎重に結界を張り直し、強化します。
すると、木の向こうから一頭の大きなトラのような魔獣が姿を現しました。
毛並みは真っ白で、薄いグレーの虎縞模様が入っています。
口からは、はみ出している長く鋭いキバが見えます。
『こ…怖い…』
あまりの怖さに私は、今ある結界の外側にもう一枚結界を増やして、魔獣から距離を取りました。
魔獣はソロソロと近づいて来て、私の張った結界の向こうに、ゆっくりと腰を下ろしました。
そして、そのままくつろぐように横たわり、尻尾をユラユラと揺らしています。
『? 何がしたいのかしら?』
私達の睨み合いはしばらく続きました。
『早く何処かに行ってくれないかしら?』
このままでは外へ出る事も、眠る事も出来ません。
しばらくすると、手下の様な魔獣がボス魔獣に何か鳥の様なものを持ってきました。
ボス魔獣は私の前でそれを美味しそうに食べ、口の周りを血まみれにして、舌舐めずりをしています。
『いや――――――!!怖い!!気持ち悪い!!誰か助けて!!』
そして、ボス魔獣はそのままそこで一晩を過ごしたのです。
私は結界の中で食事する事も、眠る事も出来ず、自分に癒しの魔法をかけながら、なんとか一晩を乗り越えました。
ですがこのままでは埒が明きません。
いずれ限界が来るのは目に見えています。
せっかく見つけた寝床でしたが私はここから移動する事にしました。
このままここで睨み合いをして、体力、魔力を失う事は避けたいです。
転移魔法を使おうと私は自分に転移出来そうな安全な場所を探索していきます。
でも、私はこの森に来たばかりですし、怖くてここから遠くまで行った事も無かったので、なかなか良い場所を見つけられません。
仕方がないので、取りあえず自分が行ける一番遠くに飛んで、そこからは目に見える範囲をこまかく飛ぼうと考えて、立ち上がった時でした。
ボス魔獣も立ち上がり、私の結界に覆いかぶさって来たのです!
『キャ――――――!!イヤ―――――!!』
私はビックリして後退り、結界に覆いかぶさっているボス魔獣から視線が外せず、固まってしまいました。
そして、ボス魔獣の股間が………
『!?XO☆〆~✢¢◇#∀□▷!!』
『イヤ――――――!!』
『何?何?何?!』
『アレは何!!??』
ボス魔獣の股間から視線が外せない!!!
『怖い!怖い!怖い!』
もしかして、もしかしなくても、アレはアレではないでしょうか?
どうやら私は、ボス魔獣の番として求められていたようです!
『無理無理無理無理無理………』
私は今はこんな姿ですが人間です。
魔獣に純血を奪われるなんて考えただけでもトリ肌が立ちます。
早く!一刻も早くここから逃げないと!!
私は、魔力の限りを尽くしてその場から全力で逃げました。
ボス魔獣が追って来れない程遠くへ!遠くへ!遠くへ!
気が付くと、随分あの場所から遠くに来たようです。
身体を巡る魔力も随分減ってしまいました。
ボス魔獣のせいで、食事も取れず、眠る事も出来なかったのです。
少し休んで回復しないと困った事になりそうです。
『とにかく眠りましょう。』
周りを伺い、大きな木の虚を見つけました。
その中にスッポリと収まり、自分を小さな結界で包んで、とにかく眠る事にしました。
『先ずは、魔力を回復しないと…』
そう思いながら目を閉じました。
とても疲れていたのでしょう、睡魔はすぐに訪れました。
私はそのまま、朝までグッスリと眠ったのでした。
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