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(閑話)朱雀女王 フレイヤ
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ーーー火の国
朱雀女王の私室
バルコニーに続く大きな窓の側で、1人の美しい女性が、燃えるような見事な赤い髪を無造作に背に流し、美しいルビーの瞳で、難しい顔をして、一通の手紙を読んでいる。
「どうした?フレイヤ。悪い知らせかい?」
長い金の髪をオールバックにし、心配そうに金の瞳を揺らして、私に問うのは、私の愛しい旦那様だ。
「あぁ···エレノアが死んだそうだ。」
驚きに目を丸くして、旦那様が私の側にやって来る。
「ん?この間の夜会で会った時は、元気そうだったが·····」
「シェロンの【番】に手を出して、処刑されたそうだ。」
「それは又、随分 無謀な事をしたね。」
「馬鹿な女だ。100年以上も一緒に過ごして、いい加減 諦めれば良かったものを·····」
エレノアは、昔から シェロンの事を愛していた。
その気持ちは、何一つ、シェロンには届きはしなかったが·····
シェロンの事が好き過ぎて、シェロンに近付く女を、ことごとく処分して、努力に努力を重ね、とうとうシェロンの側近にまで登りつめた。
「いつか、絶対!シェロンの妻になる!」
シェロンに全く相手にされていないのに、本人はそれに気づこうともしなかった。
シェロンが妃を迎えないのは、自分がいるからだと、本気で思っていた。
出会った時からずっと、盲目的にシェロンを愛していた。
愚かな女だ。
竜人は【番】しか愛さない。
そして【番】はたった一目でわかるそうだ。
エレノアがシェロンの【番】だったなら、最初の出会いの時に、シェロンはエレノアにプロポーズしただろう。
そうでないなら、これからもシェロンが、エレノアを愛する事は、絶対無い。
そういう事なのだ。
私は手にしていた手紙を、無造作にゴミ箱に捨てた。
「そんな事より、シェロンが【番】を見つけたのかい?」
そう言って、旦那様が、私の腰に手を回し、瞳を覗き込んでくる。
「あぁ、そのようだな。」
私も、彼の腰に手を回して、彼の顔を見上げた。
美しい金の瞳と目が合う。
「それは目出度い。お祝いを贈らないとね。」
そう言って、軽くキスをする。
「あのシェロンの【番】に選ばれた娘だ。一度、見てみたいな。」
ついばむようなキスをしてくる旦那様に、答えるように目を閉じた。
「その内会えるさ。」
旦那様は私を横抱きにして、天蓋付きの寝台に私を連れて行く。
夜の帳の中、2人の影が1つになった。
朱雀女王の私室
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「どうした?フレイヤ。悪い知らせかい?」
長い金の髪をオールバックにし、心配そうに金の瞳を揺らして、私に問うのは、私の愛しい旦那様だ。
「あぁ···エレノアが死んだそうだ。」
驚きに目を丸くして、旦那様が私の側にやって来る。
「ん?この間の夜会で会った時は、元気そうだったが·····」
「シェロンの【番】に手を出して、処刑されたそうだ。」
「それは又、随分 無謀な事をしたね。」
「馬鹿な女だ。100年以上も一緒に過ごして、いい加減 諦めれば良かったものを·····」
エレノアは、昔から シェロンの事を愛していた。
その気持ちは、何一つ、シェロンには届きはしなかったが·····
シェロンの事が好き過ぎて、シェロンに近付く女を、ことごとく処分して、努力に努力を重ね、とうとうシェロンの側近にまで登りつめた。
「いつか、絶対!シェロンの妻になる!」
シェロンに全く相手にされていないのに、本人はそれに気づこうともしなかった。
シェロンが妃を迎えないのは、自分がいるからだと、本気で思っていた。
出会った時からずっと、盲目的にシェロンを愛していた。
愚かな女だ。
竜人は【番】しか愛さない。
そして【番】はたった一目でわかるそうだ。
エレノアがシェロンの【番】だったなら、最初の出会いの時に、シェロンはエレノアにプロポーズしただろう。
そうでないなら、これからもシェロンが、エレノアを愛する事は、絶対無い。
そういう事なのだ。
私は手にしていた手紙を、無造作にゴミ箱に捨てた。
「そんな事より、シェロンが【番】を見つけたのかい?」
そう言って、旦那様が、私の腰に手を回し、瞳を覗き込んでくる。
「あぁ、そのようだな。」
私も、彼の腰に手を回して、彼の顔を見上げた。
美しい金の瞳と目が合う。
「それは目出度い。お祝いを贈らないとね。」
そう言って、軽くキスをする。
「あのシェロンの【番】に選ばれた娘だ。一度、見てみたいな。」
ついばむようなキスをしてくる旦那様に、答えるように目を閉じた。
「その内会えるさ。」
旦那様は私を横抱きにして、天蓋付きの寝台に私を連れて行く。
夜の帳の中、2人の影が1つになった。
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