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「悪夢」(Sユリアーナ)
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「ユリアーナ様」私を呼ぶ声変わり前の少し高い声、やわらかい印象の茶色い髪と、優しい茶色の瞳。笑うと右の頬に小さなエクボが出来た。ロイド-ウェールズ侯爵子息、私の1つ年上の幼なじみ。彼はいつも私の手を引いて、色々なところに連れ出してくれた。大好きだった幼なじみ。あの日も、私は 彼と手を繋いで、王宮の東に作られた人工の森で遊んでいた。そこは貴族が散策や ちょっとした狩りを楽しむ為に作られた安全な森であるはずだった。それが二人で護衛と共に湖のほとりを歩いていた時だった。
「魔獣?!」
「どうしてこんな所に?!」私達はいるはずのない魔獣に襲われた。私は咄嗟に力を使った。まだ8歳、力の制御なんて出来なかった。魔獣はあっという間に闇に囚われ、その体を捻り潰された。辺りに血が飛び、私の顔にも体にも血が飛び付いた。その場にいた者達は、血まみれで、闇魔法を使い、次々と襲い来る魔獣を、捻り潰してゆく私を見て恐怖し、その場で まるで 石にでもなったように動けなくなっていた。
「ロイド兄様、大丈夫ですか?」全ての魔獣を倒し、振り返って皆の無事を確かめようと声をかけた時、
「バケモノ!!近づかないで!!」ロイド兄様が瞳に涙をイッパイ溜め、恐怖に顔を引き攣らせて、私に向ってそう叫んだ。凍りついたようにその場から動けない。喉の奥が固まって声が出ない。その日はどうやって王宮に戻ったのかもわからない。でもその日から私は王宮の皆に恐れられ、私を見るとまるで怪物でも見るように皆 音もなく、逃げ去った。そうして私は「暗黒王女」「呪いの王女」と呼ばれるようになった。私の一挙手一投足に皆が怯えている。
「恐ろしい魔女だ!」
「申し訳ありません。姫様どうかお許しを…」少しの粗相に、頭を床にこすりつける勢いで謝る侍女、
「どうか、呪わないで下さい…」対面して恐ろしさに体を震わせるメイド、(違う!私そんな事 思ってない…謝らないで。私はバケモノなんかじゃない。皆、止めて!怖がらないで…)寂しい、辛い、悲しい、涙が止まらない。泣いちゃダメ、泣いたら又 皆が私の呪いを怖れて離れてしまう。
ああ…これは夢だ。小さな頃の夢…
「ロイド兄様…」あの日の彼の恐怖に引き攣り涙を流していた顔が忘れられない…
「···ーナ、ユリアーナ…ユリアーナ。」ゆっくりと覚醒する。
「アルベルト様?」目の前に心配そうなアルベルトの顔があった。
「良かった、気が付いて…」そう言いながら私の眦に手を伸ばし、涙を拭いてくれる。どうやら私は夢を見て泣いていたようだ。
「体は大丈夫?何処か辛い所はない?」
「アルベルト様…」
「ん?」私を心配そうに見つめてくれる彼の顔を見ていると、次から次へと涙がこぼれる。
「ユリアーナ、大丈夫?何処が辛いの?」泣きながら首を振る。アルベルト様は全てを御覧になっていた。私のあの姿を見て どう思っただろう…そう考えるだけで、心の内が冷たくなっていく。心配して私をなぐさめようと伸ばされた手を避けてしまう。アルベルト様に嫌われたくない。
「ユリアーナ 大丈夫だから…」そう言って、囲うようにふんわりと私を抱きしめて下さった。この方は本当に私が怖くないんだわ。私の様子を伺いながら、少しずつ 私を囚える腕に力がこもってくる。しっかりと私を抱きしめて、
「大丈夫、大丈夫だよ。」と、声をかけてくれる。
「アルベルト様は 私を気味が悪いと思わないのですか?」彼の胸に顔を埋めたまま、小さな声で聞いてみる。
「こんなに可愛いあなたを?ありえないな。」信じられない返事に更に続ける。
「でも…私、国では、暗黒王女とか呪いの王女とか呼ばれていたんです。私は…」続く言葉を遮るように、私の頭を更に引き寄せて そっと つむじに口付けを落とされた。
「ユリアーナ。皆を守ってくれてありがとう。昨日の君は、私にとって、絶望の淵から私を救ってくれる 光の女神のようだったよ。誰が 何と言おうと 君は愛しい私の妻だよ。」背中に回されていたアルベルト様の両手が私の両頬を優しく包み込み瞳を覗き込むように 上に向けられる。びっくりして涙が止まった私に、
「もう、泣き止んだかな?」そう言いながら 涙の跡をそっと親指で拭った。顔に熱が集まる。きっと今の私の顔は真っ赤だわ。恥ずかしくて、くすぐったくて、ギュッと目を閉じると、額に、瞼に、両頬に、そして最後に唇に 触れるだけのキスが落とされた。恥ずかしくて、ビックリして、閉じていた目を大きく開いて、アルベルト様の顔を見た。見る見るうちに彼の顔も赤くなってゆく。アルベルト様はそのまま私の頭を抱えるように胸に押し付け、
「今日はもう ゆっくり 眠るといいよ。」そう言って、私の背中をリズム良くトントントンと 優しく叩く。早鐘のようだった 私の心臓は、アルベルト様の刻むリズムに同化して、私は安心してそのままアルベルト様の腕の中で眠りについた。優しいオレンジの花の香りがする。これは、アルベルト様の香りだ、優しい私の旦那様…
翌朝、私はアルベルト様の腕の中で目が覚めた。
「ん? おはようユリアーナ、気分はどう?もう平気?」
「?!×☆#+×○?!!!」
「ああ、昨日 君は私の服を握り締めたまま眠ってしまって、無理遣り離すのも可愛そうで…私もなんだか君と離れがたかったから…まぁ 私達は夫婦だから問題は無いかなと思ってね。」そう言って私の顔を覗き込むアルベルト様 私ってば…私ってば…
「どう?魔力は戻った?辛い所はない?」
「はい…もう大丈夫です…」小さな声でそう答えるのが精一杯だった。
「そう良かった。じゃあ私は部屋に戻るから。朝食が済んだら後で執務室の方に来て欲しい。」そう言ってアルベルト様は御自分の部屋に帰って行かれた。起きてメイド達に囲まれ、身支度してもらう。朝から湯を使い、皆にマッサージを受け、疲れを癒やしてもらい、甲斐甲斐しく世話をやいてもらう。誰も私の事を怖がる様子はない。嬉しくて又、じんわりと涙が浮かんでくる。ダメダメ皆を心配させてしまう。気合で涙を止めて部屋に用意してくれた朝食を取り、言われたとうり、殿下の執務室に向かう。
「「「妃殿下、この度は我々を救って下さりありがとうございました!!!」」」
執務室で待っていた 騎士団団長、魔物討伐団団長、魔導師団団長が揃って頭を下げていた。私は驚いて、慌てて頭を上げてくれるように言う。
「昨日 妃殿下がいなければ この国は
あの巨大なダンジョンに飲み込まれていたでしょう。妃殿下のおかげでこの国は救われ、私達も大切な部下を一人も失う事なく、今も団長として立っていられます。本当にありがとうございました。」こんな風にお礼を言われた事なんてなかった。3人の顔をそれぞれ見つめる。彼らの目には恐れも、忌避感も無い。ただ、感謝の気持ちを滲ませている。私、この国に来て本当に良かった。
「皆様、私こそありがとうございます。私を怖がらないでいてくれて、本当にありがとうございます。」そうして私は、今日 何度目かの嬉し涙を流した。
「魔獣?!」
「どうしてこんな所に?!」私達はいるはずのない魔獣に襲われた。私は咄嗟に力を使った。まだ8歳、力の制御なんて出来なかった。魔獣はあっという間に闇に囚われ、その体を捻り潰された。辺りに血が飛び、私の顔にも体にも血が飛び付いた。その場にいた者達は、血まみれで、闇魔法を使い、次々と襲い来る魔獣を、捻り潰してゆく私を見て恐怖し、その場で まるで 石にでもなったように動けなくなっていた。
「ロイド兄様、大丈夫ですか?」全ての魔獣を倒し、振り返って皆の無事を確かめようと声をかけた時、
「バケモノ!!近づかないで!!」ロイド兄様が瞳に涙をイッパイ溜め、恐怖に顔を引き攣らせて、私に向ってそう叫んだ。凍りついたようにその場から動けない。喉の奥が固まって声が出ない。その日はどうやって王宮に戻ったのかもわからない。でもその日から私は王宮の皆に恐れられ、私を見るとまるで怪物でも見るように皆 音もなく、逃げ去った。そうして私は「暗黒王女」「呪いの王女」と呼ばれるようになった。私の一挙手一投足に皆が怯えている。
「恐ろしい魔女だ!」
「申し訳ありません。姫様どうかお許しを…」少しの粗相に、頭を床にこすりつける勢いで謝る侍女、
「どうか、呪わないで下さい…」対面して恐ろしさに体を震わせるメイド、(違う!私そんな事 思ってない…謝らないで。私はバケモノなんかじゃない。皆、止めて!怖がらないで…)寂しい、辛い、悲しい、涙が止まらない。泣いちゃダメ、泣いたら又 皆が私の呪いを怖れて離れてしまう。
ああ…これは夢だ。小さな頃の夢…
「ロイド兄様…」あの日の彼の恐怖に引き攣り涙を流していた顔が忘れられない…
「···ーナ、ユリアーナ…ユリアーナ。」ゆっくりと覚醒する。
「アルベルト様?」目の前に心配そうなアルベルトの顔があった。
「良かった、気が付いて…」そう言いながら私の眦に手を伸ばし、涙を拭いてくれる。どうやら私は夢を見て泣いていたようだ。
「体は大丈夫?何処か辛い所はない?」
「アルベルト様…」
「ん?」私を心配そうに見つめてくれる彼の顔を見ていると、次から次へと涙がこぼれる。
「ユリアーナ、大丈夫?何処が辛いの?」泣きながら首を振る。アルベルト様は全てを御覧になっていた。私のあの姿を見て どう思っただろう…そう考えるだけで、心の内が冷たくなっていく。心配して私をなぐさめようと伸ばされた手を避けてしまう。アルベルト様に嫌われたくない。
「ユリアーナ 大丈夫だから…」そう言って、囲うようにふんわりと私を抱きしめて下さった。この方は本当に私が怖くないんだわ。私の様子を伺いながら、少しずつ 私を囚える腕に力がこもってくる。しっかりと私を抱きしめて、
「大丈夫、大丈夫だよ。」と、声をかけてくれる。
「アルベルト様は 私を気味が悪いと思わないのですか?」彼の胸に顔を埋めたまま、小さな声で聞いてみる。
「こんなに可愛いあなたを?ありえないな。」信じられない返事に更に続ける。
「でも…私、国では、暗黒王女とか呪いの王女とか呼ばれていたんです。私は…」続く言葉を遮るように、私の頭を更に引き寄せて そっと つむじに口付けを落とされた。
「ユリアーナ。皆を守ってくれてありがとう。昨日の君は、私にとって、絶望の淵から私を救ってくれる 光の女神のようだったよ。誰が 何と言おうと 君は愛しい私の妻だよ。」背中に回されていたアルベルト様の両手が私の両頬を優しく包み込み瞳を覗き込むように 上に向けられる。びっくりして涙が止まった私に、
「もう、泣き止んだかな?」そう言いながら 涙の跡をそっと親指で拭った。顔に熱が集まる。きっと今の私の顔は真っ赤だわ。恥ずかしくて、くすぐったくて、ギュッと目を閉じると、額に、瞼に、両頬に、そして最後に唇に 触れるだけのキスが落とされた。恥ずかしくて、ビックリして、閉じていた目を大きく開いて、アルベルト様の顔を見た。見る見るうちに彼の顔も赤くなってゆく。アルベルト様はそのまま私の頭を抱えるように胸に押し付け、
「今日はもう ゆっくり 眠るといいよ。」そう言って、私の背中をリズム良くトントントンと 優しく叩く。早鐘のようだった 私の心臓は、アルベルト様の刻むリズムに同化して、私は安心してそのままアルベルト様の腕の中で眠りについた。優しいオレンジの花の香りがする。これは、アルベルト様の香りだ、優しい私の旦那様…
翌朝、私はアルベルト様の腕の中で目が覚めた。
「ん? おはようユリアーナ、気分はどう?もう平気?」
「?!×☆#+×○?!!!」
「ああ、昨日 君は私の服を握り締めたまま眠ってしまって、無理遣り離すのも可愛そうで…私もなんだか君と離れがたかったから…まぁ 私達は夫婦だから問題は無いかなと思ってね。」そう言って私の顔を覗き込むアルベルト様 私ってば…私ってば…
「どう?魔力は戻った?辛い所はない?」
「はい…もう大丈夫です…」小さな声でそう答えるのが精一杯だった。
「そう良かった。じゃあ私は部屋に戻るから。朝食が済んだら後で執務室の方に来て欲しい。」そう言ってアルベルト様は御自分の部屋に帰って行かれた。起きてメイド達に囲まれ、身支度してもらう。朝から湯を使い、皆にマッサージを受け、疲れを癒やしてもらい、甲斐甲斐しく世話をやいてもらう。誰も私の事を怖がる様子はない。嬉しくて又、じんわりと涙が浮かんでくる。ダメダメ皆を心配させてしまう。気合で涙を止めて部屋に用意してくれた朝食を取り、言われたとうり、殿下の執務室に向かう。
「「「妃殿下、この度は我々を救って下さりありがとうございました!!!」」」
執務室で待っていた 騎士団団長、魔物討伐団団長、魔導師団団長が揃って頭を下げていた。私は驚いて、慌てて頭を上げてくれるように言う。
「昨日 妃殿下がいなければ この国は
あの巨大なダンジョンに飲み込まれていたでしょう。妃殿下のおかげでこの国は救われ、私達も大切な部下を一人も失う事なく、今も団長として立っていられます。本当にありがとうございました。」こんな風にお礼を言われた事なんてなかった。3人の顔をそれぞれ見つめる。彼らの目には恐れも、忌避感も無い。ただ、感謝の気持ちを滲ませている。私、この国に来て本当に良かった。
「皆様、私こそありがとうございます。私を怖がらないでいてくれて、本当にありがとうございます。」そうして私は、今日 何度目かの嬉し涙を流した。
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