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「第十話 桃子覚醒 ~怨念の呪縛~ 」
12章
しおりを挟む「まだだ。立たせろ」
半失神の美少女を、両脇から中年男とコギャルが支える。太腿を切り裂かれ、全身に打撲を負った無惨な肢体を、それぞれ腕を掴んで無理矢理に立ち上がらせる。
ドボオオオッッッ!!
全力で放たれた久慈のブローは、桃子の柔らかな腹筋に拳ごと埋まっていた。
「ハハハハハ! 女の腹とはこうも脆いものか! 脆弱すぎて突き抜けてしまいそうだ」
「くはふッッ・・・うぇあああ・・・アッ・アア・ア・アッ・・・」
甘く心地よい桃子の声が、内臓ごと肉体を潰されていく苦悶に震える。
守護天使の苦しみは痙攣を通じて、両腕を支える変態教師と魔豹にも伝わった。プニプニと柔らかな美少女の、壮絶なる悶え。さんざん苦しみの波動を悪魔どもに舐め取られたあと、桃子の肢体はガクリと脱力する。
ちょうどバンザイをするような格好で、両腕を捕えられたまま、ボロボロのエスパー天使はぶらさがった。
「だらしないねェ~、ウサギちゃん。他のお仲間はァ~、この程度じゃあ、くたばんなかったよォ~~」
嘲る「闇豹」の余った左手が、桃子の左乳房に伸びていく。
Bカップの少女の胸はちゆりの掌にすっぽりと収まった。Tシャツ越しに浮き上がった形のよい乳房は、見るからに弾力性と柔軟性を兼ね備えていた。薄笑いを浮かべたコギャルの手が、容赦なく半失神の美少女の胸を揉みしだく。
あわせるように、もう片方の乳房が中年教師に握られる。神聖なるものを、汚らわしい手に触れられたショックで、エスパー少女の両肩がビクリと跳ねる。だが、それ以上の抵抗は今の桃子にはできない。
性戯に長けたふたつの手が、反撃不能な美少女戦士の胸を揉み、握りつぶし、こね回す。キレイな稜線を描いた桃子のふたつの乳房が、オモチャのように無茶苦茶に玩ばれる。
「はッ・・・んく・・・んはァッ・・・」
「んん? ど~うしたのォ、ウサギちゃん♪ 顔があか~いようだけどォ~?」
神崎ちゆりと田所教諭、性のスペシャリストふたりを前に、ウブな桃子はまさに赤子同然であった。
荒々しいながらも確実に官能の波を立たせるテクニックに、桃子の胸からじっくりと生温かい波動が体内に広がっていく。熱い疼きは痺れるような感覚で、女子高生の肉体から自由を奪っていった。
"い、痛い・・・胸が、千切られそう・・・で、でもォ・・・な、なんか・・・くすぐっ・・・たい・・・・・・ビクビクしちゃう・・・あたた・・・かい・・・・・・こ、このまま・・・蕩けちゃい・・・そう・・・"
「その名の通り、桜色に染まってきましたねえ。美しい。そしてこの乳房の柔らかさ、たまりません。まさに極上の素材です」
「ふはうぅッ・・・は、離せッ・・・離してよォ・・・」
「おやおや、声に艶が出てきましたね。そら、もっといい声で喘ぎなさい」
「はくッ! ひゃううううッッ~~ッッ!!」
Tシャツの下で美少女のふたつの隆起が凄まじい勢いで踊り狂う。
"む、胸がァ! ヘンにッ、あたし、頭おかしくなりそうッ! もうやめて、あたしの胸から手を離してェェェ!"
「ア・ア・ア・ア・アッッ・・・アアアッ、あああああああ~~~ッッ!!」
「フハハハ! くたばれッ桃子ッ!」
ドボオオオオッッッ!!
鞘に収まった日本刀が、美戦士の鳩尾に抉り埋まる。
桃色の快感に悶えていた少女の肢体が一瞬でビクンッと固まり、蕩けた瞳が見開かれる。
官能の波動に溺れ、無防備状態に陥った桃子を貫く久慈の突き。痛恨と呼ぶにあまりある一撃は、アイドル戦士が耐えるには強力すぎた。
「もう一発!」
ブシュウウウウッッ!!
1mmたりとてズレぬ追撃の突きが、再度窪んだ突き跡に埋まった瞬間、羽交い絞めにされた桃子の口から深紅の霧が噴き出る。虚空を睨む大きな瞳が、絶望に彩られていく。
「ハハハハ、今度は胸だ!」
魔豹と変態教師、ふたりの悪魔に片方づつ腕を捕えられ、美戦士の小さな身体がグイと前に突き出される。人形のような粗末な扱い。エスパー少女の膨らんだバストが、Tシャツを透かして浮き上がる。
ズボオオオオオッッッ!!
もはや立つことすらやっとというのに・・・ふたりがかりで動きを封じられた桃子の左胸に刀鞘が突き刺さる。お椀型の柔肉がグニャリと潰れ、半開きの口からブシュリと血塊がこぼれでる。
悲劇的、といってもいい仕打ちであった。
女性のシンボルであり弱点でもある柔らかな隆起を破壊され、桃子の全身には猛烈な激痛が走っていた。苦しみにより途切れそうな意識が、あまりの痛みに現実に引き戻される。『エデン』により身体能力は上がっているものの、普通の女子高生と大差ない桃子にとって、耐久力の高くない乳房を貫かれるのはのたうち回るほどの激痛。しかし身動きを封じられた今の美少女には、悶え暴れることすら許されない。ただじっと鈍痛が肉体に染み込んでいくのを、痙攣しながら甘受するのみ。
「くあッッ!・・・あああッッ!・・・ううッ・・・うううッ!」
「苦し~いィィ? 痛いのォ~、ウサギちゃん? こんなにビクビク震えちゃってェ・・・いい悶えっぷりよォォ~~・・・」
「どうやらもう何も見えず、我々の声も届いていないようですね。苦痛に悶える愛らしい少女・・・なんと美しいことか! 桃子くん、君にはたっぷりと楽しませてもらえそうです」
禿げ中年が痙攣する美少女のTシャツを捲り上げる。雪のような肌の眩しさと、キレイなお臍が眼に飛び込んでくる。
唇を吊り上げた痩身の男が、愛刀を肩まで引く。またしても、突きの形。勝利を確信した男の興味はすでに、忌々しい守護天使をいかに処刑するかに移っている。
ズボオオオオッッッ!!
一直線に発射された神速の突きは、桃子のお臍に直撃し、抉り込まれていた。
「んんんうううああああああああッッッ――――ッッッ!!!!」
甘く蕩けるような美少女の声が、獣のように絶叫する。
ビクンッ! ビクンッ! 二度、大きな痙攣。
ツ・・・とお臍と鞘の間から、赤い血が流れ落ちる。
ちゆりと田所が手を離した瞬間、濁った瞳をした桃子の肢体は、ゆっくりと、くの字に折れ曲がったままフロアの床に倒れ込んだ。
ゴッ・・・
美貌から沈んでいった小さな身体が、鈍い音を立てる。
全身を埋め尽くした激痛を癒すように・・・敗北のエスパー戦士が自分自身を抱きしめて冷たい床に転がる。
「ふははははは! 無様なメスブタめ、そこで平伏しているのがお似合いだ!」
血と痣にまみれて悶える哀れな美天使を、土足のまま漆黒の悪鬼が踏み躙る。正と邪、残酷な決着の構図。心優しき天使は、このまま卑劣な悪の刃に散ってしまうのだろうか――
「さて、ここからがお楽しみですね。この美しい桃子くんをどう料理するか」
「メフェレスぅ~、まさかこのまま殺すなんてわけないよねェ~? この甘ちゃんにはァ~、た~っぷりと地獄を見せてやらなきゃあ」
美しき獲物を前にして、狂人たちが現実となりつつある暗黒の妄想に咽び笑う。
圧倒的戦況の優位、ボロボロに変わり果てた脆き正義の天使、周到に用意された罠…全ての材料が悪魔たちに勝利を確信させていた。なによりも獲物であるエスパー少女の弱さが、久慈らに絶対的な勝利を予感させている。憎き5人の守護天使のなかで、もっとも組し易いと思われるファントムガール・サクラ=桜宮桃子。これほどの暴虐を浴びて、愛らしいアイドル少女に反撃の可能性などあるはずがない。
見誤っていた。その部分を。
肉体的にもっとも劣る、戦士としてもっとも劣る桃子では、もはや闘えるわけがない。その誤った判断を、あろうことか3人が3人ともしていた。
いや、間違いではない。確かに桃子の肉体は崩壊寸前であった。鍛えられてはいない彼女の身体は満足に動ける状態ではない。肉体的にはエスパー少女はとっくに敗北していた。立つことすらおぼつかない美戦士に、命を懸けた闘いなど望めるはずもない。
誤っていたのは、桃子の精神―――戦士としての心。
挫けても、逃げ出してもおかしくはない苦痛の嵐を肉体に刻み込まれて尚、桃子の闘争心はいまだ燃え盛り続けていた。
ブンッッ
桃子を踏んでいた足の裏から突如感触が消え、漆黒の悪鬼は狼狽する。
「なッ?!」
「テレポー・・・テーション・・・」
荒い息とともに吐き出された可憐な声は、久慈の背後から。
瞬間移動した桃子の肢体が、床に転がるリョウタ少年の傍らにあった。
両腕で幼き子を抱きしめるエスパー少女。美天使の意図を悟った3匹の悪魔が慌てて5mはある距離を駆け寄ろうとする。
"勝てないかも・・・しれない・・・・・・でも・・・子供たちを逃がすことは・・・・・・いまのあたしにも、きっとできる!"
子供たちの場所に移動して、ふたりを逃がす。それくらいの体力なら残されていることを、桃子は悟っていた。その後、己がテレポートする力は残されていまいが。
"あたしは・・・死んでも・・・いい・・・・・・でも・・・子供たちは、助けるよ!"
「も、モモコせんせい・・・?」
「大・・・丈夫だよ、リョウタくん・・・・・・先生が・・・守ってあげるから・・・・・・ね・・・・・・」
不意を突かれた久慈たちの動きは断然追いついていない。慌てふためく滑稽な姿が、疲弊しきった桃子の視界に映る。
イケる。今ならイケる。3人の悪魔どもを出し抜いて、子供たちを逃がすことが。
世界でもっとも安全な場所へ。五十嵐のお屋敷へ。
"逃げて、リョウタくん・・・・・・そして・・・・・・先生の分まで・・・・・・幸せになってよね・・・・・・"
イメージを膨らませ、超能力を発揮せんとする、まさにそのときであった。
バチンンンンッッッ!!!
空気が破裂するような音は、アイドルのような美少女の全身から放たれていた。
電撃? ムチ? いや、なにも見えはしない、ただ激しい衝撃。
突如として桃子の全身を襲った見えない衝撃が、発動しかけたテレポーテーションを中断させる。
「な、なに?! いまの一体・・・?・・・・・・うああああッッ?!!」
再び、衝撃。目に見えないなにかが、桃子の身体に絡みつき、痺れるような刺激を与えてくる。
まるで透明な鎖に縛られているような・・・気がつけば桃子の両腕は胴にぴったりとくっつき、立つのもやっとの身体は無理矢理引っ張り上げられているように立ち上がっている。自分の意志ではない、何者かの強制が己の肉体に掛けられていることを桃子は自覚した。
「こ、これはどういう・・・?・・・ぐうッ・・・ぐううううッッ~~~ッッ!!!」
ギリギリギリ・・・・・・
錯覚などではない、明らかにきつくなる締め付け。
桃子の白い腕やTシャツにくっきりと束縛の跡が刻まれていく。
これはまさか・・・・・・超能力?!
いや、桃子に匹敵するエスパーなど、そう簡単にいるはずがない。まして久慈があれほど躍起になって桃子を仲間にしようとしたところから考えれば、メフェレスの配下に超能力者がいたとは考えにくい。
だがしかし・・・目に見えないこの攻撃、この感覚は確かに超能力!
ならば、いるのか? 桃子を抹殺するために用意した、超能力者が。純正なエスパーである桃子と真っ向から闘える、超能力者のミュータントが?!
「ク、ククク・・・・・・いいところで役に立ってくれたようだな。オレたちの切り札が」
緊縛の苦しみに呻く守護少女を、薄ら笑いを浮かべて久慈が見詰める。己の油断で99%手中にしていた勝利を危うく逃すところだった男は、限りなく100に近い勝率を得て、高慢な笑いを取り戻している。
磐石な勝利がさらに磐石になった。
今度こそ、桜宮桃子処刑の準備は完全に整った。あとはただ、哀れな子羊を葬るの
み・・・・・・ドス黒い快感の予兆に、久慈の顔は凄惨な笑みを刻む。
「ええ~~いッッ!!」
不可視の鎖が木っ端微塵に砕け散る。
謎のチカラで作られた鎖を、桃子の超能力がそれ以上のチカラで粉砕したのだ。
自由を取り戻した。謎のチカラよりも、己の能力が上であることも証明できた。本来ならば、エスパー少女の逆襲の場面だ。
だが、桃子は自由と引き換えに、限りなく残り少ない、体力を失ってしまった。
ガクリと膝から崩れ落ち、四つん這いになる超能力少女に、漆黒の悪鬼が冷笑を浴びせかける。
「わははははは! どうやら処刑の時間が来たようだな、桃子よ!」
「はぁッ・・・はぁッ・・・はぁッ・・・はぁッ・・・・・・」
「サクラに変身するがいい。惨めな死に様を、無能な人間どもに見せつけてやるんだな」
哄笑のなか、久慈の痩身が漆黒の霧に溶け込んでいった―――
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