ファントムガール ~白銀の守護女神~

草宗

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「第五話  正義不屈 ~異端の天使~ 」

7章

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 人と違うということは、必ずしも幸せなこととはいえない。
 小学生にして、桜宮桃子はそのような思想の持ち主になっていた。
 彼女が他者と違うのは、大きくいってふたつ。
 ひとつは類稀な美少女であるということ。パーツの完成度の高さ、という点においては、どんなコンテストにでても優勝するであろう片倉響子と比べても、なんら遜色はないほどだ。
 そしてもうひとつ、それは彼女が超能力者である、ということだった。
 
 「桃ちゃんはホントに凄いねぇ」
 
 ひた隠しにしてきた自らの能力を、ボランティアで慰問した先の施設で知り合った老婆は、恐れることなく褒めてくれた。はじめて念動力を見られたのは偶然であったのだが、老婆は少し驚いただけで、心底から感心したようだった。幼きころに友達に逃げられた桃子にとって、それは予想外の反応だった。以来、少女はこっそりと老婆を訪れては、他では使えない己の能力を披露するのを、密かな楽しみにしていた。
 
 「おや、どうしたんだい?」
 
 空中に浮ばせていた小石を、掌に戻した桃子は視線を地面に落とす。小学5年の桃子はおかっぱ頭で、整った顔立ちにも幼さが強い。
 
 「おばあちゃんは、どうして恐がらないの?」
 
 ある日のこと、少女は思いきって、長く疑問に思っていたことを訊く。
 
 「チカラを見せると、みんな桃子のこと、化け物だって――どうしておばあちゃんは逃げないの?」
 
 クスクスと、皺だらけの顔面をさらにクシャクシャにして老婆は笑った。
 
 「だって恐くないもの。その不思議なチカラのおかげで、こうやって桃ちゃんと仲良くなれたんだもの、むしろ感謝してるくらいだよ」
 
 「でも、でも桃子は普通に生まれたかったよ! なんでこんなチカラ、桃子にはあるんだろ?」
 
 少女の黒目がちな眼に、みるみる雫が溜まっていく。自らの生い立ちを憎む、思春期の少女の感情は爆発寸前だった。
 
 「それはね、桃ちゃん。神様がそのチカラを役立たせるよう、与えてくれたんだよ」
 
 「神様が?」
 
 「そう、桃ちゃんにしかできないチカラで、みんなを幸せにするようにね。だから桃ちゃんのような優しいコに、神様は与えてくださったんだよ」
 
 中学生に入ったころには、桃子の胸には介護士になって、老人たちの世話をするという夢が、当然のように根付いていた。
 
 (おばあちゃん・・・あたし、まだなんでチカラがあるのか、わからないけど・・・おばあちゃんみたいな人達の役に立てるよう、がんばるよ。だから、空の上から見ててね)


 
 シーツを濡らした涙の感触に、制服姿の少女は目を覚ました。
 灰色の壁が、まだあの地下にいることを知らせる。木製のベッドがあることからすると、どうやら今までの部屋とは違うようだ。一体、いくつ部屋があるのか? 御曹司である久慈の財力に、少し薄ら寒いものが背を走る。
 ベッドの上で、ゆっくりと上半身を起こす。寝相の良さには自信があるだけあって、白のシャツとチェックのスカートには、皺がほとんどついていない。赤のネクタイをしたまま、ということは、余程疲れて眠ってしまったのだろう。
 
 強大な念動力を発した後、精神の疲弊は相当なものがある。普段はそこまでの力を発揮することはないが、五十嵐里美を弾き飛ばしたのは、桃子の小さな体には、大きな負担になったようだ。立ちあがるのも辛い脱力感に襲われ、桃子は失神するように眠っていた。
 
 「あまりいい夢を見ていないようね」
 
 目覚めた桃子を迎えたのは、やや低いトーンだが、隠しきれないエロスの薫りを含んだ女の声だった。
 ギリシャ神話に出てくる、女神のような美形。彫りが深い目鼻立ちに、奇跡ともいえる絶妙な配置。ひとの好みが十人十色といえど、彼女を美しいと言わない男はいないだろう。いや、女でも、だ。完璧な造形に、性欲をくすぐる香料をまぶしたその女は、同性の桃子でも見とれてしまう。
 
 「響子さん・・・ずっとそこにいたんですか?」
 
 高校2年という年齢からすれば、桃子はずっと大人っぽい。それは口元の黒子と、耳朶をくすぐるような声のためだ。だが、明るい中にもどこか甘える調子がこもった声は、この時は幾分沈んで聞こえた。
 
 「もしかして、後悔してる? 私達の仲間になったことに」
 
 「・・・いえ、別に・・・・・・」
 
 彼女の恋人・久慈仁紀は、人類を絶望に堕としている魔人メフェレスの正体だった。
 そして、彼女はその仲間となることを了承した。
 ファントムガールの正体であるという、長い髪の少女を倒した彼女には、もはやその道しか残されてはいなかった。
 
 「・・・あなたに、見せたいものがあるわ。ついてきて」
 
 部屋の壁と同じ色の廊下を渡り、茶色の髪の少女は長い黒髪の女についていった。エレベーターに乗る。どこをどう進んでいるか、さっぱりわからない。だが、目的地が近いことを桃子は自然に悟ることになる。
 
 音が聞こえる。
 なにか、弦楽器のような音。演奏ではなく、騒音に近い。いや、獣が鳴いているのか? 引き攣るような音が、地下中に共鳴している。
 音の発現地である部屋に、ふたりの美女は入っていった。
 その瞬間、桃子の瞳が、驚愕で見開かれる。
 
 肉体が、絡み合っている。
 音は楽器ではなかった。獣の鳴き声でもなかった。
 悲鳴。
 荒縄で四肢を縛られ、空中に大の字で固定されている少女に、三人の男女が絡まっている。音の正体は、闇の儀式に捧げられてでもいるような少女の口から、断続的に発せられる叫び声であった。
 
 見るも無惨に変わり果てた少女は、紛れもなく、ファントムガールの正体である、あの美しい少女であった。少し茶色がかった長い髪は、べっとりと濡れた頬に貼り付き、青と白で構成された制服は、乳房と股間を剥ぎ取られて、瑞々しい青い肉体を露見している。汗で濡れ光る全身と、虚空を見つめる視線とが、少女が激しい拷問を受けていることをわかりやすく教える。
 
 「ひ、ひどい・・・・・・・」
 
 少女ー五十嵐里美を濡らしているのは、汗だけではない。涙や涎といった分泌物も含まれていることに、桃子はすぐに気付いた。それだけではない。臍から太股にかけて、ねっとりと広がっているとろみのある体液は・・・女子高生が口にするには、あまりに憚られるモノであった。その哀れを通り越して凄惨な姿に、桃子は少女が恋人の仇敵であることを忘れるほどだった。
 なによりも凄まじいのは、その体液の量だ。ボトボトとあらゆる液を零し続ける里美の下には、バケツをぶちまけたような水溜まりがある。こんなスレンダーな少女から、これほどの体液が搾り取られたというのか? 桃子には信じられなかった。
 
 「ふひゃああああああッッッ――――ッッッ!!!! はひいいィィッッッ―――ッッッ!!!!」
 
 苦悶が刻み込まれた少女の顔が、さらに激しく歪む。これ以上は無理、というまで里美の柳眉が寄る。何度目なのかわからないが、新たな絶頂に向けて、官能のトドメを刺されようとしているのは明らかだった。
 
 「ふははははは! なかなかしぶといな、里美! よがれよがれ。狂い死ぬまで、犯し尽くしてやるわ」
 
 空に浮く生贄の真下に潜り込み、両手で形のよいバストを揉みしだきながら、久慈仁紀が瀕死の天使を嘲る。それまでの陵辱の嵐の前に、里美の性のアンテナは最大限に高められてしまっていた。胸の突起を突つかれるだけで、腰が砕けてしまうだろう。呪い人形への辱めを永遠に続けられ、媚毒で狂わされた挙句に、常人離れた久慈のテクニックを受ける。女に生まれた以上、それに耐えろというのは不可能であろう。胸への愛撫だけで、里美は敵の思惑通りに泣き喚いた。
 
 だが、それだけでは終わらない。禿げあがった小太りの中年が、二本の指をズブズブと肛門に差し入れる。桃子には、その指がまるで軟体動物のように見えた。にゅるにゅるとした柔らかそうな指が、どこまでも里美を貫く。内臓を掻き回される激痛と、弾けるような刺激、圧迫による鈍痛が一斉に襲いかかり、混乱した理性が粉砕される。指が進むたびに、里美は眼を白黒させた。変態教師の苛烈な肛虐に、清楚な令嬢の心が噛み砕かれていく。
 最も大事な部分は、豹柄の女が担当していた。膣の中でどこが一番感じてしまうか、丁寧に探られ、容赦なく責めたてられる。摩擦により、股間は真っ赤に腫れあがっていた。神崎ちゆりの手により、里美は身を捻じ切るほどの快感を味あわされていた。あまりの快楽に痙攣しても、魔豹は責めを止めることはなかった。戯れにクリトリスを青い爪で突き刺し、絶叫させることも忘れなかった。
 
 三体の悪魔に、文字通りオモチャとなって、弄ばれる正義の使者。自尊心も矜持も全て奪われ、ただ里美は泣き叫んだ。
 
 「ふびやあひいいィィィッッッ~~~~ッッ!!!! はあぐうッッ!! ふあああッッ!!! いやあああああッッッ――――ッッッ!!!!」
 
 激しく揺れる細い身体。縄が白い肌に食い込む。眼から、口から、雫が噴き出る。股間から勢いよく聖水が噴射されたとき、桃子は里美が失禁したのかと思った。潮を吹く、という行為を目の当たりにするのは、生まれて初めてのことだった。クライマックスを迎えても、三体の悪魔は責めを止めなかった。完全に失神するまで、虜囚を責め貫く。里美が噴射する官能の飛沫を浴びて、3人の身体もまたビショビショに濡れそぼる。
 
 「み、見てられない・・・・・・ッッ!!!」
 
 頭を抱え、桃子は悪夢を振り払うように座り込む。17の少女にとって、目の前で繰り広げられる宴はあまりに残酷すぎた。
 あの、五十嵐里美という少女は久慈仁紀の敵だ。本来なら憎むべき相手である。実際に、抵抗しない久慈に襲いかかる里美に対し、桃子は憎しみを感じたのは確かだ。
 
 しかし、この仕打ちを見ていると・・・何かが揺らぐのを、桃子は感じずにはいられなかった。いくら敵とはいえ、明らかにすでに闘えない相手を、必要以上に嬲る久慈の姿――そして、その愉快げな笑顔・・・あれほどまでに優しかった笑顔が、今はひどく歪んで見える。世間を震撼させている侵略者・メフェレス。彼氏のもうひとつの顔が、自然にクローズアップされてくる。
 
 「ふううッッッ・・・ふひゃああああああああ――――ッッッッッ!!!!」
 
 一際高い絶叫。
 魔悦を満身に浴び、絶頂に絶頂を重ねた虜囚が、空中で硬直する。極限にまで高められたエクスタシーに、正義の女神の化身である五十嵐里美は何度目かの昇天をした。ピンと張った全身が、次の瞬間にはガックリと弛緩する。縄に吊り下がる隷奴から、どっと体液が滲み出る。噴き出すほどの勢いはすでにない。だが、ボトボトと垂れる愛液や汗や涙は、陵辱者の手をぬらぬらと汚していく。半開きの口から零れる涎の雫を、久慈仁紀は顔面でベチャベチャと受けとめた。
 
 「まだ息があるか・・・これだけの快感の渦で死ねるのだ、さぞ嬉しいだろう?」
 
 失神したくノ一に答えられるはずはない。
 
 両の乳房の先端を、親指で魔人が折り曲げる。
 不意に襲った激痛に、里美はビクンと身体を震わせるや、残酷な現実へと帰ってきた。
 
 「どうだ? オレたち3人の責めは。イキっぱなしで死ねるのだ、幸せとは思わんか?」
 
 刷り込まれた過酷な責めの数々に、肉体をビクビクと痙攣させ続け、里美はかすかに首を横に振る。
 もう・・・勘弁して・・・・・・。
 憔悴しきった表情が、無言のまま懇願の想いを伝える。
 
 「だが、さすがにそろそろ限界のようだな。選べ、里美。いや、ファントムガール。狂い死ぬか、仲間のことを話すか?」
 
 ピクピクと全身を震わせながら、里美は緊縛のまま揺れ動く。
 時間にして五秒、その静寂が地下室を包む。
 沈黙を破ったのは、侮蔑に満ち溢れた調子の、久慈の声であった。
 
 「おいおい、もう、いいじゃあないか。いい人ぶるのはよせ。貴様の目的は、充分達成しているはずだぞ」
 
 「ハァッ! ハァッ! ・・・・・・いいひと・・・・ぶる・・・・・・・?・・・」
 
 混濁した意識の里美は、久慈がなにを言っているのか、理解できなかった。
 
 「これだけ我慢しているのは、仲間に裏切り者呼ばわりされたくないためだろう? 後ろ指さされたくないがために口を割らないのだろうが? 安心しろ、我らの責めを受けて、耐えられる者などいない。これだけ責められれば仕方ないと、誰もが言うだろう。気にせず話せばいいじゃないか。第一、いずれにせよ、残りのファントムガールは皆殺しの運命だ。死者になんと思われようと、構わんだろうが? それよりもオレに忠誠を誓って、楽しく生きる方が、ずっと賢い選択だと思わないか?」
 
 黒真珠を嵌め込んだような、漆黒の瞳が久慈を射る。体力も精神も、根こそぎ磨耗され、虚ろに揺れ動く視線は、哀れみを込めて目の前の整った顔立ちを捉えた。
 
 「ハァッ、ハァッ・・・・・・本気で・・・・・・グハァッ、ハァッ・・・言ってる・・・・・・・・の・・・・・・・・?・・・・・」
 
 「・・・なぜ、そんな眼で見る? それはオレが貴様を見る眼のはずだが?」
 
 久慈の右手が、宙吊りの少女の左乳房を握り潰す。
 呪術と媚毒と愛撫の嵐によって、すっかり破壊されていた里美のそこは、官能の棘が直接脳髄に叩きこまれるスイッチに変わり果てていた。
 
 「ふううああああああああああッッッ~~~―――ッッッ!!!!」
 
 「そうだ。そうやって、貴様はオレに服従すべきなのだ。なぜ、オレを哀れむ?」
 
 「ハアッ、ハアッ、ハアッ、あ、あなたがッ・・・・・・人の心を・・・ハァ、ハァ・・・知らないからよ・・・・・・・・・・」
 
 能面のような久慈の眼が細まる。
 だが、それ以上の変化は、名家に生まれたエリート高校生には見られなかった。ただ、完全に踏みにじっているはずの宿敵から哀れまれるのは、屈辱以外のなにものでもない。それが最後の行動へと足を踏み出させる。
 
 「・・・どうやら、五十嵐里美は想像以上に愚かだったらしい。よかろう、望み通り、死ぬがいい」
 
 ボサボサになった髪を掴み、醒めるような美貌を無理に引き上げる。暴虐の限りを尽くされ、汗と涙と涎で薄汚れた顔が、「あぅ・・・」と小さく呻く。
 
 「桃子、こっちに来いよ」
 
 嗜虐に夢中のあまり、自分には気付いていないとばかり思っていた恋人の呼びかけに、少女は不意をつかれた。
 ゆっくりと目蓋をあげる。
 おぞましい光景を見ないよう、身を裂かれる悲鳴を聞かぬよう、桃子は頭を抱えるように耳を塞いで、眼を閉じていた。凍ったように動かなかった体が、久慈の一声で動き始める。だが、意志の強そうな瞳を開いた少女は、しゃがみこんだまま、立とうとはしなかった。
 
 「さ、いくわよ」
 
 赤いスーツの女が、桃子の小脇を抱え込み、無理に立たせる。均整の取れた片倉響子の肉体からは、外見からは想像できないような力強さが感じられた。半強制的に立たせられた桃子は、腕を組んだまま、響子に引っ張られ、宙吊りの少女の元へと進む。
 
 熱気と荒い呼吸が桃子を迎える。
 荒縄で吊られたファントムガールの正体である少女は、153cmの桃子の目の高さに浮いていた。べっとりと濡れた全身。過酷な責めを受けつづけた肉体は、熱を放射し続けている。床に溜まった体液の量から、臭気を覚悟していたのだが、不思議なことに美しい少女からは、芳香に近い香りが、ほのかに漂っている。その甘い香りは、被虐の美戦士には、あまりに似つかわしいかもしれない。
 虚ろな視線をさまよわせる美少女を前に、桃子の心にはたぎってくる感情があった。
 
 「ヒトキ、やりすぎだよ」
 
 「やりすぎ?」
 
 「いくら敵だからって、ここまでやること、ない。どう見たってこのひと、もう闘えないじゃん」
 
 長い睫毛が震えている。大きな瞳の中に、怒りの感情を久慈は見て取った。
 
 「敵にやりすぎなど、あるわけないだろう。特にこいつらは酷く殺す必要がある。人間どもへの見せしめとしてな」
 
 恐ろしい台詞を平気で吐く彼氏に、桃子の細く整えた眉がピクリと動く。
 なに不自由なく暮らしてきたような桃子だが、その今時の女子高生らしい日常に隠れた彼女の真の姿が、残酷な拷問を見ることで露になろうとしていた。普段あまり昂ぶった感情を見せない少女は、明らかな憤りを、その強い視線に込めている。
 
 「やっぱりおかしいよ! 見せしめとか・・・なんでそんなことする必要があるの?! 」
 
 「言っただろう? 今の世界を破壊して、新しい理想郷をつくるためだ」
 
 「確かにヒトキが言うように、人間は間違ったこともしてるよ。でも、いいひとだって、いっぱいいるじゃん!」
 
 「そういういいひとを守るために、こいつらのような少数の悪人を排除せねばならんのだ」
 
 久慈の台詞に、桃子は思わず黙った。
 
 「こいつら政府の犬どもが、現代の腐った人間社会の象徴なのだ。諸悪の根源を抑えれば、少ない犠牲で世界を救うことができる。だからこそ、オレたちは悪と呼ばれようが、今の活動をしているのだ」
 
 大したものだわ。
 隣で聞いていた片倉響子は、心の中で嘆息をついていた。
 全く心にもないことを、本心からの台詞のようにすらすら語れる久慈の才能に、響子は素直に感心していた。政治家になれるわよ。何食わぬ顔のまま、心では最大の賛辞を送る。
 
 「で、でも、なにも殺さなくても・・・」
 
 「こいつを生かしておけば、必ず逆襲されることになる。今、こいつを殺す代わりに、桃子は誰か仲間が殺されてもいいのか?」
 
 「それは・・・」
 
 「オレたちは仲間じゃないのか?」
 
 「な、仲間よ」
 
 「ならば仲間に被害がでないよう、こいつはここで仕留めねばならん」
 
 冷徹に言い放つ久慈に、言い返せない桃子は圧倒されていく。昂ぶっていた感情は、いつのまにか鎮圧されかかっていた。
 その心の弱まりを、魔人は見逃すことはなかった。
 
 「桃子、お前がこの女を殺すんだ」
 
 「えッッ?!!」
 
 「お前の超能力で、こいつの心臓を止めろ。お前の手で、ファントムガールにトドメを刺すんだ」
 
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