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「第四話 邪悪哄笑 ~魔呪の虜囚~
15章
しおりを挟む地獄は、20分も続いたろうか。
魔法陣による暗黒パワーの集中砲火に晒され続け、根こそぎ光のエネルギーを奪い取られたファントムガールが、5度目の失神を迎えたとき、ようやく悪魔の魔術はとめられた。
残ったのは、表面の皮膚を焼け溶かされ、くすんだ銀色の内肉に、オレンジの体液を滲ませた、十字架の聖天使。そこら中が焼け爛れた姿は、爆撃で全身を焼かれた、悲惨な姿に似ていた。
青い瞳は光を失い、弱々しく点滅する胸のエナジークリスタルが、ファントムガールに残された光が、わずかであることを教える。
「おっとォ、まだまだ楽にさせないよォ~。60分になるまで、痛ぶりつづけてやるんだからぁ♪」
金色の長い髪を、無造作に掴むと、マヴェルは一気に引き上げ、守護天使を無理に立たせる。ブチイッッ! という音を残し、掌と足首が突き刺さっていた爪によって、切り裂かれる。
芸術的な曲線を誇るファントムガールの肢体は、片腕で魔豹に吊り下げられた。身長が同程度なため、弛緩した足は膝から下が折れ曲がる。
「ど~~う? 闇の魔力の味はぁ? 酸に溶かされてるみたいだったぁ? でもねぇ、あんたの身体には、教えてあげたい味が、もっとも~~っとあるのよォ」
山のように盛り上がったファントムガールの右胸を、豹の自由な右手が包み込む。銀の毛に覆われたそれは、少女戦士の隆起を揉みしだくうちに、ピンク色に発光し始めた。
「あうッ・・・・うはあああ・・・・・・・・・へあッッ・・・・・・」
右胸から押し寄せる熱い刺激に、蘇生する女神。宿敵メフェレスが発する妖しい光と、同じものを己の右胸に見る。
「あふうッッ・・・・・こ、これはぁ・・・・・・・な、なんで・・・・・・・・」
“こ・・・この光は・・・・・・・あ・・・ああ・・・・・・・”
「ふふふ、感じちゃってるんだぁ~、やっぱりあんた、こういうのに弱いみたいねぇ。マヴェルもメフェレスも、さんざん遊んでるからねぇ。そうすると、こういう技も使えるようになるのォ。ほら、パワーを上げると・・・」
発光が激しくなる。形のいい果実を、掌全体で包んで、揉みながらこね回す。
「あひいイイッッッ!!! ひゃああああッッ~~!!! あッッ・・・あああッッ・・・・・・は、離してぇぇッッ~~ッッ!!!」
さざなみだった刺激が、津波になって天使を襲う。熱いたぎりが、里美の脳髄から秘所まで、一本の杭を打ち込み、官能を呼び覚ましていく。ただでさえ魔豹のテクニックは、確実に性感帯を捕えてくるというのに、そこに刺激を倍加させる魔の光が加わるのだ。ウブな少女を狂わせるには、十分だった。
“こッ・・・このままッ・・・じゃあ・・・・・狂っちゃ・・・うううぅぅッ~~!”
「あははは! みっともない声、出しちゃってぇ~~! あらら、乳首立ってきちゃったねぇ? これ、こするとどうなるのォ?」
「はびゃああッッ!! ふひゃああああッッ~~~ッッ!!! 」
普段は存在しないファントムガールの胸の先端が、桃色の扇情によって、誰の目にも明らかになっていた。ボタンのように屹立したそれを、マヴェルは優しく回転させる。その絶妙な角度・速度に、聖天使は我慢できずに嬌声をあげてしまう。誇り高き五十嵐の嫡子として、それは敗北並の屈辱であった。
血に濡れた紫のグローブが、豹の右手を掴む。だが、力を奪い取られた正義の女神には、それが精一杯の抵抗だった。掴んだだけで、攻撃を止めさせることはできず、いいように悦楽の光線を浴び続ける。
「ふあああッッ・・・・・・・あくああッッ・・・・・うくくくく・・・・・」
「我慢してもダメダメぇ~~、ホラ、コリコリだよ、あんたの乳首ィ」
マヴェルの指が、鉄みたいに固くなった、守護天使の胸の突起を弾く。途端、電流を流されたようにビクンと銀の肢体が仰け反り、「あくぅぅッッ!!」と、苦しみによるものではない声があがる。
豹の指は、銀色の肌を伝いながら下降していく。目的地を察した里美が、必死で股を閉じるが、魔法のように滑りこんでくる淫虐の爪の前にはまるで無力だった。桃色に発光する指が、肛門から秘裂、その先の淫核までを一気になぞる。巨大少女の性器は、いままでの愛撫により、とっくに完全に実体化していた。力を込めて股間を閉じているため、その刺激は却って強烈に天使を襲う。
「あぁぁッッ?! ・・・・・・あふうんんッッ!! ・・・・・・・・ふへあぁぁッッ・・・・・・・や、やめぇぇ・・・・・うはああぁぁッッ!!」
腰が砕け、崩れそうになる銀の女神を、金髪を掴んだ手が無理に立たせる。苦痛と悦楽の両方で歪んだ美貌は、声をあげるたびに、その配分を変える。ますます被虐心を昂ぶらせた魔豹が、肛門から淫核までの往復を速くする。スパークする官能の波に、ファントムガールの芸術的なボディラインはカクカクと揺れた。
“わた・・・し・・・・私・・・・・・・・・この・・・まま・・・・・・じゃ・・・・・・・”
「なぁにィ~? たまんないのォ~? そんなに感じてないで、反撃してみたらぁ~? あはははは!」
激しく摩擦する指から、ピチャピチャとはしたない音が、聖少女の耳にもハッキリと届いてくる。己の無様さに、羞恥の熱が里美を焼くが、溢れる愛蜜をとめる術はない。
自由な手を使い、光線を放とうとするが、無理だった。とても集中できない。一瞬マヴェルに向けられた掌は、すぐに股間を擦る腕へと向かう。その嫌がりようは、陰惨な女豹を悦ばせるだけだった。
「あ、あひいィィッッ・・・・・・マ、マヴェ・・・・・・ふひゃああぁぁッッ! ・・・・・こ、こんなぁ・・・・ものッ・・・じゃあぁぁッッ・・・・・はああッッ?! ・・・かッッ・・・ううぅ・・・・・・わたしッ・・・は・・・・負けない・・・・わ・・・・・あああッッ!!」
「フン、よがりながら言うセリフじゃあ、ないわねぇ~~。よし、スペシャルよォ♪」
ビチャビチャと粘液まみれになった豹の右手が、止まる。
次の瞬間、中指が肛門を、親指がクリトリスを、残りの指が生温かい肉襞の中を、一斉に刺激する。
自在に伸びる爪はアナルを抉りながらどこまでも深く侵入し、尖った親指の先は肉芽を刺しながらこねくり回す。膣内は口から指が出てくるのではないかと錯覚するほど貫かれ、痺れるまでに摩擦される。
3つの異なる快感を同時にフルパワーで叩きこまれる荒業。直腸は筋肉が収縮し、痙攣を始め、膣内はとろけるような愛汁を分泌させ、剥き出しにされた淫核は、熱い電流を脳髄に直撃させる。ひとつの責めでも、昇天するには十分なのに、3つまとめて、しかも魔力による推淫を施されれば・・・
「うううああああああああああ――――ッッッ!!!! ひいいやああああああッッッ~~~~~ッッッ!!!!!」
狂ったように踊りよがるファントムガール。
あまりに激しい悶えぶりに、掴まれた長い髪が引き千切れそうになる。それでも構わず、少女戦士は悦楽のダンスを踊り続ける。
ブッシュウウウウウ・・・・
白い液体が股間より噴射し、ボトボトと無情な大地に垂れ落ちていく。
下腹部のクリスタルが点滅を始める。それは性的興奮がピークに達したと同時に、子宮に棲みついた『エデン』が異常を感知していることも示した。『エデン』そのものが攻撃されれば、当然ファントムガールはファントムガールでいられない。つまり、過度の性的刺激は、『エデン』が子宮と一体化しているため、ファントムガールにとっては、肉体の崩壊にも繋がっていくのだ。
『エデン』の研究を続けている片倉響子でも、その事実には気付いていなかったが・・・今、初めて下腹部のクリスタルが点滅したことで、悪魔たちはあるひとつの、発情とこのクリスタルとの関連について気付き始めていた。
「・・・もしかして、これ・・・」
敵を嬲ることに関しては、本能的に鋭いマヴェルが右手を女神から引き抜く。ぐったりと全身を脱力させる銀の天使の下腹部、青いクリスタルに、桃色の発情光線を放つ魔性の手が吸いつく。
「ふうぎゃああああああッッッ――――ッッッ!!!! いひひゃああああああッッッ~~~~ッッッ!!!!! やめてえええぇぇぇッッ~~~ッッッ!!!!」
バシュウウッッ!!! ブシャアアアアアッッ・・・・
枯れたはずの噴水が、勢い良く発射され、悪魔によって潮を吹かされる聖少女の惨めな姿が、パノラマで人類の前に広がる。
哀しげに顔を歪め、悦楽の怒涛に身を粉砕された女神が、ビクビクと全身を震わせる。眉根を寄せ、だらしなく口を開いたその顔は、戦士のものではなく、レイプされる女子高生そのものだった。
下腹部のクリスタル。それは具現化された『エデン』であり、剥き出しになった子宮であり、ファントムガール最大の性感帯であるとともに弱点なのだ。
肉体組織の構成を司る器官でもあるため、今の里美を襲うのは、圧倒的な劣情だけでなく、凄まじい苦痛も含まれているのだが、女豹にとってはそんなことはどうでもよかった。
「あははははは! さとみィ、あんた、こんなとこが感じんのォ?! あははははは! 悶えろッ、泣けッ、喚けッ!」
怨敵を嬲る快感が、マヴェルの口からファントムガールの正体を洩らさせる。無論、正義のこんな醜態をテレビが流すわけはないので、その点の心配はないが、マヴェルの昂ぶりは、ファントムガールの完全敗北が近いことを意味している。
魔豹の言葉通り、泣き喚く少女戦士。
泡を吹き、折れ曲がりそうに反りながら痙攣する肢体からは、果てることない愛蜜が、いつまでも垂れ零れ続けた。
“ユ・・・・・・・リ・・・・・・・・ア・・・・・・・・たす・・・・・け・・・・・・て・・・・・・・”
地上から見る女神の陵辱劇は、凄惨を極めた。
巨大な豹のキメラ・ミュータントは、ただ髪を掴み、下腹部のクリスタルにピンクの光を浴びせているだけだが、ファントムガールの悶絶ぶりは断末魔を思わせるほどに凄まじかった。
視界を塞ぐほどの巨大な陵辱絵図と、天から降る大音響の悲鳴。逃げ去る人々の背を追いかける、正義が果てていく様に、絶望という名の黒い翳が人類の心を覆う。侵略者の圧倒的戦力は、傍観者にも明確に伝わっていた。
必死の形相で逃げる人波に抵抗するように、西条ユリは電柱に凭れて立ちすくんでいた。
普段着ではラフな格好を好む少女は、灰色のパーカーにチェックのミニスカートといういでたち。パンティが見えそうに短いスカートのせいで、元々カモシカのように長い足が、さらにスラリと伸びて見える。長いシャワーで濡れそぼった髪は、ユリの代名詞ともいえる、ふたつにまとめたおさげになっている。
電柱に体重を預けたまま、ハア、ハアと荒い息をつくユリの顔は、発熱しているかのように赤い。二重のつぶらな瞳は、悲哀感たっぷりに潤んでいる。
「さ・・・里美さん・・・・・・私が・・・助けなきゃ・・・・いけない・・・・・・・のに・・・・・・・」
電柱から離れ、意識を集中させて、トランスフォーム=変身しようとするユリ。だが、巻き起こる風により、服が乳首にかすかにこすれると、それだけの刺激で、ジュンとした熱い波動が、下腹部を直撃する。たちまちトランスフォームを中断させたユリは、助けを求めるように、再び電柱にしがみついていた。
「ダ・・・ダメ・・・・・・こんなちょっとしたことで・・・か、感じちゃうなんて・・・・」
前回の闘いで、黄色の戦士ファントムガール・ユリアは、クトルの触手に貫かれ、媚毒の混じった精液を膣内にたっぷりと注ぎこまれてしまっていた。
女として大切なものを奪われただけでなく、細胞にまで浸透した媚薬の影響で、未開発だった少女の肉体は、強引に、一気に開拓されていた。普段は問題ないが、一度「疼き」だすと、あとはもう止まらない。坂道を転げ落ちるように、色情界に堕落していくのを、ユリは自覚しながら止めることができなかった。
「せっかく・・・・・・里美さんが・・・作戦を考えて・・・くれたのに・・・・・・ここで私が・・・やらない・・と・・・・・」
人形のように可愛らしい素顔の少女が、政府開発の特殊な携帯電話を取り出す。ミュータントがこの北区に現れてすぐに送られてきたメールを、ユリはすでに何度も読み返していた。内容は理解しているが、実行しないことには意味がない。
“やっぱりダメ・・・・・こんな私がトランスしても・・・・・足手まといになるだけ・・・・・エリがいないから闘えないし・・・こんな身体だし・・・”
「里美さん・・・・・ごめんなさい・・・・・・私、どうすれば・・・・・」
ピンクの下唇を、強く噛むおさげの少女。
里美は助けたい。だが、今変身しても、役にたてないことは、自分が一番よく知っている。西条ユリの小さな胸は、迷いと悲しみで、張り裂けそうになる。内気な少女は、ただ己の無力に途方にくれるばかり。
「ユリィいィッッッ――――ッッッ!!!」
自分の名を叫ばれ、可憐を絵に描いたような美少女は、ハッとして空を見上げる。夏の夜の、満天の星空。波間に浮ぶ、一隻の白い帆船。アニメキャラのような、高く、可愛らしいその声は、いつの間にか現れた、その白いヘリコプターから聞こえてきた。忘れるわけがない、その声。自分と同じ、その声。
「エ、エリッッ!!」
メフェレスの手下に、残虐極まりないリンチを受けて、施設で療養中の双子の姉・エリ。絶対安静中の彼女が、なぜこんな、危険地帯にいるのか。理由は明らかだった。
「どうしてこんなとこへッ?! あんな酷い怪我をしてるのに・・・」
「いいからッ! よく聞きなさい、ユリッッ!!」
ヘリに搭載されたスピーカーが、拡大された少女の声を地上に降らせる。逃げるのに精一杯な人々には、この非常事態に不自然な情景を、気にする余裕はなかった。
「あの豹と魔術師を・・・倒しなさいッ、ユリッッ!! 私が許可するわッッ!!!」
ドクンッッ!!!
スレンダーな少女の全身に、熱い血潮が駆け巡る。
先程まで芯を溶かしそうにたぎっていた官能の疼きは、武道少女が本来持っている闘争の炎によって、嘘のように霧散していた。
「トランスフォームッ!」
モデル体型の美少女が、白い光に包まれ、粒子と化して消えていく。
迷いが去り、闘う戦士としての顔を取り戻した、ファントムガール・ユリアが、その麗しい姿を現そうとしていた―――
「さて、あとは頼みましたぞ、西条様。これが唯一残された勝算なのですから」
使命を終えて帰途に就くヘリコプターの中。操縦桿を握る老紳士・安藤が低いトーンで、語る。五十嵐家の執事にして、ファントムガールの世話役ともいえる彼は、祈りにも似た気持ちでユリへのエールを心の内で送る。先程から七菜江と連絡がつかなくなってしまった以上、頼れるのは、もはやユリしかいないのだ。そして、黒魔術による人形の呪縛から逃れ、マリーを倒せる可能性があるのも―――
「ユリ、頼んだよ」
安藤の口から、甲高く、少し鼻にかかったようなアニメ声が洩れる。
老執事ひとりだけを乗せたヘリは、そのまま夏の星座に溶け込んでいった。
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