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「第二話 魔人集結 ~魔性の両輪~」
22章
しおりを挟む「・・・シビレル、わね。なんて、そそるコなのかしら・・・」
闘いはまだ終わっていなかった。水色のミュータント、シヴァがうめくように呟く。その怪物となって尚美しい視線の先には、ナナを飲みこんで崩れた瓦礫がある。
「では、こちらも決着をつけましょうか、ファントムガールさん。もうひとり、遊び相手が出来ちゃったから・・・」
振り返る魔女。そこに銀のスレンダーな肢体はない。
その姿は、風を伴ってシヴァの背後に現れる。
ドズウウウウッッッ・・・・・・
「えッッ・・・・・・・?!!」
真っ赤な腹部を押さえるファントムガール。その銀色の肌には、新たにふたつの穴が開き、ハチミツのような血がトロリと流れ落ちていく。
どうして、こんな状況になったのか? わからない。確かに無防備な背後を取ったはずなのに、どうやって攻撃されたのか。失血により遠のく意識の中で、必死に思考を巡らすファントムガール・里美。わかるのは、華奢な体躯に残された力はわずかであること。あと一回、攻撃できるかどうか・・・・・・
銀の手袋に光の棍棒が現れる。ファントム・クラブ。至近距離で最も破壊力のある武器を、貯蓄庫に残った全てのエネルギーを振り絞って振るう。
人類のために、その身を犠牲にして闘う天使の願い。それは儚く消える。
最期の一撃は、シヴァの体毛に覆われた手によって、受け止められていた。
「くぅ・・・・・・・」
「万策尽きたわね、ファントムガール!! 処刑の時間よ、取っておきを見せてあげるわ」
「・・・・・・あぐぅぅぅッッッ!!」
再び灼熱が腹部を貫く。無防備な腹を見る少女。茶色の体毛に覆われた腕が、ナイフのように尖った指をそろえて、銀の光沢のある腹を抉っている。
「う、腕が・・・・・・も、もう一対・・・・・・・・」
ファントムガールの手首を掴んだ腕とは別に、もう二本の腕が金髪に隠れた背中から伸びている! 腰まである長い髪に隠れてわからなかったが、シヴァには腕が四本あるのだ!
「キメラ・ミュータントの話は聞いてたかしら? 私は2種類の動物を『エデン』と融合させることに成功したのよ。例えば、人間とネズミのようにね。でも、まずその実験の第1号に、自分自身を選んだのよ」
ファントムガールの鼻先で、彫刻のような完成された美貌を歪ませて笑う魔女。死の香り漂う、悪魔に魅入られた、笑み。対照的に無表情な銀のマスクを見つめる。
「私は、蜘蛛の能力を持った、キメラ・ミュータント。あなた達ファントムガールは、蜘蛛に捕えられた美しい蝶よ」
金髪に隠れた背中から、さらに腕が二本。
腕は四本ではない、合計六本。
本物の腕とは違い、指が3本しかないが、その分鋭利に尖った爪が、錐の鋭さで、もはや抗うことすらできないファントムガールの腹を突き刺す。
銀の美少女に埋まったナイフが四つ。腹筋を、内臓を、抉り裂いて暴れ回る。灼熱が、里美の腹を掻き乱す。
「うぐうううぅぅッッッ!!! あああッッッ!! あううううッッッ!!!」
白いクラブが銀のグローブを離れて地に落ちる。残りわずかな主人の命を象徴するように、光の粒子と化して消滅する。
「サービスよ。文字通り、ぐちゃぐちゃになりなさい、ファントムガール」
主格たる、五本の指が揃った腕が、手首を放して腹に爪を立てる。穴だらけの、守護天使の腹。蜘蛛女の六本の腕が、苦痛を与えるためだけに、哀れな獲物のボディーを貪っていく。
「きゃあああッッッ・・・アアアッッッ・・・アアッッ・・・ガアッ・・・ア・ア・・アアアア・・・・・・・」
無数の刃物に腹を切り刻まれる地獄。桜の花びらの唇から、耳を塞ぎたくなる苦悶がこぼれる。折れ曲がった紫の指が、虚空を掻き毟る。茶色の艶やかな髪は、水分を失ってざんばらに乱れ、輝く銀のボディーが見る見るうちに色褪せていく。
絶体絶命のピンチに、エナジークリスタルが危険警報を発する。ヴィーンヴィーンとけたたましく鳴り響く、水晶体。だが、もはや聖少女は悶絶することしかできない。
「晒しなさい、ファントムガール! その惨めな敗北の姿を!」
六本の腕が、スラリと伸びた肢体を、高々と天に向かって衝き上げる。水色の蜘蛛の化身の頭上に、抱え上げられるファントムガール・里美。自らの重みで、ますます刃が埋まっていく・・・
青い瞳がフッ・・・と消える。硬直していた手足が、ダラリと重力に負けて垂れ下がる。ついに少女は意識を失ってしまった。無残な敗北者が、満天下に晒される。哀しげなヴィーンヴィーンという響きだけが、虚しく市街地に響き渡る。
瓦礫の山から立ちあがったナナの眼に飛び込んできたのは、六本の腕に腹を抉られ、天に差し向けられたファントムガールの姿。
「さ、里美・・・・・・さん・・・・・・・・・」
「ナナ。お仲間の死に様を、そこで見てるといいわ」
黒い光が、六本の腕から発射される。
貫かれた腹から、闇の破壊光を直入され、失神したファントムガールがあまりの苦痛に蘇生する。
燃え盛る巨大な芋虫が、内臓を這いずり、里美の腹から食い破っていく! 地獄の業火に包まれる光の戦士。とっくに闘えない彼女に容赦ない責め苦を与える悪魔の所業に、聖少女は断末魔の叫びを咆哮する。
「きィゃああああああああァァッッ―――――ッッッ!!!!! はうああああああァぁアアぁああぁアアッッッッ!!!!!」
六本の槍の先で反りあがる銀の少女。両手で貫く蜘蛛の腕を掴む。圧倒的な闇のパワーの前に、ボロボロと崩れ溶けていく銀のグローブ。ファントムガールの全身から白煙が昇り、やがてその色が黒く変わっていく。
溶けていく。崩れていく、ファントムガールが!!
何もできない里美が、死を待って、悶絶の慟哭をし続ける。
「ウオオオオオオッッッ―――ッッッ!!!!!」
爆発する感情。
どこにそんな力が残っていたのか、完全な死の淵に沈もうとするファントムガールを目の当たりにして、青い戦士がアスファルトを駆ける。
ネズミの瞬発力も慄くスピード。ナナが、その全能力を全開にして最期の勝負を挑む。
憎き宿敵の手前で大ジャンプ!!
頭上の掌に、光の太陽が現れる。身体中からかき集めた光の力を使いきって、必殺の光球をつくりだす。
ハンド部の七菜江が、最も得意とするジャンプシュートの態勢。
ダイナミックなフォームで、鷹のごとく空中から襲いかかる青の守護天使。光球を持った、右手を振る!
「スラム・ショッ・・・・・・!!!!!」
「かかったわね、ナナ!!」
右手が・・・・・・動かない!!!
肩の後ろにまで振りかぶった右手が、ビクともしない! 高密度のエネルギーの潮流が、掌の上でうねったまま、その発射を待っている。
だが、右手はおろか、キレイなジャンプシュートの姿勢のまま、ナナの全身は空中で蝋人形のように固まる。絡まった透明な糸が、少女の動きを封じている!
「予め、空中に糸を張っておいたのよ! この高層ビル群は、私の巣。あらゆるところに糸が仕掛けてあるの。あなた達ファントムガールは、このシヴァに敵わないことがよくわかったかしら?!」
ナナの右手に力が篭る。まだ、少女は諦めていない。青い腕に幾条もの朱線がはいるのも構わず、光の熱球を放とうともがく。腕を切り落とされても、スラム・ショットを撃とうとする気概が、奇跡を呼びこもうとする。
「無駄よ!」
煙の昇るファントムガールを、ゴミのように捨てる蜘蛛の魔女。その右手を一気に握る。
ナナを捕えた縛糸が急激に引かれ、無数の朱線が銀と青のグラマラスな肉体を疾走る。赤い霧が繁華街の空に舞う。
ガクリとショートカットを揺らして、細い首がうな垂れる。
銀の戦士の最期の望みがバラけていき、光の球は、夜の空間に溶けていった・・・・・・
「終わったわね・・・さあ、お楽しみは、これからよ」
操り人形と化したナナが、無数の糸に吊られてシヴァの眼の高さにまで降りてくる。
仰向けに宙に浮遊するナナ。両腕は大きく広げられ、上方に上げられる。光を無くした瞳。滑らかな首筋を見せて、仰け反った頭が垂れる。柔らかい筋肉で締まった足が、M字に開脚され、少女の最も大事な部分が曝け出される格好となる。そこにあるべき性器はなく、見事なヒップラインが誇張されるだけだ。
「もう、死んだフリはさせないわよ」
うつ伏せに倒れたファントムガールを、束になった糸が捕獲する。手首・足首を捕え、大の字に固定する。首にかかった糸が、絞首刑のように細い首を吊り上げる。銀と紫に彩られた背中が、否でも反りあがる。
「そこでナナの処刑をみているがいいわ。敗北の味を、噛み締めながら、ね」
返事はない。黒ずんだ銀の皮膚は、すでに発光を忘れている。
蜘蛛女が、青い蝶に歩み寄る。
空中に浮いた胸の果実を、五本指が揃った主格の腕が包み込む。両手に余る膨らみを、下から掬い上げるように揉みあげる。柔肉が指の圧力に形を崩す。優しい愛撫が胸の周辺から登頂部に向けて、円を描くように這い登っていく。七菜江自慢の美乳が、怨敵の手によってこね回される。
その間にも、残る四本の腕は、鋭い爪の切っ先を、触れるか触れないかの微妙な感覚で、ナナの抜群なプロポーションの上に走らせる。全身にむず痒い刺激が湧いてくる。
優しいながらも、過度の愛撫が、少女の意識を徐徐に取り戻していく。崩壊した肉体に、熱い疼きが萌えてくる。
「ううぅ・・・・・・・・ああ・・・・・・・・・・・」
「うふふふふ・・・ナナ、今日は始めから、あなたが狙いだったのよ。アルジャを倒したのは褒めてあげる。試作品のガラクタといえど、その身体でよくやったわ。でも、もうおしまい。ここからは、私の計画通り、あなたには地獄に落ちてもらうわ・・・」
柔丘を半分押し潰して、掌でグリグリとこね回す。意志ではどうにも出来ぬ刺激によって、少女の秘芯がたぎってくる。
ついに隆起の中心に、誰の目にもハッキリとわかる突起が浮ぶ。小豆のようなそれを中心に、豊丘への愛撫は続く。
「うく・・・・・・あふ・・・・・・・ううぅ・・・・・・・・」
「我慢しても喘ぎが洩れちゃってるわねえ、ナナ。ほら、乳首がこんなに立ってきてる。若いから、カチコチに固いわね。普段は隠れていても、元が人間である以上、刺激すれば性器も必ず現れるわ。それは、ここもおんなじ」
身体中を這っていた腕のうちの二本が、矛先をかえる。ひとつは、性器があるべき股間の谷間へ。もうひとつは、引き締まったヒップの割れ目の中へ。
指を二本ずつ揃えて、目的の場所を摩擦していく。痛いほど速くはなく、常に刺激が途絶えない速度で擦る。時にはまだ見えない穴をほじくるように、青い皮膚を掘ってみる。
その間にも、乳首を責める手は休めない。現れた突起物をつまんで擦る。蕾は固い。それを押したり、引っ張ったり。クリクリと焦らすように回してやると、銀のマスクの眉が思わず八の字に歪む。
「はあうッッ・・・・・・・・・ぅふうぅッ・・・・・・・・・くふッ・・・・・・」
「おやおや。喘ぎ声が変わってきちゃったわね。男を知らないくせに、随分感度がいいんじゃない、ナナ。この程度で感じてたら、先がもたないわよ」
最近の女子高生には珍しいほどウブな七菜江にとって、熟練の技による刺激は耐えられないものだった。見透かされたように、性感帯を探られる。シヴァが触れる、ひとつひとつに感じてしまう。胸の蕾は痛いほどに固くなり、風に吹かれるだけでジュンとなる。股間を責める熱い電流に、細胞が桜色に染まっていく。
上下に動かしていた股間の指を止める。その跡には、巨大な少女の恥丘が、鮮やかに盛り上がっていた。ヒップの割れ目には、菊の門の跡。
「準備完了。まずは体験したことのない天国に連れてってあげましょう」
主の腕二本がナナの秘所を、残る腕のうち二本がひとつずつ乳房を、一本が新たに出現した肛門を担当する。
首にかかった糸が、グイッと活発な美少女と呼ぶに相応しい顔を上げる。己の身に振りかかる惨劇を、その眼でよく見ろと言わんばかりに。
すでに征服したといっていい、芸術的な丸みを帯びた双丘を、3本指が弄ぶ。固い蕾を飽きるまでこねくり回す。鋭い爪で、時々先端を突くと、ナナの背中がピクリとはねる。秘所を除くと、この柔らかな隆起とその先端の突起が、少女の最大の感度ポイントであることは明白だった。いじるたびに、銀のマスクの眉根が寄る。切なげに八の字に垂れる。その表情が、蜘蛛女の嗜虐心をますます煽るのにも気付かず。
「ひゃうううッッッ!! ・・・・・あああぁぁ~~~ッッ・・・・あふうううッッッ!!! 」
首を横に振って、必死に疼きに耐えるナナ。残る最後の腕が、その口を掴み、無理矢理こじ開ける。
「ぐぶうッッ!!! ぐ・ぐ・ぐ・ぐ・・・・・・」
「ナナ、あなた、キスの経験ないでしょ? 隠してもわかるわ。あなたのファースト・キスは私がもらうわ」
少女の唇に、水色の唇が食らいつく。
キスというより、それはナナを貪るように見えた。長い舌が、少女の口腔を隅々まで舐め取っていく。前歯、奥歯、犬歯、臼歯。頬の内側、ベロの表面、唇の裏側。歯の裏をしごき、舌に絡みつく。暴れ回る龍が、聖なる少女の口を犯す。
シヴァが唇を放す。透明な雫の掛け橋が、正と邪、ふたりの巨人の口に掛かってきらめく。ナナの口腔に溜まったヨダレの池が、唇の端から垂れ流れる。
「飲みなさい!! 一滴残さず飲み干すのよ! 負け犬の証明として!」
再び唇に食らいつくシヴァ。ピチャピチャと音をたて、激しい勢いでナナの口を汚していく。ガクガクと頭を狂ったように振らされ、はずみで銀の喉が生暖かい唾液を嚥下する。
ゴク・・・・・・・ゴク・・・・・・・ゴク・・・・・・・・
穢れていく少女を確認し、シヴァが最高の笑い声をあげる。
「アーハッハッハッハッ!! 美味しいわ、ナナ! 生意気な小娘だけど、なんてあなたは可愛いのかしら! 最高のキスの味よ!!」
女のコにとって、なによりも大事なものを奪われたナナの首が横に傾く。口に残ったヨダレが、虹色に輝きながら、零れ落ちていく。
銀のマスクからは涙はでないが、素顔の七菜江は泣いていた。その顔を、苛め足らないシヴァの長い舌が、ベロベロと舐め上げる。唾液に濡れ光っていく、少女戦士の顔。
しかし、陵辱の宴は、まだ始まったばかりだった。
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