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「第二話 魔人集結 ~魔性の両輪~」

7章

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 隔離された、化学実験室。
 止むこと無い肉が潰れる音に、可憐な悲鳴が時折混じる。
 薬品棚と黒机に囲まれた室内、その真ん中。
 羽交い締めに捕らわれた少女を、ふたりの男が、交互に殴る。
 頬、胸、腹、顎、鳩尾、下腹部・・・・・場所はどこでも構わない、闇雲に、しっちゃかめっちゃかに殴打の嵐に晒す。
 金髪の大男・武志に封じられた体は、抵抗する気持ちさえ奪われるほどガッシリと固められ、藤木七菜江には呻く自由しか与えられていなかった。
 もう、何時間、殴られ続けただろう?
 十数分という時間が、七菜江には、永遠に続く悪魔の晩餐に思われる。6人の男に代わる代わる、気が済むまでサンドバッグとしてその身を捧げた少女は、本来の健康的な姿からは程遠い、陰惨な被虐者に変わり果ててしまっていた。
 左目の目蓋が赤く腫れ、右の頬は紫色に膨れ上がっていた。少女らしい唇の端からは、朱色の線が引かれ、口腔内は絵の具を塗ったように赤い。セーラーの下から覗くお腹は、青黒い痣がいくつも浮んでいる。聖愛学院を象徴する青のカラーも、スカーフも、白のシャツも、殴られるたびできる皺で、グシャグシャになっている。
 
 普通なら、もっと、その可愛らしさと無邪気さ、オトナの色気を微妙なバランスで内包したマスクは崩壊しているのだろうが、『エデン』によって高まった耐久力のおかげで、その原型は随分保たれていた。いくら戦士として覚悟をきめた七菜江とて、本当は花も恥らう17歳の乙女、顔を潰されるのは、なによりツライ。その点、『エデン』には素直に感謝していた。
 一方で、普通の少女なら、とっくに失神しているところを、なかなか眠らせてもらえないことには、恨み言のひとつも言いたい気分だった。
 
 「あは♪ い~いザマねぇ! それにしてもけっこう頑丈なのねぇ~、ちり、そこんところは褒めたげる」
 
 頬杖をついた姿勢のまま、高みの見物を決めこんでいる豹柄のコギャルに、虜の少女は鋭い目を向ける。
 
 「あ~れ~? まぁ~だそんな眼ができるのぉ? ホント、大したもんねぇ~。身も心もまだ、折れてないって感じィ~! じゃあ、武志ィ~」
 
 金のルージュを歪めて、愉悦に咽ぶ女豹が、筋肉に包まれた不良のリーダーに指令を下す。
 
 「まず、身体から、壊しちゃってぇぇ~~♪」
 
 魔女の声を合図に、ゴリラが羽交い締めを解く。七菜江の小さな背中を魔法瓶のような両腕でドンと押す。
 氷の上を滑るように、つんのめって吹き飛ぶ身体を、銀の髪の男が受けとめる。身体を起こす。振りかぶる右手に巻かれた鎖が、鈍く光る。小麦色の頬に、叩きこまれる鎖。鉄が肉を削る音。
 七菜江の口から血が舞う。後方によろめく少女。
 その無防備な背中を赤いモヒカンが蹴り抜く。小さく呻いて、囲んだ男たちの間を、ピンボールのように往復する七菜江。もうひとりの赤い髪の男が、突き出された形の良いバストを前から蹴り潰す。
 前後左右からの暴力に、フラフラと彷徨う七菜江。
 
 「オラッ! 背中ががら空きなんだよッ!!」
 
 緑頭の木刀が、フルスイングで少女を両断する。柔らかな17歳の肉体が、凶悪な木の暴打に嬲られる音。背骨が奇妙な悲鳴をあげる。天を向いた七菜江の口から、火山の噴火のように、吐血が空中を赤く染める。
 鳩尾に鉄パイプ。反っていた七菜江の肢体が、今度は逆に折り曲がり、潰された腹を押さえて苦悶に震える。
 傍らに立つ大男。激痛に囚われた少女は気付かない。両手を組んで振り上げる。手斧は少女の儚げな首筋に叩きこまれる。
 モノのように叩き伏せられる少女。その健康的なプロポーションが衝撃でバウンドする。ピクリピクリと断末魔に震えるのみ。
 うつ伏せに倒れた少女を、6人の男が囲む。動けぬ七菜江を蹴りまくる。蹴る。踏む。潰す。
 金髪の大将・武志が右手を挙げる。それを合図に処刑が止まる。
 肩を蹴って、惨めな獲物を仰向けに起こす。全身を腫れあがらせた、無残な七菜江の残骸がそこにはあった。埃まみれの青いカラーを鷲掴み、両手の力で、崩壊した肢体を吊り上げる。ガクーンと垂れた手足が、ブラブラと力無く揺れる。
 
 「あははははは♪ やった、やった! そのカッコイイ身体を、もっとちりに見せてぇ~!」
 
 武志が壊れた物体を、投げる。ドチャリと黒机に落ちる、七菜江という物。文字通り、大の字にその痣だらけの肉体を晒す。
 近寄る女豹がまじまじと生贄の品定めをする。
 横になっても崩れない形の良いバスト。部活で鍛えた締まったウエスト。膝上までの少し短めのスカートから、ちょっと太めの太股が覗く。シャツも短めにしているのだろう、水色のブラが見えるまでに捲くり上がっていた。
 
 「あんたもけっこう不良じゃないのぉ? こんな短い制服・・・パンツなんか見えそうじゃない」
 
 スカートを無遠慮に捲くる。ピンク縞のパンティが、男どもの股間を刺激する。
 
 「でも、ホント、いい身体よね~~、ちり、オッパイちっちゃいから羨ましいわぁ。こんなヤラシイ身体の持ち主は・・・・お・し・お・き♪」
 
 四人の不良が七菜江の四肢のひとつづつを抑えつける。実験室の学習机は、拷問の拘束台へと早代わりする。
 猛獣の爪がセーラー服に掛けられる。
 一気に引き裂く。服と下着だけが、キレイに切られ、左右に落ちる。
 少女の白い丘陵がふたつ、白日の下に曝け出される。
 誰かがツバを嚥下する音が、異様に響く。
 
 「・・・・や・・・・・やめろ・・・・・・・」
 
 意識の遠のいていたはずの少女が、己の身に襲いかかる悪夢に気付き、掠れた声を絞り出す。
 手足に力を込める。ビクとも動かない現実が、少女を嘲笑う。反撃をしようとするには、あまりにも七菜江は私刑を受けすぎた。傷つきすぎた体では、『エデン』の超身体能力を持ってしても、7人の処刑者相手に逆襲することは不可能だった。
 
 豹の爪が、七菜江の桜色の突起物を摘まむ。ビクリと反応する七菜江。優しく、突起をこね回す。爪の先で突き、折り、撫でて・・・また、ゆっくりと回す。時には、乳房全体を包み込むように、撫で上げ、頂点を弄る。知らず、七菜江の口から、吐息が洩れる。
 
 「うッ・・・・・くぅッ・・・・・・ううぅッ・・・・・・・」
 
 「ふふふ。我慢しても無駄、無駄。ちりはねぇ、男に飽きちゃったから、最近女をイカセルのに凝ってんのよね・・・・・あんた、こんなに身体固くして、経験ないでしょォ? こういうのって、赤子の乳首を捻る・・・っていうのかなァ~・・・・」
 
 急激に摘まんだ桜の突起を、折り曲げる。
 
 「!! あふうぅッッ!!」
 
 「あ~~、ゴメン、“乳首”じゃなくって、“手”だっけぇ~~? まあ、いいや。こんなふうにィ~、あんたごときはァ~、自由自在に喘がせちゃうわけ。ほらほら、気持ちいいでしょオ~~?」
 
 豹の愛撫が早さを増す。七菜江の先端はコリコリと固くなり、埋もれていた蕾が、尖ってくる。
 
 「あふうッ!・・・・ああッ・・・・・くうぅぅッ・・・・・うぐうッ!・・・」
 
 七菜江の息が荒い。切なげに腫れた顔を左右に振るが、悦楽の檻からは逃れられない。腫れて塞がった眼に、涙が浮かぶ。
 
 “く・・・くやしいィッッ!! あ、あたし、遊ばれてる・・・・・あたしの身体が遊ばれてる・・・・・ホントなら・・・・こいつらなんかに負けないのにッッ!!”
 
 「ふふふ、悔しそうねぇ~。でも、体は正直みたい。ほら、濡れてきてんじゃないのォ~~?」
 
 豹の左手が下半身の繁みに伸びる。その意味を悟った七菜江が必死で身を捩るが、わずかに腰が揺れるのみ。嫌悪に歪む美少女の表情が、豹柄の魔女の嗜虐心をより一層刺激する。
 
 「嫌がってる、嫌がってる・・・・・カワイイわぁ、他人に触られたことなんて、ないんでしょうねぇ~~・・・・」
 
 ネイルアートの施された毒々しい爪が、ピンク縞のパンティの上から、少女の聖域に触れる。しっとりとした感触が、派手なコギャルの指先に伝わる。
 
 「ほォ~らッ! やっぱり感じてるじゃないのォ~! ていうか、ビショビショオオォォ~~!! あんた、感度良すぎんじゃないのォ? あんたみたいに爽やかに、スポーツしてますって顔してる女、ちり、大ッキライなのよねえッ! ホントはこォ~~んなに淫乱なのにィ~! ほらほら、もォ~ッと喘げよォ~! よがり狂わせてやるからなッ!」
 
 ちゆりの指が、下着の生地をナイフのように突き破る。最後の防御線を破られ、少女の悲鳴を挙げる七菜江。構わず指は、七菜江の最も大事な部分に侵入する。中指と、人差し指。二本のナイフが秘所の奥へと突き進み、洞窟の襞を摩擦する。
 
 「ふやああああああッッッ!!!」
 
 絶望の叫び。七菜江の無垢な心が食い潰されていく。
 聖域の中で、豹が放った蛇が、蜜園を掻き乱す。コギャルの荒々しい言葉とは裏腹に、優しく、這いずる。見えないはずなのに、敏感な突起を、正確に突く。こねる。弄ぶ。意志に反して溢れる愛液が、淫靡な響きで流れていく。
 
 「あはあッッ!・・・・・うふうッッ!!・・・・・ああうッ!・・・・ううああ・あ・あ・・・あああッッ――ッッ!!」
 
 「気持ちいいでしょオ~~ッッナナエッッ!! 狂い死んでもいいのよオ! あんたの心、壊してやるよッッ!!」
 
 「あああッッ!!・・・・や・・やめてェッッ!・・・・あふうッッ!・・・・も・もう・・・・やめてェェ――ッッ!!」
 
 晒されている。最も見られてはならない、私の姿を。
 数百メートル離れた教室では、友達がノートを取っている学び舎で、私は男たちに胸を見られ、女にいいように弄ばれ、感じて喘ぐ声を聞かれ、快感に震える淫乱な本性を晒しているのだ。
 神聖な学校で、私は最も恥ずかしい遊戯に耽っている。
 耽らされている―――
 塞がった眼から、透明な雫がポロポロと落ちていく。
 乳房と秘所とを同時に、しかもかつてない感覚で責められ、少女の精神はたやすく限界に達していた。怨敵にたまらず哀願しているのもわからないほどに。
 
 「そうやって、初めっから、泣き喚いてりゃ、いいのよオ~~! でも、遅いわぁ。ああいう眼をちりに向けたバカは・・・・こ~~う」
 
 右胸を豹の爪が弄ぶ。空いた左胸をゴリラが握り潰さんばかりに、荒々しく揉みしだく。秘園の蜜を尽くさんと、蛇が襞を嬲り尽くす。少女の一番敏感な弱点が見抜かれ、全く違う強さ・温度・柔らかさ・早さで、三点を暴風雨のように責めたてられる。熱い疼きが、3箇所で七菜江の性をドロドロに溶かしていく。
 狂ったようにかぶりを振る七菜江。四肢を抑える男どもが、暴れる力で浮き上がる。腰が反り、背中の下に空間を作る。全身を貫く快感に、細胞が暴れ舞う。
 
 “熱いィィ――ッッ!! 体が溶けるぅぅッッ――ッッ!! 痺れるぅぅッッ――ッッ!! ダメッッ! あたし、ダメェェ――ッッ!! 狂うッッ!! 溶けるッッ!! 指を抜いてッッ! お願いッッ! もうやめてッッ!! うあああッッ!!うあああああああッッ―――ッッッ!!!”
 
 内圧が、爆発する。
 ニヤリと凄惨な笑みを浮べる豹柄のコギャル。
 ビクンッッ・・・と大きく痙攣し・・・・・七菜江の悶絶が止む。
 涙がまた、一雫。
 ズボリ・・・と聖なるクレバスから、二本の指を引きぬくちゆり。
 外れた栓から、白い愛液が、トロトロと溢れ出る。
 粘り気のある液体に濡れそぼった鋭い爪を、神崎ちゆりは液体の噴出者である17歳の女子高生の顔で拭く。
 吐血と涙と汗と失神の泡と・・・多くの分泌物に薄汚れた可愛らしい顔に、今度は愛液が重ね塗られる。
 
 「藤木七菜江・・・・・・ハズレだったけど、ちりは気に入っちゃったわぁ。もっと、もォ~ッと、遊んだげるぅ♪」
 
 「・・・・・・・・」
 
 「あらぁ? ま~だ意識あったのォ? ホ~~ントにしぶといコねェ! なに、なに言ってんのォ? もっと大きな声で言ってみなって」
 
 チャラチャラとイヤリングが鳴る耳を、血のこびりついた少女の口元に寄せる。心身ともに切り刻まれた少女が、微かに吐息に言葉を乗せる。
 
 「・・・・・・神崎・・・・・・ち・・ゆ・・り・・・・・・・ゼッ・・・・・タイ・・・・・・・・・ゆ・・・る・・・さ・・・・・・・・な・・・・・・・い・・・・・・・・・」
 
 ペッと吐いた唾が、ちゆりのサングラスに当たる。
 虚ろな瞳が、ぼんやりと、しかし激しく「闇豹」を睨む。
 
 「こ・・・・のォッ・・・・・・・・クソ生意気なメスネコがああッッッ!!!いつまでも調子に乗ってんじゃあねえぞオッッッッッ!!!!!」
 
 サングラスの向こうに透けていた笑い皺が消える。薄ら笑っていた金のルージュが咆哮する!
 眠っていた「闇豹」の獣性が、イカれた魔女の本性が目覚める。

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