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73、姉妹虜囚
しおりを挟む「フヒョッ、ヒィーヒッヒッヒッ!! まずはヌシの『純血』、たっぷり搾り取ってくれるわいッ!!」
「なあ、ボクからやっていいよね? これまでさんざん、遊ぶの我慢してやったんだからさ」
台詞が終わるより早く、おかっぱ頭の少年が宙吊りのオメガヴィーナスの前に出現する。
身長1mほどの〝覇王”絶斗の目の前には、ちょうど〝オーヴ”のロープが食い込んだ股間があった。天妖の狙いはそこではなかった。振り上げた腕が、届く位置。オメガヴィーナスの右の脇腹。
紫水晶のナイフが埋まったそこに、絶斗の爆撃のような左フックが渾身の力で叩きこまれる。
ドギャアアアアッ!!! ブシュブシュブシュッ!!
「んぶう”う”ッ!! ウアアアア”ア”ア”ッ―――ッ!!!」
「あははははッ!! いい悲鳴じゃん! おい、簡単に喚くなよ、オメガヴィーナス。たかが脇腹の肉が、紫水晶でズタズタに切り裂かれただけだろ? 光女神とかいうなら、これくらい我慢しろって」
ドギャアアッ!! ドオオオッ!! ズドオオオッ!!
繰り返し、絶斗の拳がオメガヴィーナスの右脇腹に埋まる。
そのたびに紫水晶の短剣のような破片が、内部で動いてザクザクと切り裂く・・・だけでは済まなかった。オメガ粒子を消耗した状態で、絶斗の打撃を喰らうのだ。
天音の右の肋骨が、粉々に砕けていく。折れた破片が、また脇腹の内部で、他の臓器に突き刺さる。
「あぎゅう”ッ!! ふぐうう”う”う”ぅ”ッ~~~ッ!! カハァ”ッ・・・!! ぐああああ”ア”ア”ア”ッ――――ッ!!!」
(く、砕けッ・・・!! アバラ、がァッ・・・!! グチャ、グチャにィッ――ッ!! ・・・)
絶叫するオメガヴィーナスの口から、鮮血の飛沫が撒き散らされる。
あまりの苦痛に、意識が飛び掛かる天音。その虚ろな視界に、緑に輝く十字状の穂先が映る。
〝オーヴ”の戟を振り上げた〝無双”の虎狼は、反対側の脇腹・・・左のアバラに一閃を打ち込んだ。
横薙ぎの斬撃が、容赦なくオメガヴィーナスの左脇腹に埋まる。ボキャアアアッ!! と凄惨な破壊の音が響く。
「ウアアアア”ア”ア”ッ―――ッ!!! ガッ・・・!! ア”ッ・・・!! ごぶう”ぅ”ッ!!」
苦悶に歪む美貌の口を割って、大量に噴き出す吐血の塊。
絶斗と虎狼。パワーの点で六道妖の双璧である二体が、左右からオメガヴィーナスの脇腹を潰す。天妖は笑いながら。修羅妖は黙り込んで。幾度も幾度も、拳と戟を叩きこむ。
よく締まった乙女の肉に、豪打と武具が埋まる音色。
密着した白銀のスーツに浮かんだ天音のアバラ。うっすらと腹筋に覆われた肋骨が、原型を留めぬほど粉砕されていくのがわかる。オメガヴィーナスの左右の脇腹は、ボコボコと凹んでしまっていた。
ブジュッ!! ゴビュウッ!! グジュウッ!! ・・・
仰け反った天音の口から、凶撃が埋まるたびにドス黒い血が噴き出る。
最強の破妖師と恐れられた光女神が、いまや血の詰まった肉袋のようであった。妖化屍に殴打されるたび、惨めに鮮血を噴き出す。なんの抵抗を示すことなく、くびれたウエストをいいように潰され続ける。
天を仰ぎ、無言のまま、噴水のように赤い血を上空へ撒き散らすオメガヴィーナス。
白銀のスーツに、破られて半分以下になった紺青のケープに、深紅が点描されていく。
「もう内臓もグジュグジュだろうに・・・よく耐えるのう、オメガヴィーナスッ!? 〝オーヴ”を喰らい続けたヌシは、肉体も相当脆くなっておるはずじゃが?」
「ウヒッ・・・ゲヒヒヒィ・・・おい骸頭ぅ~・・・笑わせるなよぉ、なんだか壮大な勘違いしてるねぇ~・・・」
光女神の肩付近に堆積していた灰色のヘドロが、腕の形に変形する。グニュグニュと、長く伸びていく。
プラチナブロンドのセミロングを鷲掴むと、呪露の手は天音の顔をグイと引き起こした。
「とっくに失神してるよぉ~、こいつは・・・痛みと苦しさに耐え切れなくてねぇ・・・クヒヒ、もうオメガヴィーナスも・・・そこらの女と大差ないなぁ~・・・脇腹潰される苦しさに、四乃宮天音は完全ノックアウトさぁ~・・・」
引き起こされた天音の顔は、溢れる涙で濡れ光っていた。
瞳は完全に裏返り、白目を剥いている。開いた唇からは、ブクブクと鮮血混じりの泡が次々とこぼれ出ていた。
「ヒョホホホ・・・鋼の肉体を持つオメガヴィーナスも・・・いよいよ我らの手で破壊できるほどになってきたのうッ!」
「いいザマッ・・・オホホホッ、だらしないその表情、妹にも見てもらうといいッ・・・ほら、よく見てごらん! 苦しすぎて、お前の自慢の姉は、涙流して気を失ってるよッ!?」
逃げろと言われたのとは反対に、少しでも姉に近付こうと、郁美は懸命に床を這っていた。
〝妄執”の人妖にとっては、この妹も是が非でも処刑したい憎悪の対象であった。緩慢に動く背中を踏みつける。セミロングの茶髪を掴み、ムリヤリ顔を反りあがらせる。
「うああ”っ・・・! ・・・おっ・・・姉ちゃ・・・ッ!!」
「安心するがいい。お前もすぐに、地獄に落してやるからねェ。姉妹一緒なら寂しくないだろう?」
オレンジの髪が網のように広がる。強引に立ち上がらせた郁美の身体に絡みついていく。
白黒ボーダーのTシャツと純白のミニスカに包まれた女子大生に、オレンジの髪はぐるぐると螺旋を描いて巻き付いた。両腕ごと巻き付かれ、自由を封じられる。
「んああ”ッ・・・!! あああ”ッ~~ッ!!」
「フフフッ・・・!! 姉の最期を、オメガヴィーナスが死んでいく様子を、よく見るんだよッ! 守るべき者の目の前で殺される・・・四乃宮天音にとって、こんな苦痛はないだろうからねェッ!!」
縄目を受ける罪人のごとく、緊縛されたオメガヴィーナスの妹。
郁美の白い咽喉に、縛姫はさらにオレンジ色の縄を絡ませた。縄は、髪が束となって出来たものだった。虜囚の女子大生を、縛姫の髪で作った縄が意志を持つようにグイと吊り上げる。
ギリギリ、爪先が届く高さまで、郁美の身体が宙に浮く。
窒息寸前で止められる絞首刑に、光女神と同じ造りの美貌が引き攣った。苦しさと恐怖、そして絶望。押し寄せる感情に、勝ち気な乙女の瞳に涙が浮かぶ。
「ふぐう”う”ッ!! うぐうう”う”ッ――ッ!! ・・・うああ”、ああ”ッ――ッ!!」
「楽しそうなことしてるなぁ~、縛姫・・・オレも混ぜてくれよう~・・・」
オレンジ網で捕縛された郁美の下半身に、灰色の泥が付着していく。
空気中に散乱していた呪露の粒子が、おいしそうな獲物に気付いて集まってきているのだ。粉塵になっても動き続ける〝流塵”のバケモノは、四乃宮家の姉妹をふたり同時に愛撫しようとしていた。
「天音は大人気だからさぁ~・・・絶斗や虎狼のヤツが占領しちゃうんだよねぇ~・・・これだから腕力自慢のヤツは困るってんだ・・・まあ、いいやぁ~、オレはコッチで遊ばせてもらうぜぇ~・・・」
緊縛によって、形と大きさが強調された乳房に、Tシャツの上から泥が重なっていく。
ミニスカの奥、ピンク色のショーツが包む股間にも。数時間前、大量の蛆虫に愛撫された敏感なポイントを、今度はヘドロが犯し始める。
生温かく、湿った粘液が、乳首と陰唇に生地越しに吸い付く。
ズリュズリュと、蠢く音色。電撃のような痺れが、3点から郁美の脳髄に送り込まれた。
「っあ”・・・!! んあ”はっ・・・!! くッ、ぅ”ッ・・・!!」
「ゲヒヒッ・・・!! 耐えようとしているのかい? ・・・カワイイねぇ、郁美ちゃ~ん・・・大好きなお姉ちゃまに・・・心配かけたくないってわけだぁ~?」
プラチナブロンドの髪を掴んだ灰色の腕が、グラグラと天音の美貌を揺さぶる。白目を剥いた瞳から、涙の飛沫がこぼれ落ちた。
「おい、オメガヴィーナスぅ~・・・目を覚ますんだよぉ~・・・お前の大事な大事な郁美ちゃんが・・・バッチいヘドロでドロドロにされてるぞぉ~・・・って泥はオレの身体だったか。ゲヒッ、ヒヒヒィッ!」
失神しているオメガヴィーナスは、目の前で行われている妹への凌辱に気付いてはいなかった。気付くはずもないのだ。くびれたウエストを潰された光女神は、無惨に気絶しているのだから。
「なぁ、郁美ちゃ~~ん・・・情けないオメガヴィーナスを・・・お前の声で起こしてやってくれよぉ~・・・とびきりエロイ・・・若さあふれる、女子大生の喘ぎ声でさぁ~・・・」
「ぐッ・・・うぅ”っ・・・ん”っ・・・!!」
「ムダムダぁ~・・・ほれ、叫べ・・・『お姉ちゃまぁ~、わらし気持ちいいれすぅ~♪』って教えてあげるんだよぉ~・・・」
グチュウ・・・ちゅぶぅ・・・ジュボオオ・・・
郁美の乳房と股間とに張り付いた灰色の泥が、激しく波打つ。
乳首と陰唇、さらにクリトリスとが、絶妙な柔らかさのヘドロに揉まれ、吸われ、こね回された。脳天に突き刺さるような激感。
押し寄せる快楽の波状攻撃に、縄で縛られた女子大生はたまらず仰け反った。
「んくう”ッ!! ・・・ぅ”ッ・・・ア”ッ・・・!! あはあ”っ・・・ぐッ!!」
艶めかしい絶叫が迸るのを、懸命に郁美は抑えた。
歯を食い縛って耐える。ここで叫べば、六道妖の思惑通りだ。妖化屍どもは徹底的にオメガヴィーナスの心身を痛めつけようとしている。私が苦しむ姿を見せれば、より天音を傷つけることになってしまう。
「・・・んん~? ・・・なかなか強情なヤツだなぁ~・・・ほれほれムダだって・・・」
性感地帯に張り付いた泥が、細かく、激しく震動する。
処女である郁美にとって、経験のない悦楽の津波が、脳と子宮に襲いかかる。
「ん”ッ!! ・・・んふぅ”ッ・・・!! んん”ん”ぅ”っ~~・・・ッ!!」
ビクビクと痙攣する、美しき女子大生。
それでも嬌声を抑えつける郁美に、近づいたのは地獄妖の骸頭だった。
「〝百識”と呼ばれる儂の脳には、あらゆる知識が詰まっておる。肉欲を促進させる術などは、得意中の得意でのう・・・」
皺だらけの顔が不気味に吊り上がる。落ちくぼんだ眼は、ほとんど皺に紛れてわからなくなった。
魔術師を思わせるローブのなかから、骸頭が取り出したのは古めかしい壺だった。
「特製の精力強壮剤じゃ。マカ、まむし、オットセイの睾丸、すっぽんの生き血、冬虫夏草、シベリア人参、ムイラプアマ、牡鹿の若角・・・ありとあらゆる〝元気”が出る成分を混ぜ合わせておる。とびきりの秘薬ゆえ、滅多に使わんのじゃが・・・今宵は特別じゃわい」
郁美の顎を鷲掴むと、壺を近づけ傾けた。
壺の口から、こじ開けた郁美の唇へ。ドブ水のような、濁った黒い液体が流し込まれる。
抵抗しようにも無駄だった。鼻にも逆流するほど、口腔いっぱいに秘薬を注がれてはたまらない。性欲促進の興奮剤が、郁美の咽喉を通っていく。ゴブゴブと咳き込むたびに、溢れ返った墨汁のような液体が、緊縛された肢体を胸元から濡らしていく。
「ヒョッホッホッホッ!! 一応教えておくがのう、吹きこぼさぬ方が身のためじゃぞ? この強壮液は皮膚からも沁み込むからのう! 乳首などに直接付着したら・・・感度が鋭くなりすぎて、おかしくなってしまうぞッ!」
「うくう”ぅ”ッ――ッ!! ぐっ、うう”ぅ”っ・・・!! んああ”っ・・・!!」
「この強壮興奮液・・・別名を『ケガレ殺し』といってのう。なぜなら、ゾンビどもに与えると・・・射精してしまうんじゃあよぉ~ッ、昂りすぎてのう! 死体のくせに精力出し尽くすから、粉々に枯れてしまうのじゃッ!! 生きてる人間なら、なおのことたまらんだろう?」
愉快げな骸頭の台詞も、もはや郁美には満足に聞こえていないようだった。
大きな瞳をさらに見開き、美しき乙女は歯を食い縛っていた。腰が前後に、もぞもぞと揺れている。
『ケガレ殺し』の秘薬の効果は、すみやかに発揮されていた。歯を噛んでいなければ、嬌声が漏れるのを抑えられない。ジュンっ、と下腹部がアツくなり、股間の奥から蜜が分泌されているのがわかる。
(ア、アツ・・・アツいぃ~~っ・・・!! ち、乳首・・・触らない、でぇっ!! ・・・ア、ソコが・・蕩け・・・ちゃうぅ・・・っ!! こんな、こんなのっ・・・!! おか、おかしくぅっ~~ッ・・・!!)
骸頭の台詞に、ウソはなかった。
Tシャツを濡らした液体のせいで、胸が異常に敏感になっている。郁美の内部で、女の壺が沸騰しているかのようだ。
半ばミイラ化したアンデッドのケガレですら、強制的に興奮させられた結果、射精するというのも恐らく誇張ではない。
「んひう”ッ、んぶう”ぅ”っ・・・!! ひぐうう”う”っ――ッ!! んへあ”あ”っ・・・!!」
噛み締めた白い歯の間から、ブクブクと泡がこぼれる。
続けて、切なげな嬌声が、抑えられずに漏れ始めた。肉悦に敗れた女子大生の本格的なヨガリ声が、桜色の唇から迸りかけている。
「ウヒヒヒヒぃ・・・無駄だって言ってるだろぉ~~・・・!」
ずりゅりゅりゅ・・・
呪露の泥が、乳首と股間をすりあげるのがトドメとなった。
「へああ”あ”っ!! んはああ”あ”あ”ア”ア”ァ”っ――ッ!! ひゅぎゃああ”あ”ア”ア”っ~~っ!!!」
艶やかで、悲痛でもある郁美の絶叫が、教会全体を揺るがした。
ぶじゅう”ッ!! と股間で響く、スプラッシュ音。半透明な飛沫が、張りついたヘドロの隙間から激しく散布される。
「ヒョホホホホッ――ッ!! 先程あれだけ蛆虫どもに責められて・・・まだそれほどの愛蜜が残っていたか、オメガヴィーナスの妹よ! ほれい、気持ちよかろう? とっておきの秘薬を使ってやったのじゃ、もっともっとヨガリ狂うがよい」
「ひゃぶうう”う”ッ!! んああ”ア”ッ、アア”ア”ッ~~~ッ!!! こわれへぇッ、壊れえぇ”ッ~~ッ!! こわれちゃうう”ぅ”っ~~~ッ!! んあはア”っ、アハア”ア”ア”ァ”ッ――ッ!!」
涙も、涎も、愛液も。あらゆる体液を撒き散らして、悶え暴れる虜囚の女子大生。
凄惨な叫び声に、緑のロープで亀甲縛りにされた白銀のヒロインが、ピクリと目蓋を震わせる。
「・・・・・・い・・・く、み・・・・・・ッ・・・? ・・・」
うっすらと、アーモンド型の瞳を開けていくオメガヴィーナス。
肋骨を無惨に砕かれ、内臓をズタズタに切り裂かれた光女神は、ついに意識を取り戻した。妹の悲鳴に呼ばれるかのように。
全ては、六道妖の計画通りに進んでいた。
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