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主任×私×これから
ストーリー39
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「蓮さん、久々に悩殺フェロモンが発動してたよ」
社内イベントが終わる頃には、外はすっかり夜になっていた。貸切バスから降りると私は早々と帰宅し、今は蓮さんの部屋で二人で晩酌をしているところだ。
「悩殺フェロモン? また訳わからない事を。それよりも庶務課の中では、美織と高成が付き合っていると思われているのか?」
ビールを飲みながら、蓮さんはじぃっと私を見てくる。
「付き合ってないって否定するんだけど、何故か信じてもらえないんだよね」
「何度美織と付き合っているのは俺だって言いかけたか」
「あっヤキモチ?」
「うるさい。それよりも美織は俺に説明する事があるんじゃないか?」
蓮さんはビールの入ったグラスを持って私の隣に座りなおし、ドS満載の笑顔で私の顔を覗き込んできた。
私はギクッと思いながらそろっと蓮さんから視線を逸らす。説明って私の彼氏がスタイル抜群の女性が好きってやつだよね。やっぱり覚えてたか。
「あっあのね。あれは私が妄想を呟いただけで話が広がっちゃって……」
「へぇ、妄想って?」
蓮さんはテーブルに肘をつき、笑みを浮かべて詳しく聞いてくる。お酒のせいで妖艶な視線が私に向けられ、胸のドキドキが増してきた。
はぁ、ダメだ。もう全部話しちゃうか。
「蓮さんの周りにはスタイル抜群の綺麗な女性ばかりいて、蓮さんの中ではスタイル抜群の女性が普通なんだろうなって……だから、あのクリスマスに私の身体を見て……幻滅したんじゃないかなって思ったの」
「はぁ?」
私の話を聞いて、蓮さんは思いっきり呆れたような表情をした。
少しの沈黙の後、蓮さんは私の肩を抱きグイッと自分の方へ引き寄せる。
「お前は馬鹿か。そんな訳ないだろう。俺はいつでも今でも美織を抱きたくて仕方ないのに」
「だってクリスマス以降、全然私に触れてくれないし」
私が蓮さんの顔を見ると、蓮さんの唇が私の唇に触れた。
「それは……俺がビビってたからだ」
唇が離れると、蓮さんがそう呟いた。
「ビビったって何に?」
私が聞き返すと蓮さんは私から手を離し、前髪を搔き上げるような仕草をする。そして少し照れを隠すような表情で話し始めた。
「……美織を抱いた次の日に別れようと言われて、それが元彼のせいだと分かっても、もしかして本当は身体の相性が良くないっていうか、俺が下手過ぎて嫌気がさしたんじゃないかって思うと……怖くて手が出せなかったんだ。また美織が別れようと言い出すんじゃないかって」
えっ……蓮さんそんな事思ってたの? 全然違うのに。
「何で……全然気持ち良かったよ?私、嬉しかった」
私は勢いよくパッと蓮さんの顔を見て、思わず口走る。そして言った後に自分の言った言葉が恥ずかしくなり、顔が赤くなった。
再び沈黙のち、蓮さんの力強い真っ直ぐな視線が私を捉えて離さない。
「そんな事言われたらもう止まらないからな。今日は帰るって言うなよっていうか帰さない」
「うん」
私達はしっかりとお互いの唇に触れ合い、しばらく唇を重ね合った。
「……ベッドに行くか」
蓮さんの一言に小さく頷きベッドへ移動する。私は何だか緊張し過ぎて思わずベッドの上に正座してしまった。
「どうした美織。緊張してるのか?」
妖艶な視線のまま蓮さんは私の髪を撫でる。もう私の心臓は爆発寸前だ。私は無言のまま蓮さんの胸に顔を埋め腕を回した。
蓮さんはそのまま私をぎゅっと抱きしめる。そしてまた唇を重ね、気がつくと私はベッドに押し倒された格好になっていた。
「このネックレス、いつもつけてくれているのか」
「もちろん。だって大切なものだから」
クリスマスプレゼントに蓮さんから貰ったネックレス、いつも肌身離さず身につけている。そのネックレスを手で触り、蓮さんは嬉しそうな表情をしていた。
「美織、俺は絶対に美織を裏切らないから……信じてろ」
「うん」
私はこれからもやっぱりヤキモチを妬く場面がたくさんあると思う。だって蓮さん素敵過ぎるから綺麗な女性がたくさん近寄ってくるし。でも、蓮さんの言葉をいつも信じよう。
愛を重ねながら私はそう思った。
「……ん、あれ……私また寝ちゃった?」
気がつくとふかふかの布団が私の上に被さっている。ボーっとしながら隣を見ると、至近距離に蓮さんの顔がありビックリして思いっきり目が覚めた。
「ふふ、蓮さん疲れてたのかな」
今日は社内イベントもあったし疲れたのだろう。私の隣で相変わらず整った顔して寝ている。しばらく寝顔を堪能して幸せを噛み締めた。
「……悪い。俺、寝てたか?」
30分くらい経った頃、蓮さんは目を覚ましボーっとしながら私の顔を見る。
「うん。疲れた?」
「いや、美織が隣にいるから疲れも吹き飛んで心地良過ぎたから気が緩んだのかもな」
そう言って蓮さんは腕枕をしている手で私の頭を撫でる。その蓮さんの手に私は自分の手を絡ませ、ぎゅっと握りしめた。
「蓮さん」
「ん?」
「私、蓮さんの事……大好き」
私は笑顔を見せる。すると蓮さんは私をぎゅっと抱きしめてきた。
「俺も好きだよ」
そう囁いて唇を重ねる。こうして私達の長い夜はまだまだ続くのだった。
社内イベントが終わる頃には、外はすっかり夜になっていた。貸切バスから降りると私は早々と帰宅し、今は蓮さんの部屋で二人で晩酌をしているところだ。
「悩殺フェロモン? また訳わからない事を。それよりも庶務課の中では、美織と高成が付き合っていると思われているのか?」
ビールを飲みながら、蓮さんはじぃっと私を見てくる。
「付き合ってないって否定するんだけど、何故か信じてもらえないんだよね」
「何度美織と付き合っているのは俺だって言いかけたか」
「あっヤキモチ?」
「うるさい。それよりも美織は俺に説明する事があるんじゃないか?」
蓮さんはビールの入ったグラスを持って私の隣に座りなおし、ドS満載の笑顔で私の顔を覗き込んできた。
私はギクッと思いながらそろっと蓮さんから視線を逸らす。説明って私の彼氏がスタイル抜群の女性が好きってやつだよね。やっぱり覚えてたか。
「あっあのね。あれは私が妄想を呟いただけで話が広がっちゃって……」
「へぇ、妄想って?」
蓮さんはテーブルに肘をつき、笑みを浮かべて詳しく聞いてくる。お酒のせいで妖艶な視線が私に向けられ、胸のドキドキが増してきた。
はぁ、ダメだ。もう全部話しちゃうか。
「蓮さんの周りにはスタイル抜群の綺麗な女性ばかりいて、蓮さんの中ではスタイル抜群の女性が普通なんだろうなって……だから、あのクリスマスに私の身体を見て……幻滅したんじゃないかなって思ったの」
「はぁ?」
私の話を聞いて、蓮さんは思いっきり呆れたような表情をした。
少しの沈黙の後、蓮さんは私の肩を抱きグイッと自分の方へ引き寄せる。
「お前は馬鹿か。そんな訳ないだろう。俺はいつでも今でも美織を抱きたくて仕方ないのに」
「だってクリスマス以降、全然私に触れてくれないし」
私が蓮さんの顔を見ると、蓮さんの唇が私の唇に触れた。
「それは……俺がビビってたからだ」
唇が離れると、蓮さんがそう呟いた。
「ビビったって何に?」
私が聞き返すと蓮さんは私から手を離し、前髪を搔き上げるような仕草をする。そして少し照れを隠すような表情で話し始めた。
「……美織を抱いた次の日に別れようと言われて、それが元彼のせいだと分かっても、もしかして本当は身体の相性が良くないっていうか、俺が下手過ぎて嫌気がさしたんじゃないかって思うと……怖くて手が出せなかったんだ。また美織が別れようと言い出すんじゃないかって」
えっ……蓮さんそんな事思ってたの? 全然違うのに。
「何で……全然気持ち良かったよ?私、嬉しかった」
私は勢いよくパッと蓮さんの顔を見て、思わず口走る。そして言った後に自分の言った言葉が恥ずかしくなり、顔が赤くなった。
再び沈黙のち、蓮さんの力強い真っ直ぐな視線が私を捉えて離さない。
「そんな事言われたらもう止まらないからな。今日は帰るって言うなよっていうか帰さない」
「うん」
私達はしっかりとお互いの唇に触れ合い、しばらく唇を重ね合った。
「……ベッドに行くか」
蓮さんの一言に小さく頷きベッドへ移動する。私は何だか緊張し過ぎて思わずベッドの上に正座してしまった。
「どうした美織。緊張してるのか?」
妖艶な視線のまま蓮さんは私の髪を撫でる。もう私の心臓は爆発寸前だ。私は無言のまま蓮さんの胸に顔を埋め腕を回した。
蓮さんはそのまま私をぎゅっと抱きしめる。そしてまた唇を重ね、気がつくと私はベッドに押し倒された格好になっていた。
「このネックレス、いつもつけてくれているのか」
「もちろん。だって大切なものだから」
クリスマスプレゼントに蓮さんから貰ったネックレス、いつも肌身離さず身につけている。そのネックレスを手で触り、蓮さんは嬉しそうな表情をしていた。
「美織、俺は絶対に美織を裏切らないから……信じてろ」
「うん」
私はこれからもやっぱりヤキモチを妬く場面がたくさんあると思う。だって蓮さん素敵過ぎるから綺麗な女性がたくさん近寄ってくるし。でも、蓮さんの言葉をいつも信じよう。
愛を重ねながら私はそう思った。
「……ん、あれ……私また寝ちゃった?」
気がつくとふかふかの布団が私の上に被さっている。ボーっとしながら隣を見ると、至近距離に蓮さんの顔がありビックリして思いっきり目が覚めた。
「ふふ、蓮さん疲れてたのかな」
今日は社内イベントもあったし疲れたのだろう。私の隣で相変わらず整った顔して寝ている。しばらく寝顔を堪能して幸せを噛み締めた。
「……悪い。俺、寝てたか?」
30分くらい経った頃、蓮さんは目を覚ましボーっとしながら私の顔を見る。
「うん。疲れた?」
「いや、美織が隣にいるから疲れも吹き飛んで心地良過ぎたから気が緩んだのかもな」
そう言って蓮さんは腕枕をしている手で私の頭を撫でる。その蓮さんの手に私は自分の手を絡ませ、ぎゅっと握りしめた。
「蓮さん」
「ん?」
「私、蓮さんの事……大好き」
私は笑顔を見せる。すると蓮さんは私をぎゅっと抱きしめてきた。
「俺も好きだよ」
そう囁いて唇を重ねる。こうして私達の長い夜はまだまだ続くのだった。
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