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お酒のせい……ですか?
ストーリー14
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会社の前に着いた。改めてビルを見上げる。
『進藤コーポレーション』
今、急成長を遂げている企業らしい。大企業と呼ばれる日も近いとか。そんな企業のトップに立つ社長とお知り合いになるとは、人生何が起きるか分からないものだ。
それにしても、入り口で待っているはずの高瀬さんの姿はない。
「会社の前で待ってるって言ってたよね」
辺りを見回してみるがやっぱり居ない。
どうしよう。
ここで待ってたらいいのかな?でも急ぎでって言ってたしなぁ。
「よし」
私は勇気を出して会社ビルの中へ入った。そして受付嬢のところへ足早に歩く。
「あ、あの…秘書課の高瀬さんをお願いしたいのですが……」
緊張して早口になってしまった。
「秘書課の高瀬……ですね。失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい。水沢と申します」
「それでは少々お待ち下さい」
受付嬢はどこかに連絡し始めた。
「お待たせ致しました。高瀬よりもう少し待ってて欲しいとの伝言を承りました。よろしければあちらのソファーでお待ち下さい」
「はい、ありがとうございます」
私は入り口横にあるソファーのところに移動してちょこんと座る。
「すみません。お待たせしました」
しばらく座って待っていると、高瀬さんが小走りで私の元へ来た。
「いえ。あ、これで大丈夫ですか?」
私は立ち上がり、持っていた茶封筒の書類を高瀬さんに渡す。すると、高瀬さんは茶封筒の中を確認し始めた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございました。社長に渡しておきますね」
「よろしくお願いします」
「気をつけてお帰り下さい。本当でしたら車で送ってあげたいのですが、仕事がばたついてまして」
「いえいえ、気にしないで下さい。では失礼します」
私は笑顔で頭を下げ、その場を後にした。
PM15時
さて今日の夕飯はどうしようと考えていたその時、スマートフォンにメッセージが届いた。
『今日は早く帰るから夕飯頼む。それから、書類助かった。ありがとう』
進藤さんからだ。ありがとうって言われると嬉しいな。よし、夕飯作りも頑張ろう。
それから買い物を済ませて夕飯作りに入った。メニューは味噌汁に肉じゃが、ポテトサラダと庶民的なメニューにした。お洒落に洋風メニューにした方が良かったかな。
PM 19時
ーー ガチャ
玄関のドアが開く。進藤さんが帰って来たようだ。
「お帰りなさい」
ご飯の準備をしながらリビングに来た進藤さんに声をかける。
「あぁ。今日は悪かったな」
そう言いながら私のいるキッチンに顔を出した。
「食欲をそそる匂いだな」
私の後ろから肉じゃがを見て呟くと、そのまま自分の部屋へ入っていった。後ろに立たれるとまた昨日の夜の事を思い出してドキッとしてしまう。
食事の準備が出来た頃、部屋着に着替えた進藤さんがリビングに戻って来た。
「お口に合うか分かりませんが、召し上がって下さい」
茶碗にご飯を装って進藤さんの前に置く。
「お前の分は?」
「私は後から頂こうかと…」
「余計な気は使わなくていい」
「はい。じゃあ一緒に頂きます」
急いで私の分の食事の準備をする。そして進藤さんの前に座った。
「頂きます」
美味しくできたと思うけど、進藤さんの口に合うかな。ドキドキしながら進藤さんの顔をチラッと見てみる。
「美味いな」
そう言って肉じゃがをパクパク食べてくれている。良かった。
食事が終わると、進藤さんは立ち上がり部屋に戻ろうとした。
「悪いが部屋で仕事をするから、後でコーヒー持ってきてくれないか?」
「分かりました」
私が返事をすると、そのまま部屋に入っていった。
ーー コンコン
「失礼します」
食事の後片付けも終わり、進藤さんの部屋にコーヒーを持ってきた。
部屋の中に入ると、進藤さんは眼鏡をかけてパソコンの前で書類を見ながら仕事をしている。
「コーヒーをお持ちしました」
「悪いな」
そう言って私からコーヒーを受け取る。
「先に風呂入って今日はもう休んでいいぞ」
「はい。おやすみなさい」
私は挨拶をして部屋を出る。それにしても進藤さんはいつも通りだ。やっぱり昨日のキスは覚えてないな。
私も思い出すのをやめよう。進藤さんの部屋の横の壁にもたれながらそう思った。
そして金曜日の朝 ーー
私はいつも通り朝のコーヒーの準備をしていると、進藤さんがリビングにやってきた。
「おはようございます」
進藤さんの前に入れたてのコーヒーを置く。気のせいか、進藤さんの顔がいつもより更に険しいような気がする。
「今日は帰りが何時になるか分からないから、夜は自由にしていいぞ。明日も仕事は休みでいい」
「え……はい」
突然の休み。今日は接待でもあるのかな?
『進藤コーポレーション』
今、急成長を遂げている企業らしい。大企業と呼ばれる日も近いとか。そんな企業のトップに立つ社長とお知り合いになるとは、人生何が起きるか分からないものだ。
それにしても、入り口で待っているはずの高瀬さんの姿はない。
「会社の前で待ってるって言ってたよね」
辺りを見回してみるがやっぱり居ない。
どうしよう。
ここで待ってたらいいのかな?でも急ぎでって言ってたしなぁ。
「よし」
私は勇気を出して会社ビルの中へ入った。そして受付嬢のところへ足早に歩く。
「あ、あの…秘書課の高瀬さんをお願いしたいのですが……」
緊張して早口になってしまった。
「秘書課の高瀬……ですね。失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい。水沢と申します」
「それでは少々お待ち下さい」
受付嬢はどこかに連絡し始めた。
「お待たせ致しました。高瀬よりもう少し待ってて欲しいとの伝言を承りました。よろしければあちらのソファーでお待ち下さい」
「はい、ありがとうございます」
私は入り口横にあるソファーのところに移動してちょこんと座る。
「すみません。お待たせしました」
しばらく座って待っていると、高瀬さんが小走りで私の元へ来た。
「いえ。あ、これで大丈夫ですか?」
私は立ち上がり、持っていた茶封筒の書類を高瀬さんに渡す。すると、高瀬さんは茶封筒の中を確認し始めた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございました。社長に渡しておきますね」
「よろしくお願いします」
「気をつけてお帰り下さい。本当でしたら車で送ってあげたいのですが、仕事がばたついてまして」
「いえいえ、気にしないで下さい。では失礼します」
私は笑顔で頭を下げ、その場を後にした。
PM15時
さて今日の夕飯はどうしようと考えていたその時、スマートフォンにメッセージが届いた。
『今日は早く帰るから夕飯頼む。それから、書類助かった。ありがとう』
進藤さんからだ。ありがとうって言われると嬉しいな。よし、夕飯作りも頑張ろう。
それから買い物を済ませて夕飯作りに入った。メニューは味噌汁に肉じゃが、ポテトサラダと庶民的なメニューにした。お洒落に洋風メニューにした方が良かったかな。
PM 19時
ーー ガチャ
玄関のドアが開く。進藤さんが帰って来たようだ。
「お帰りなさい」
ご飯の準備をしながらリビングに来た進藤さんに声をかける。
「あぁ。今日は悪かったな」
そう言いながら私のいるキッチンに顔を出した。
「食欲をそそる匂いだな」
私の後ろから肉じゃがを見て呟くと、そのまま自分の部屋へ入っていった。後ろに立たれるとまた昨日の夜の事を思い出してドキッとしてしまう。
食事の準備が出来た頃、部屋着に着替えた進藤さんがリビングに戻って来た。
「お口に合うか分かりませんが、召し上がって下さい」
茶碗にご飯を装って進藤さんの前に置く。
「お前の分は?」
「私は後から頂こうかと…」
「余計な気は使わなくていい」
「はい。じゃあ一緒に頂きます」
急いで私の分の食事の準備をする。そして進藤さんの前に座った。
「頂きます」
美味しくできたと思うけど、進藤さんの口に合うかな。ドキドキしながら進藤さんの顔をチラッと見てみる。
「美味いな」
そう言って肉じゃがをパクパク食べてくれている。良かった。
食事が終わると、進藤さんは立ち上がり部屋に戻ろうとした。
「悪いが部屋で仕事をするから、後でコーヒー持ってきてくれないか?」
「分かりました」
私が返事をすると、そのまま部屋に入っていった。
ーー コンコン
「失礼します」
食事の後片付けも終わり、進藤さんの部屋にコーヒーを持ってきた。
部屋の中に入ると、進藤さんは眼鏡をかけてパソコンの前で書類を見ながら仕事をしている。
「コーヒーをお持ちしました」
「悪いな」
そう言って私からコーヒーを受け取る。
「先に風呂入って今日はもう休んでいいぞ」
「はい。おやすみなさい」
私は挨拶をして部屋を出る。それにしても進藤さんはいつも通りだ。やっぱり昨日のキスは覚えてないな。
私も思い出すのをやめよう。進藤さんの部屋の横の壁にもたれながらそう思った。
そして金曜日の朝 ーー
私はいつも通り朝のコーヒーの準備をしていると、進藤さんがリビングにやってきた。
「おはようございます」
進藤さんの前に入れたてのコーヒーを置く。気のせいか、進藤さんの顔がいつもより更に険しいような気がする。
「今日は帰りが何時になるか分からないから、夜は自由にしていいぞ。明日も仕事は休みでいい」
「え……はい」
突然の休み。今日は接待でもあるのかな?
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