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私の運命
ストーリー3
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「着きましたよ」
とあるビルの地下にある駐車場に着き、私と男性は車から降りた。
「ここから先は関係者っぽく装って私について来て下さい」
関係者っぽくと言われても、どうして良いのか分からない。
私はここの関係者……
私はここの関係者……
意味のない事だと分かっているが、自分に暗示をかけて関係者と思うようにした。
そんな私を見て男性はクスッと笑う。私は心の中で暗示をかけてたつもりだったが、どうやら声に出ていたようだ。
……恥ずかしい。私は頬を赤く染め、少し俯き加減で男性の後について行った。
地下の駐車場を出て外へ行くと、男性はビルの自動ドアから中へ入った。私はビルの大きさに思わず見上げる。
「うわぁ」
緊張しながらビルの中へ入ると、入った先にいる受付嬢の人の視線を感じたが、内心ドキドキしながら関係者を装い男性について行った。
男性はそのままエレベーターのところまでスタスタと歩き、エレベーターへ乗り込んだ。私も後に続いて乗り込むと、男性はそのまま最上階のボタンを押す。
エレベーターが上に進むたびに私の中の緊張感が増していく。この先には社長がいる。こんな大きなビルの会社社長という立場からもとても忙しい方のはず……。
それなのに、何故わざわざ私に会うというのだろう。あの夜の事がそれほど気に障ったのだろうか。
心の中が整理されないままエレベーターは最上階へ到着した。エレベーターを降りると、シーンとしたフロア全体に感じた事のない威圧的な空気感が広がっている。
「こちらへどうぞ」
男性に案内され、社長室のドアの前にやってきた。
……コンコン
「失礼します」
そう言うと男性はドアを開けた。
ドアを開けると、ほんのりと高級感溢れる香水のような香りがした。横を見ると、来客用のソファとテーブルがある。
その反対側には数々の賞状やトロフィー、写真などが飾られている棚があり、ゆっくり視線を正面に向けると、椅子に座る1人の男性……あの夜の若社長がいた。
「社長、水沢 明日香さんをお連れ致しました。それでは失礼します」
男性は頭を下げて部屋を出ていった。社長室に残された私は頭が真っ白になりただただ不安感しかない。
椅子に座っていた社長がスッと立ち上がり、私の元へ近づいてくる。目の前で見ると、完璧に整った顔立ちにモデル体型の高身長、一言で言うならイケメンだ。
あの夜の私は仕事モードだったから社長に楽しんでもらう事しか考えてなく、特に外見は気にしてなかったが、こんなイケメンを前に今なら他のホステス達が妬んだのも分かる気がする。
「るな……いや、水沢さんって呼んだ方が良いのかな? こちらのソファへどうぞ」
社長は優しい口調で言う。私に罵倒を浴びせるために社長室へ呼んだ訳じゃないのだろうか?
でも、私の目的はきちんとお詫びをすること……ソファに座る前に私は深々と頭を下げて謝った。
「先日は大変失礼致しました。申し訳ございません」
「私は気にしてませんから、頭を上げて下さい。取り敢えず座って話をしましょう」
この社長、顔だけじゃなく性格も良いだなんて。社長の優しさと器の大きさに目頭が熱くなり涙が出そうになる。私はすみませんと言いながらソファに腰掛けた。
……コンコン
「失礼します」
さっきの男性が入ってきた。社長の前に紅茶を、そして私の前に紅茶とカラフルで可愛いマカロンを置いてまた部屋から出ていった。
とあるビルの地下にある駐車場に着き、私と男性は車から降りた。
「ここから先は関係者っぽく装って私について来て下さい」
関係者っぽくと言われても、どうして良いのか分からない。
私はここの関係者……
私はここの関係者……
意味のない事だと分かっているが、自分に暗示をかけて関係者と思うようにした。
そんな私を見て男性はクスッと笑う。私は心の中で暗示をかけてたつもりだったが、どうやら声に出ていたようだ。
……恥ずかしい。私は頬を赤く染め、少し俯き加減で男性の後について行った。
地下の駐車場を出て外へ行くと、男性はビルの自動ドアから中へ入った。私はビルの大きさに思わず見上げる。
「うわぁ」
緊張しながらビルの中へ入ると、入った先にいる受付嬢の人の視線を感じたが、内心ドキドキしながら関係者を装い男性について行った。
男性はそのままエレベーターのところまでスタスタと歩き、エレベーターへ乗り込んだ。私も後に続いて乗り込むと、男性はそのまま最上階のボタンを押す。
エレベーターが上に進むたびに私の中の緊張感が増していく。この先には社長がいる。こんな大きなビルの会社社長という立場からもとても忙しい方のはず……。
それなのに、何故わざわざ私に会うというのだろう。あの夜の事がそれほど気に障ったのだろうか。
心の中が整理されないままエレベーターは最上階へ到着した。エレベーターを降りると、シーンとしたフロア全体に感じた事のない威圧的な空気感が広がっている。
「こちらへどうぞ」
男性に案内され、社長室のドアの前にやってきた。
……コンコン
「失礼します」
そう言うと男性はドアを開けた。
ドアを開けると、ほんのりと高級感溢れる香水のような香りがした。横を見ると、来客用のソファとテーブルがある。
その反対側には数々の賞状やトロフィー、写真などが飾られている棚があり、ゆっくり視線を正面に向けると、椅子に座る1人の男性……あの夜の若社長がいた。
「社長、水沢 明日香さんをお連れ致しました。それでは失礼します」
男性は頭を下げて部屋を出ていった。社長室に残された私は頭が真っ白になりただただ不安感しかない。
椅子に座っていた社長がスッと立ち上がり、私の元へ近づいてくる。目の前で見ると、完璧に整った顔立ちにモデル体型の高身長、一言で言うならイケメンだ。
あの夜の私は仕事モードだったから社長に楽しんでもらう事しか考えてなく、特に外見は気にしてなかったが、こんなイケメンを前に今なら他のホステス達が妬んだのも分かる気がする。
「るな……いや、水沢さんって呼んだ方が良いのかな? こちらのソファへどうぞ」
社長は優しい口調で言う。私に罵倒を浴びせるために社長室へ呼んだ訳じゃないのだろうか?
でも、私の目的はきちんとお詫びをすること……ソファに座る前に私は深々と頭を下げて謝った。
「先日は大変失礼致しました。申し訳ございません」
「私は気にしてませんから、頭を上げて下さい。取り敢えず座って話をしましょう」
この社長、顔だけじゃなく性格も良いだなんて。社長の優しさと器の大きさに目頭が熱くなり涙が出そうになる。私はすみませんと言いながらソファに腰掛けた。
……コンコン
「失礼します」
さっきの男性が入ってきた。社長の前に紅茶を、そして私の前に紅茶とカラフルで可愛いマカロンを置いてまた部屋から出ていった。
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