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4:魔法使いと弟子の永遠
100.冬の最果て ②
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中型以上の魔獣の討伐は、チームを編成して行うことが基本である。そうして、葬ったあとは、亡骸を埋め、祈るのだ。
葬る魔獣も、人間に害を成した成獣、あるいは、人間に害を成しかねない距離に生息する群れと決まっている。魔獣とて、命のある生き物だ。脅威は打ち払うが、むやみに命を奪いたいわけではない。
それなのに、特殊任務で帯同した薬草学研究所の面々のほとんどが、魔獣を実験体としか見ておらず、後方から、あれを狙え、あれは殺すな、いや、あれを押さえろ、などと口ばかりを出してくるのだ。
アイラともうひとりが、騎士団とのあいだをどうにか取り持とうとしているが、成果が出ているとは言いがたく。結果として、騎士団側の不満感情は高まり続けていた。
正直、ここまで隊の雰囲気の悪い遠征は、テオバルドもはじめてである。
「明日は大型のポイントに出るっていうのに。頼むから、中型のときと同じ調子で余計なことはしないでほしいね」
「さすがに大型を目の当りにしたら、同じ調子ではいられないんじゃないかな」
「だといいが。やつら、ちょっと頭がぶっ飛んでないか?」
「そうかもね」
さらりと認めて、でも、とテオバルドはほほえんだ。
「大丈夫。アイラはちゃんと守るよ」
明日の特殊任務の担当者はアイラで、テオバルドは任務完遂までサポートする役目を担っている。
今日の昼サポートに入っていた後輩は、無理難題に振り回された挙句に危うく大怪我になるところだったので、「二度とやりたくない」と管を巻いていたが。仕事は仕事だし、自分が組む相手はアイラだ。うんざりなどと言う気はない。
「おまえを疑う気はないが」
ぽつりと呟いたジェイデンの視線が、特殊任務で帯同している一団のテントの方向に動く。風に乗って話し声が聞こえてくることがあるのだが、そのいずれもがピリピリとした空気をはらんでいた。
今一瞬、ひときわ大きく響いた声は、彼らの中で一番上の立場にある魔法使いのものだ。
「こういう空気はよくないな。軽微なミスがとんでもない事態を引き起こしかねない」
「そうだね。そこは肝に銘じておくしかない」
「まともそうな態度を取り繕っているが、アイラも目の色が違う」
ジェイデンが言うのなら、そうなのだろう。そうかもね、とテオバルドは頷いた。
緑の大魔法使いさまの役に立ちたいという思いは、彼女の夢であり、彼女の根幹だ。
その憧れの大魔法使いに期待していると言われたら、必死になって応えようとするだろう。自分も、きっと、そうする。
「テオバルド」
「なに?」
「おまえも、少し気落ちしているように見えていたが、大丈夫か」
学院生時代のころのような問いかけに、テオバルドは笑った。
葬る魔獣も、人間に害を成した成獣、あるいは、人間に害を成しかねない距離に生息する群れと決まっている。魔獣とて、命のある生き物だ。脅威は打ち払うが、むやみに命を奪いたいわけではない。
それなのに、特殊任務で帯同した薬草学研究所の面々のほとんどが、魔獣を実験体としか見ておらず、後方から、あれを狙え、あれは殺すな、いや、あれを押さえろ、などと口ばかりを出してくるのだ。
アイラともうひとりが、騎士団とのあいだをどうにか取り持とうとしているが、成果が出ているとは言いがたく。結果として、騎士団側の不満感情は高まり続けていた。
正直、ここまで隊の雰囲気の悪い遠征は、テオバルドもはじめてである。
「明日は大型のポイントに出るっていうのに。頼むから、中型のときと同じ調子で余計なことはしないでほしいね」
「さすがに大型を目の当りにしたら、同じ調子ではいられないんじゃないかな」
「だといいが。やつら、ちょっと頭がぶっ飛んでないか?」
「そうかもね」
さらりと認めて、でも、とテオバルドはほほえんだ。
「大丈夫。アイラはちゃんと守るよ」
明日の特殊任務の担当者はアイラで、テオバルドは任務完遂までサポートする役目を担っている。
今日の昼サポートに入っていた後輩は、無理難題に振り回された挙句に危うく大怪我になるところだったので、「二度とやりたくない」と管を巻いていたが。仕事は仕事だし、自分が組む相手はアイラだ。うんざりなどと言う気はない。
「おまえを疑う気はないが」
ぽつりと呟いたジェイデンの視線が、特殊任務で帯同している一団のテントの方向に動く。風に乗って話し声が聞こえてくることがあるのだが、そのいずれもがピリピリとした空気をはらんでいた。
今一瞬、ひときわ大きく響いた声は、彼らの中で一番上の立場にある魔法使いのものだ。
「こういう空気はよくないな。軽微なミスがとんでもない事態を引き起こしかねない」
「そうだね。そこは肝に銘じておくしかない」
「まともそうな態度を取り繕っているが、アイラも目の色が違う」
ジェイデンが言うのなら、そうなのだろう。そうかもね、とテオバルドは頷いた。
緑の大魔法使いさまの役に立ちたいという思いは、彼女の夢であり、彼女の根幹だ。
その憧れの大魔法使いに期待していると言われたら、必死になって応えようとするだろう。自分も、きっと、そうする。
「テオバルド」
「なに?」
「おまえも、少し気落ちしているように見えていたが、大丈夫か」
学院生時代のころのような問いかけに、テオバルドは笑った。
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