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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 6 ⑤
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「向原さんたちが、成瀬さんが俺に付きっ切りなの、あんまりよく思ってないのは知ってるんだけど」
「あのな」
回りくどい言い方に、呆れを隠さないまま、言い諭すように告げる。
べつに、そんなことを考えていたわけではない。こう言っているだけで、皓太本人もわかっているだろうが。
「俺も篠原も、おまえに文句があるわけじゃない。知ってるだろ」
「……でも」
「おまえも付きっ切りなことも含めてな」
言って寄こした台詞と同じものを選んで返すと、ほんの少しバツの悪そうな調子で苦笑いを浮かべる。
「なら、いいんですけど」
「あいかわらずの貧乏くじだとは思ってたけどな」
それだけだと言えば、また少し困った顔で小さく笑う。そうして言葉に悩むような調子で、話し始めた。
「貧乏くじとまで思ってないですけど。乗りかかった舟というか、……多少の責任は感じたというか」
それこそおまえが感じる必要はいっさいないものだろうと思ったが、そうは言わなかった。こちらが反応を示せば、いろいろと話してくるのだろうともわかっていたが、あえて共有したいとも思わなかったのだ。
とくになにも言わないでいると、変わらない調子で、「あとは、まぁ」と皓太が続けた。
「俺だったら、成瀬さん怒らないから。ちょうどいいかなと思ってやってたところはあるけど」
「……ま、それはそうかもな」
「でしょ。これは本当、昔からかわいがってもらってるんで」
あっさりとそう言ってみせていたが、それは事実だ。
榛名をかわいがるようになるまでは、性を自覚する前からかわいがっている唯一だから特別なのだろうと思っていたことも覚えている。
とは言っても、べつに、そのことに取り立てて文句もなかったのだが。
「そのことには、もちろん感謝してはいるんですけど」
「してはいるけど?」
歯切れの悪い言葉尻を繰り返せば、また困ったような顔をする。そんな顔ばかりだなと思ったものの、言いたいことが溜まっているのだろう。
しかたない、と、向原はもう少し付き合うことを決めた。
「あの、俺、実は、夏休みに入る前に、……成瀬さんに選挙に出るっていう話をしたとき、ちょっといろいろ思うところが重なってて、『ここをどうしたかったの』って聞いたんですよね」
「似非くさいことしか言わなかっただろ、あいつ」
どうせ、ここはみんなの学園だから、というようなことを言ったに違いない。その言葉に、うん、と皓太が苦笑半分で頷く。
「俺もちょっとそう思ったけど、でも、その、なんというか、前提として、俺、成瀬さんのこと信用してるし、好きなんですよ。誰がなんて言っても、……本人がなんて言っても、優しい人だと思うし、守りたい人なんだと思う」
「あのな」
回りくどい言い方に、呆れを隠さないまま、言い諭すように告げる。
べつに、そんなことを考えていたわけではない。こう言っているだけで、皓太本人もわかっているだろうが。
「俺も篠原も、おまえに文句があるわけじゃない。知ってるだろ」
「……でも」
「おまえも付きっ切りなことも含めてな」
言って寄こした台詞と同じものを選んで返すと、ほんの少しバツの悪そうな調子で苦笑いを浮かべる。
「なら、いいんですけど」
「あいかわらずの貧乏くじだとは思ってたけどな」
それだけだと言えば、また少し困った顔で小さく笑う。そうして言葉に悩むような調子で、話し始めた。
「貧乏くじとまで思ってないですけど。乗りかかった舟というか、……多少の責任は感じたというか」
それこそおまえが感じる必要はいっさいないものだろうと思ったが、そうは言わなかった。こちらが反応を示せば、いろいろと話してくるのだろうともわかっていたが、あえて共有したいとも思わなかったのだ。
とくになにも言わないでいると、変わらない調子で、「あとは、まぁ」と皓太が続けた。
「俺だったら、成瀬さん怒らないから。ちょうどいいかなと思ってやってたところはあるけど」
「……ま、それはそうかもな」
「でしょ。これは本当、昔からかわいがってもらってるんで」
あっさりとそう言ってみせていたが、それは事実だ。
榛名をかわいがるようになるまでは、性を自覚する前からかわいがっている唯一だから特別なのだろうと思っていたことも覚えている。
とは言っても、べつに、そのことに取り立てて文句もなかったのだが。
「そのことには、もちろん感謝してはいるんですけど」
「してはいるけど?」
歯切れの悪い言葉尻を繰り返せば、また困ったような顔をする。そんな顔ばかりだなと思ったものの、言いたいことが溜まっているのだろう。
しかたない、と、向原はもう少し付き合うことを決めた。
「あの、俺、実は、夏休みに入る前に、……成瀬さんに選挙に出るっていう話をしたとき、ちょっといろいろ思うところが重なってて、『ここをどうしたかったの』って聞いたんですよね」
「似非くさいことしか言わなかっただろ、あいつ」
どうせ、ここはみんなの学園だから、というようなことを言ったに違いない。その言葉に、うん、と皓太が苦笑半分で頷く。
「俺もちょっとそう思ったけど、でも、その、なんというか、前提として、俺、成瀬さんのこと信用してるし、好きなんですよ。誰がなんて言っても、……本人がなんて言っても、優しい人だと思うし、守りたい人なんだと思う」
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